1mAで動作するGPSチップ

Air社が発表したGPSチップは1mAで動作するという話が出ています。
もっとも、製品出荷が未だだから搭載された商品の出荷も未だなのでしょうが・・・・
チップ単位での消費電力を言われても大きいか小さいかはわからないと思いますので追記すると一般的なGPSチップの消費電力は30mA〜100mAぐらい。
結構画期的な省電力となります。
もちろん、他の会社からも色々と出ているのですが1mAという点ですごいなと思ってAir社の物が気になったわけですが・・・
 
GPSには、「ホットスタート」とか「コールドスタート」と言う言葉があります。
電池を入れて使い始める状態がコールドスタートで、無作為に衛星を検索するところから始まります。
時間やキャッチできる衛星をDBと参照しながら位置決めを行い ある程度の場所を決めて絞り込んでゆくような動作があります。
時間的には分単位で3分ぐらいと言うところでしょうか?
つまり、車のカーナビでもそうなのですが、走り始めた数分は位置情報を掴んでいないわけです。
でも、「家から出るときにカーナビはすぐに案内してくれる!!」
と言われるかもしれませんが、これはジャイロと言われる加速度センサーや車速パルスと言われるタイヤの回転を検知して動作するセンサーの働きで 移動情報を作り出しているだけでGPSで測位しているわけではないのです。
例えばトンネルの中でもカーナビが動く(トンネルの中では衛星からの電波が届かないですから)わけです。
故に、起動後数分の時間を要するのはGPSの欠点と言えばそうでしょう。
ちなみに携帯電話もその時間を短くする為に、電波を発生させる基地局の位置情報から現在地を側位して表示してGPSの補助を行うと言う仕組みがあるので高速で表示されるわけです。
もちろん、本来衛星からの電波の届かないビルの中でもOKなわけです。
 
では、通信手段も持たず 加速度も車速信号も殆ど発しない 徒歩ナビなどはどうしましょう?
当然、常時測位を続けるしかありません。
必要なところ必要の無いところを切り分けて、GPSで側位するしかないわけです。
消費電力を減らす為には、測位の頻度を下げて 思い出したように側位するというやり方で GPSロガー等は動いています。
当然徒歩ですので移送距離も短いのであまり困らないわけです。
ただ、カーナビのような使い方をすると成ると、常時数秒単位の測位が必要なわけです。
ホットスタートは、定期的に非常に長いスパンで更新を続けていれば 初期起動の時間を短縮することが出来るわけです。
 
携帯電話に付いているGPS等は通話中はどうでしょう?
長いスパンで定期的に側位はされていますが、長すぎるのでデータとしては残していません。
ただ、GPSを使うなナビソフト等の起動後数秒で動いてくれる状況にあります。
これというのも、例えばもし100mAの消費電力があれば 電圧の問題を無視すれば700〜900mAの携帯電話のバッテリーは7〜9時間で枯れてしまうわけです。
もちろん、付帯する機能の消費電力もあるので ナビソフトを動かしたと成るとこの数字があながち大げさな物でないと言うことはわかるでしょう。
 
今回のチップの消費電力は僅か1mAです。
付けっぱなしにすることが出来るわけです。
つけて無くてもあまり困らないし・・・という話もあるのでしょうが 実際問題ビル街に出かけてロガーで測位して見ましょう。
ビル街に入った場所からしばらく動かなくて、思いついたように何度かワープするようなログになるはずです。
これは測位タイミングで空の見える場所、つまり 測位可能な場所にいる確立の問題です。
頻度が低ければ低いほどジャンプする確率は上がるのです。
これが測位し続けていれば、ちょっと空の見えた場所でログが記録されるのです。
 
防犯だったり、人の管理だったりという目的においては大きなプラスの点となるわけです。
非常に高い精度で現在位置をチェックすることが出来るわけだからです。
ビルに配達をしている業者の方などはいままでは測位が殆ど役に立たなかった人たちにも使えるわけですから。
(もっとも、携帯電話とのハイブリット等ではそういった問題は頻度の問題はともかく解決していると言う話もあるのですが・・・)
 
ICチップの非接触式のカードで電車に乗れるようになって便利になりました。
ETCで高速道路でお金を渡さなくなって便利になりました。
じゃあ、例えば東京にある(千葉とも言う)ねずみのテーマパークに行くときに 携帯電話でチケットを購入します。
そのチケットには訪れる日のみ、携帯電話のGPSの測位情報を送る権限もが与えられます。(もちろん、携帯電話の持ち主の了承は必要でしょう)
そして、ゲート前に立ったときに携帯電話のGPSの測位した位置情報から ゲートを空けるための情報が送られます。
携帯電話には
「今なら空いているアトラクションが・・・」 とか
「まもなく ショーの時間です」 とか
「近くに ねずみさんがいるよ!!」 とかの
アナウンスをしてくれます。
移動の密度の変化から 未だ会えない人の多い地区に 登場させたりということも可能なのです。
プラーバシーも何もないと言えばそうなのですが、思い出してください「美女と野獣」なんかでも
何もしないのに現れる料理や、勝手に開くドア、必要な物が突然現れる等々 今の話とそう替わらない物なのです。
夢の世界ということならそれもありかもしれません。
 
僅か一つのGPSチップがそれをかなえるとは思えませんが
僅か一つのGPSチップにも多くの夢が隠されていますよね・・・・

英 Air Semiconductor 「AirWave」という商品より
2009年第3四半期出荷予定。