災害とデータ通信

災害が発生すると まず止まるのが携帯電話という図式が出来上がってしまっています。
これは、携帯電話回線すべてが使われることを想定されていないために あまりにも多くの人が同時に利用すると回線が足りなくなってパンクするという状況です。
それは提供業者が悪いと一概に決めつけられないのは、全部はもともと無理な構造になっています。
そんなことはない提供する義務があると言われるなら考えていただきたい。
数キロのカバー範囲のPHSとことなり数十キロのカバー範囲のある携帯で考えていただきたいのですが まあ、想定として必要ないのですがそのアンテナのエリアに日本の全国民が集まったらどうでしょう?
一つは電波の帯域の問題で そんなことは物理的に不可能となるわけです。
もう一つはその設備の問題で 帯域は問題ないとして そこまでを想定するなら各基地局は現在の数十倍(数百??)のサイズと電力を必要とすることとなるわけです。
そして設備コストは恐ろしいものとなるはずです。
そのエリアにそれだけの人が集まるはずはない・・・と言うなら程度物なのですが じゃあどこまでを想定すればいいのだ となってしまうわけです。
携帯電話の音声通話はデジタル化されていて 音質を補正する技術も進んでいるので 非常に狭い帯域で通信ができるようになっているわけですが通話中は基本的に細いとはいえその帯域を確保し続ける必要があるわけです。
でないとベストエフォートな考え方では こんな遅れの少ない通信は成立しないからです。
普段はこれで何とかなっているのに有事の為に用意なんてできない!!というわけです。
ただ、このセリフに騙されてはいけない。
例えばビッグサイトなどでイベントがあると電話が通じなくなったりすることがあります。
コンサート会場などでも起きえると聞いています。
そういった場所はもともとそういった可能性が高い地区なので増強の必要性があるのに 同じセリフを言い訳にして設備投資を行わないことは怠慢なわけです。
あくまでもバランスの問題となるわけですが、例えば今回でも通話が最も早く回復した携帯電話キャリアとランキングをして発表の一つもすればよいのだと思います。
現在の状況から行くと、基地局の数から考えて DOCOMOがもっとも多いはずで その次がAUで最後がソフトバンクの筈ですが停止基地局の数ではソフトバンクが二位に居ているのはどうかと思います。
勿論、この期に置いて電波帯の話が出るかもしれませんが それと数とは実は関係ないわけです。
ただ、ここで覚えておいていただきたいのですがこういった比較記事は商用メディアには恐らく出ることはまずないのです。
広告宣伝費が現在かなり大きな割合を占める業界なので 致命傷を招くような報道はなされないというのが実際です。
極論ですが、NHKなどは携帯電話に関するトラブルを集めた番組を作ってやれば恐らく人気が出ると思うのですが なかなかですね。
 
まあ、批判は置いておいたとして 音声通話となるとそうなのですがパケット通信は必ずしもそうはならないのです。
ヘッダーに行き先の付いたパケットデータは、順序良く(ともいえないが)並んでネットワーク網を走ります。
到着時間は保証できないが(あまり遅いと途切れてしまう)相手まで遅くても到着できるようになっています。
この到着速度が可変する仕組みは音声用とすると非常に扱いに困るわけですが、データ通信だとするとそれもありなのです。
故に、ある程度混乱が収まるとデータ通信が復旧したわけです。
つまり、メールが届きだしたわけです。
最初の混乱はどうしても音声通信を優先する仕組みなので パンクするほど全員が使うとパケット通信がプライオリティの低さから後回しになってタイムアウトしてしまうからのようです。
特にメールは文字情報で SMS等は1秒間の音声通話にも満たないわけで相手に用件を伝えるわけですから効率の良さも手伝い 次々と動き始めるわけです。
 
