宝塚大劇場で 宝塚歌劇版「銀河英雄伝説」を見てきた

ここでも、何度も書いているが今日がその日なので見てきたわけです。
基本的に視点が 「銀河英雄伝説ファン」なので 実際の宝塚歌劇の出来の善し悪しとは異なるものとして見ていただきたい
 
見る前の予備知識は全くなく、唯一チケットと一緒に送ってきた1枚のチラシのみと言う状態です。
だが、よく考えればこれほど宝塚に映える話もないかもしれないなんて思ったりもしてるわけです。
多くが戦闘シーンとなは成るのですが そんなもの宝塚に向いていないと思われるでしょうが 実はそうでもないのは戦闘とはいえ規模が大きすぎるわけです。
1度の戦闘で2万隻単位の艦隊が複数参加したりすると 死者の規模も250万人とか成るわけです。
それだけの艦隊の移動と戦闘なので、司令官が「今だ撃て」なんていっても一番先頭の方にいる数百隻が動くだけでその奥に連なる艦隊が同時に動くわけではありません。
船隊の組み直しとなると 数日かかったりというレベルの話なのである。
故に戦闘指揮官は えらそうに戦略を語り それを戦艦の艦橋のなかで叫ぶわけである。
これは主人公格でも同じなわけで 華麗な動きを見せる動きも艦橋の中でオーバーアクションで話すだけでも 成り立つわけです。
今のことですから 大きなスクリーンに艦隊戦の様子を写し その様子を見ながら舞台の両サイドで両軍の司令官が話せばリアルタイムな動きも見えるわけです。
もちろん、アニメ版がそうなのですが殆どの人が美形(年齢的に美形と言いにくい人たちもいるが)なので 宝塚の男役がもっとも映える舞台なのです。
逆に女性役の活躍の場が少ないのが残念なわけですが・・・・
 
実際のところ、戦闘シーンはうまく配されたスクリーンに 艦隊戦(といっても1隻づつが並ぶようなものではなく 艦隊そのものの集団をブロックで表示したような形であるがこれを一緒に見せるだけで 戦いの様子が判るわけです。
そして、金色の髪の皇帝はかくあるべきと言っても良いほどの姿である。
ライトの具合も神々しさを示すに余りある物です。
特に皇帝の周りに 階段状の舞台に提督達が並んだ姿は アニメ版でも感じたことがないほどで鳥肌が立つほどの迫力でした。
やはり、宝塚向きだとは思いましたが 殆ど本編の8割近い部分を3時間程度の舞台に押し込めたわけですから 内容が理解できたのかという事は話を先に知っていた私には想像のつかない所だったのですが・・・・
それにマイナーともいえる キャラが突然出てきたりと 銀河英雄伝説ファンもほくそ笑むシーンもあるわけです。
オルフェッサー上級大将が出てきて(すいません ネタバレかも)おもわず ああ・・・って思うわけです。
それ以外に、ナレーション役として ルビンスキーとドミニクの掛け合いで状況説明をして進行してゆく下りは 成るほどと感心しきりです。
舞台設備も いくつもの舞台に変化するが 基本的に一つのオブジェクトの回転だけで処理しているというのは流石になれているわけです。
かなり楽しめる舞台だったわけですが・・・・
 
でも、銀河英雄伝説ファンとしては看過できない点もいくつかはあるわけです。
解釈の違いで ヒルダが無茶苦茶可愛いのとかは良いとするわけですが
いきなり最初からミュージカルなので歌い始めるわけですが 初期のラインハルト艦隊の紹介シーンで 「仲間達と」なんて歌う訳ですが ラインハルトの葛藤の多くは 自分の分身キルヒアイスしか最後の最後まで信用できずに、ビュコック提督に言わしめる「共和政治は 対等の友人を作るもので、臣下になる物ではない」と言われて堪えてしまうほどの命題なのです。
故に「仲間」なんて心の中で知らずに思っていたところで 口に出すなどあり得ないわけです。
そこが違えば話の根本が変わってしまうわけです。
もちろん宇宙の平和のために宇宙を征服するなんてかけらも考えていないので そういった勧善懲悪的な理解に持って行きたいのは判るわけですが このキャラクターの根本はこの葛藤にあるので いきなり「仲間〜」なんて歌わせてほしくないわけです。
二つほど追加させていただけるなら これは演者の間違いだと信じたいのですが キルヒアイスがラインハルトの命令に対して「了解しました」と答えた点です。
キルヒアイスは他のキャラクターとは一線を記していて 基本的に「承知いたしました」と答えるべきだと思うのです。
他のキャラクターなら「御意」と回答するところなのですが・・・・
で、最後がこれも間違いではと思うのですが キルヒアイスのことを死んだときに「片腕」と呼ぶわけですが作中では「片翼」という表現の方が詩的に使われていたので舞台ではそういった言い方にすべきでは・・・なんて
なんと細かいことを記にしているんだと言われそうな訳なのですが(笑
 
解釈上で非常におもしろいと思ったのは キルヒアイスがアンネローゼと出会うシーン
ジーク」と呼んだところで キルヒアイスが「お姉さんと呼んでいいですか?」と言う台詞。
なんか非常に微笑ましく ほくそ笑んでしまいました。
そしてみんなで一緒に食事をするシーンで「ケルシーのケーキ」と何度も言うので何のことかと思ったら
そこのレストランで提供するランチにアンネローゼのケルシーのケーキと言うのがあったのですが 関係あるのでしょうかね(笑

全体的には結構期待以上に楽しんでしまいました。
もし、機会があれば是非見られたらと思います。
現在、東京公演の受付をされていますのでよろしければ・・・・