マンションの地デジ対策

少し古いマンションなどで困ることはテレビの配線です。
通常、マンション等では屋上にアンテナがあり そこから大きなブースターが間に入り各世帯にテレビの信号を送信してくれます。
賃貸マンションならともかく、自分の所有する物件だったりすると マンション中の人が集まって地上波デジタルの工事をするかどうかの話となります。
一般の家庭では、アンテナを新しく立てましょうという話となるのですが マンション等ではそう簡単に話が進まない事もあります。
そのあたりが・・・・
 
実は同様の危機が過去にもありました。
衛星放送の登場です。
衛星放送(よく考えればNHKしかないわけですから なんであんなに騒いだんでしょうね? NHK見ないからと言って受信料を払わない人がこんなにいるのに)の登場の時にも共聴システムの入れ替えなどが問題になりました。
でも、あちこちのマンションをよく見ていただくとわかるように 少し古めのマンション等ではベランダにパラボラアンテナがあるのを見てもらえる通り各部屋で別にアンテナを立てることができました。
衛星の位置が空の上なので、空さえ見えればかなりの確率でどこからでも受信できたからです。
人によってはパラボラを屋上において、そこから自分の部屋まで線を引いて受信されました。
故に新しいマンション以外では色々な対策を施す事が出来て、結果的にはいつの間にかの大問題である事は忘れられてきました。
個人的趣向の多いCSなどもそうでこれは共聴システムに入れられる事の少ないアンテナです。
ところが今回の問題の大きい点は、今まで見れていたテレビが見れなくなるという事態が発生することです。
 
アナログ放送からデジタル方法に変更するに置いてやらなければいけない事なのですが
まず、アンテナを地上波デジタル向けのものに変更する必要があります。
VHF帯と言われる テレビの電波の中では比較的低い周波数帯のものから UHF帯と言われる高い周波数のものに変更されます。
UHF帯は一般的に嗜好性が強く電波が弱いので 発信されるアンテナに向けて方向をきっちり合わせます。
魚の骨のようなアンテナはそれをこう降り強く拾うためのものです。
昔ながらの、長さの違う棒が洗濯物干しのようになっているアンテナとは違う型です。
一般の家庭の多くはこれだけです。
ところが、マンションの場合は複数の部屋に配信する必要があるので 増幅装置を通ります。
時と場合に寄るのですが、下手をすると5チャンネル等でUHF帯のテレビを見られる共聴システム等では 増幅器がVHF帯にしか実装されていません。
また、増幅する周波数帯が異なる事もあり 増幅器も変更する必要があります。
次は電線。
従来、衛星放送が普及するまでのアンテナ線は、5C2Vや3C2Vと呼ばれる黒いアンテナ線が使われてきましたが 高い周波数帯を効率よく伝送するために2Vの部分がFBとなったアンテナ線を現在は使います。
特に古いシステム等では 旧来の帯域の狭いケーブルなどを使った場合 デジタル放送ではノイズが露見する可能性があるので 交換する必要があります。
で、各部屋にやってきて 壁に来ているアンテナ線を抜いて新しい線に入れ替えてゆく。
部屋によって配線の距離等が異なるでしょう。
 
マンションなんかの場合、みんなで施設に関しては話し合って決める必要があります。
アンテナの工事から電線の引き換えまで、数十万から百数十万ぐらいの工事となります。
入れ替えの為の工事をみんなで負担金を分割して工事しましょう!!
と、議題は出るのでしょうが 賛成するのは50%ぐらいでしょうか?
理由は簡単でお金がかかるからです。
出てくる不満は 「なんでデジタルにする必要があるんだ!!」と言う事ですね。
アナログ放送で満足している人にデジタルの良さを説いてもせんない事。オーバークオリティの良さを言うだけの事です。
たとえばデジタル放送のチューナーをつけた14型のブラン管テレビであれば まず間違いなくデジタルにしても綺麗になったという恩恵は受けることができません。
それなのに、定額給付金でも追いつかない金額をみんなで分割しても払う事になるのですから(これは超えるかどうかは場所次第)おとなしく納得するはずはありません。
会議はきっと難航することでしょう。
で、もう一つの困ったチャンは 「おれテレビ見ないから・・・」と言ってしまう人。
実際に見ないわけではありません。
たとえばCSだけをみるとか、光ファイバーやケーブルテレビを自分の部屋に引き込んでいる人。
おおよそ、毎月のインターネットの契約+1000円ほどを払えば 工事費は業者負担で引き込んでくれます というか既に引き込み済みの人。
いまは既にテレビの全チャンネルをそちら見ているわけですから 共聴システムの事等知った事ではないのです。
というか、増幅器やアンテナの電気代を全員で払っているのも実は面白くないわけですから。
 
個人主義と言い変えればいいのか、サービスが選択できる時代になってきたと言えばいいのでしょうか?
比率によりますが 2/3ぐらいの賛成票が無ければおそらく採択されずに テレビの見れないマンションとなるわけです。
若い人は代替えを何とかできるでしょうが、お年を取った人には難しいでしょう。
2011年になっていきなり水戸黄門が見れなくなって(そのころまでやってるの??)大騒ぎとなるわけです。
おそらく家電量販店には、テレビの買い替えとインターネットの加入が最も早くて安いコースですと案内がされます。
「十万円以上のテレビ購入なら、回線契約と一緒でなんと三万円引きです」なんて言われて電話も統合すると 月々1500円基本料金が安くなるとか・・・
月を超えて請求書を見ると 毎月6000円ぐらいの請求が来てびっくりとなるのでしょう。
電話で文句を言うと「インターネットもできますから」と聞いた人には何を言っているのかわからない話でかみ合わなくなるというわけです。
まあ、これも自由主義社会だからしょうがなくて、契約書はよく読もうという事になるわけです。
最終的には 国の制度が悪いという結論で終わるのかもしれません。
 
ここまでの問題を含んで、地上波デジタル化の必要はあるのでしょうか?
無ければ第4世代の高速ネットワーク等に使う電波の空きが無いとかになるわけなのですが・・・
景気の良いころならともかく、悪くなってからならのこういった設備投資は辛いところがあります。
多くのマンションでこの工事は取り残されるのではないかと私は思っています。
近い業界に住んでいますが、そういった工事で忙しいという話を多く聞くわけではないからです。
2011年って先の話だという事もできますがマンション等の工事は半年仕事。
いまのアンテナを倒して新しいアンテナを立てると、アナログテレビが映らなくなる。
すべての世帯がデジタル化してからと思うとかなり厳しくなる。
時期的な選択もかなり各世帯の足並みの揃いを要求します。
テレビを見ることができるのはどちらかと言うとぜいたくで、貧乏人は携帯電話でワンセグテレビとなってしまうかもしれません。
街頭テレビならぬ、テレビ居酒屋でスポーツ観戦をするのが・・・・とか
Youtubeで録画されたテレビを見るとかとかなったら、テレビ局そのものが存続できない可能性も。
不景気が悪いと嘆く前に・・・・