私が災害時に主に使ったのはWiMaxでした。
運が良かったのはデータ通信専用の回線だったことで音声通信が発生しない事、あまりにも驚くべき事態に自らの生存本能を優先させデータ通信等を使う気持ちの余裕が無かったことも影響しているでしょう。
地震直後から通信回線は比較的クリアでした。
移動中はWiMaxの電波の影響で切れたのか被害の為に切れたのかは解らない程度で、普通に繋がっていたようです。
そして、パケット通信に合わせてSkypeの利用が出来ました。
この状態でのWiMaxの帯域なのですがSpeedtestでは2Mを軽く超えていました。
この速度があればIp電話は十分可能な速度です。
WiFiで接続したGalaxy TABでSkypeを起動して この時の為に買ってあった(笑 Skypoutのクーポンを使い固定回線に電話をし通話を行ったわけです。
時間によっては通信状況が荒れて無理になることはありましたが 普通に通話できる品質でした。
おかげで会社への連絡、家族への連絡、それ以外の報告や手配、そして状況確認は人一倍早くに可能となったわけです。
周りの目は冷たくて、TABを変な持ち方をしていたからなのか 電波系で電話も通じないのに一人で話している人に見えたのか、自分たちの電話がかからないのにという目なのか 解らなかったがじっと電話をできたのは同僚と合流できた後ではありました。
 
じゃあ、災害時にWiMaxも帯域があふれてえらいことになるだろう・・・・と心配される方もいらっしゃるが それが実はそうでもないわけです。
じゃあ、災害時にコンピューターを使ってしたい仕事って何がありますか?
まあ、カメラで写真を撮って送るぐらいはあるんでしょうが あの状態でDTPで作業したデータを送って印刷所に・・・なんて用途は発生しがたいわけです。
もちろん、業務用アプリケーションを起動して作業をしたり、Excelで表を見ながら電話で話を・・・・なんて帯域を大量に消費する仕事に向いていると提供されているWiMaxがその時にといえば逆に開いてしまった状態にしかならないのです。
じゃあ、WiMaxは大丈夫でも上流のインターネット網が・・・と心配されるのでしょうが それも利用が減っているわけですから全然大丈夫なわけです。
普段P2Pなどやオンラインバックアップだったり クラウド化されたサーバーに接続されていたり、データセンターにサーバーそのものを預けている企業などがフルロードをかけても何とかなる回線がこれぐらいのトラフィックでどうにかなるわけはないですし、それこそ電気と違って大阪も東京も同じ信号なので大阪に振られても処理が可能なわけです。
つまり災害時もWiMax基地局が被災しない限り 例えば東京だとすれば(停電はだめらしい)問題なく使えたわけです。
 
今回のような1000年に一度クラスの災害であればどうにもなりませんが、普通の災害程度でしたら この通信は確保されたはずです。
「データ通信だけで何が出来る」という事に関しては 色々なものが出てきていますしこの日記でも紹介してます。
例えば
Blog、Twitter これは掲示板としての働きをしたはずです。私もたぶん最初の生存報告をTwitterにしたかと思います。
ストリーミング  もちろん災害時に使ったわけではありませんが テレビを見たり動画を見たり、音楽を聴いたりに使えます。
         テレビを見たりするSlingBoxなどもここに分類されます。
WEB      情報を文字で見れる媒体で 新聞社などはかなりの速度で更新されます。
メール     個人対個人の連絡が出来ます。
Ip電話     普段は安価な電話ツールなのですが、こういう時には非常に高い効果を得ました。
これらを知っていれば、おおよそこの日記を見ている人なら何らかの手段でこれらを得ることが出来たはずです。
音声と共用しているので悪かったとはいえ携帯電話のパケット通信も速い時間に回復していましたので 同じようなことが程度の差はあれ出来たはずです。
データ通信があるならできことは災害掲示板だけではないはずです。
そのあたりも今後登場してくれると良いなと思ったわけですが、今回本当にWiMaxには助けられたと思っているわけです。


written by HatenaSync