電子書籍の同人化

電子書籍の隆盛はみんな声をそろえて言うように 「販売方法」にかかっていると思います。
適正な価格で適正なコンテンツを届けるという事なのですが、根本的な問題で 音楽と同様 現在の書籍の価格そのものが適正でないと考える方が少なくない事です。
実際の書籍の価格をみて高いかどうかというと 個人的には高いものもあるが・・・というのが正直なところ。
じっさい、人並みぐらいは購入するので(といってもおおよそ出張に出かけるときに 空港でとかが多い)月に平均すると10冊程度。
漫画の本も同じぐらいかって、なおかつ雑誌も同じぐらい買います。
雑誌の場合「高かった」という感情を持つことはありますが、書籍に関しては「失敗した」が多く「高かった」はあまりないような気がします。
でも、高すぎて(数万円など)ちょっと試してみようと変えない書籍があるのも確かです。
では、なぜ高く感じているかなのですが・・・
 
最もわかりやすいのは、新聞である。
新聞を隅から隅まで読むならともかく、私が子供のころはテレビ欄と漫画と一面のニュースぐらいしか読まなかった訳ですが皆さん如何でしょう?
全体の中の数割しか読まないものに月々お金を払っているのは割合的に高く感じることでしょう。
そして、テレビでみるニュースは動画できれいで なおかつ無料。
文字で見たくなれば、数十行に圧縮されていますが 恐らく新聞以上の多くの情報が手に入ります。
ただ、インターネットの情報の多くは情報の垂れ流しで それを見て理解を促すような解説などが無いことが多いように思われます。
また、それを見た感想ともいえる解説もついていません。
新聞社毎の考え方の違いなどの出る点ですが、電子媒体のものを見るとそういった部分はどちらかというと Blogなどの素人解説のほうが面白く思えたりすることがあります。
じゃあ、トータルで考えて 見る部分の割合が低く、なおかつ広く浅く解説なしの情報であれば テレビやネットで無料で手に入るというわけです。
それで有料の新聞をみて 価格的にどうかと言われる 「高い」といわれる層が多くなるのはやむおえない事でしょう。
正直、そうは思うものの 実際のところ暇になると新聞を読んだりして 関係のないことでも知識として知らない間に貯められていたことが 実際にネットなどでニュースを見ると それよりも興味のあるニュースの深度を上げていってしまうので 特に最近の子供たちの知識の偏り というか一般知識がなくなるのではと心配になってはしまうわけですが・・・
 
書籍が高いかどうかは、読み終わった後にその満足度にお金を払うわけではなく 読む前にお金を払います。
そんなの音楽だって他のものだって・・・と言われる方もいらっしゃるでしょうが
少なくとも音楽は テレビ番組などで聞くことができるわけです。
映画などでも、内容に偽りがある場合も少なくはありませんが(というより 最もいい場面を予告編で使うと ほかはそれ以下となってしまうのは・・・)予告編など見ることができるわけです。
書籍に関して言うならば 書店で見る際に わずか数行のあらすじで面白さを知ろうなんて おかしな話。
せめてレコード店のように、原稿用紙二枚分ぐらいの書評を検索できるような仕組みの一つも作らなければ 努力をしているとは言い難いのではと思ったりもするわけなのですが。
まあ、その領域を超えて購入して それでも高いといわれるのは 印刷の一回当たりの冊数が多くなり その在庫に苦労する点で 1000ページの本10円コピーで作ると両面なので2000回コピーで2万円と単純原価で考えても 価格を下げるための大量生産が必要となる点で流通などを含めるとかなりのコスト負担になります(売れなかったら大変!!)
売れない本がたくさんある分、書籍業界は大変なのです。
でも、それは生産者の理論で、消費者には関係ないからわかってもらえないのです。
 
じゃあ、電子書籍になったらどうなるかというと
トラック一台分の本であろうが 倉庫一個分の本であろうが精々CD-ROM1枚分の量で済みます。
機材負担日はありますが 25Gもあれば何十冊入る つまりマイクロソフトが広告収入で無料で提供できるサーバーのコストがあれば提供可能なわけです。
よく聞く話ですが 作者には数パーセントの印税が入るそうです これは作家によって違うと聞いています。例えば出版社が印税と同じだけを回収すると考え 現状の広告のレベルを%で表記できるほどに大きくはないと思いますが 5%としたとして
出版物は現在の事に寄れば 85%引きになる可能性があるわけです。
もちろん、いい加減な計算で 何の根拠もないので怒らないでくださいね。
じゃあ、と明日からその値段にすれば買うほうも買いやすいのでと 販売を始めてもというよりどこかが裏切ってそういう販売をすれば一気に現体制が崩れてしまう可能性があるわけです。
 
ところが おおよそそうはなりません。
一部のほんの一部の作家を除き 作家は出版社に属する構造となっていて 違う出版社から本を出したりしにくい構造となっています。
出版社は多くは印刷業者と紐づいており 「明日からなくなります」なんて言えようはずもないのです。
もちろん、書店そのものがいらないと言っているのに等しく いきなりそんなことできようはずもないのです。
 
既存の出版社はそうだとしてまったく新規参入するところはそうではありません。
作家の問題はありますが、出版社も実は同じで 「新人コンクール」という求人を年中やっていて 見込みのありそうな人を育てて作家に仕立て上げていかない限りいつか先がなくなってしまうわけです。
ネットにおいて実は出版はたやすく、お金のことを言わなければ 私が書いたものでさえ以前に 配信していただいたことがあります。
自費出版」という言葉もあり、自費で書籍を印刷して販売されている方もいるように 出版社のメガネにかなわない作家もたくさんいるわけです。
いくら積極的に集めようが、応募しなければ埋もれたままで たまたまその時の作品がダメだっただけの作家志望者はいるわけで、そういった方が発表する場が現在増えてきているわけです。
一時期日本にもあった音楽配信サービスのように 入会金と月会費で中のコンテンツを見放題なんてのも出てくるはずです。
ただ、そこでお金を取ろうとすると出てくるのが著作権協会。もちろん著作者を守るためというのが 存在意味なのでしょうが こういった新しいコンテンツには対応できないわけです。
 
漫画などではかなり大がかりにやっていますが、同人誌というものがあります。
「同人誌で家を建てた」というつわものもいるようですが 税金の問題はともかくとして 著作権の問題はそこにあります。
まあ、悪いほうでいえばパロディだったりと人のキャラクターを使った商売と言えなくもないのでそのあたりがどうかというのもありますが 良いほうでは著作者が販売を行い 対価を得ているという点では健全です。
こういった仕組みを補助する仕組みができれば 知らない間に電子書籍は作者の同人化してゆくかもしれませんね。
もちろん出版社の指導もよいのでしょうが、実際の読者の指導で生き残っていく作家も実質的で面白いと思うのですが。
本当に中間経費がまったくなければ、作者の受け取る対価だけでよいのであれば 無理なセキュリティや コピー防止などの対策など立てなくても十分リーズナブルで誰でも買ってもらえるコンテンツになるような気もするわけですが どうなんでしょうね?
 



written by HatenaSync