海外の企業を褒めてそれに倣う企業がたどる道は・・・

日本の企業形態が あちこちで崩壊を始めた。
これは必ずしも企業人だけが悪いわけではない。
トップを走っている人ほど そのシェアを握るものとしての力が強く市場をけん引できるという 鉄則は変わらない。
これが持てはやされて 「業界地図」や「シェア地図」みたいなものが未だに書店に並んでいる。
マスコミとタイアップしたという 広告や商品も少なくなく これが顧客のニーズを作り出してゆくという発想は正しいのである。
ただ、過信してはいけないのは 正しい方法も全員が同じ方法を取った時に必ずしも最善の策ではなくなってしまうわけです。
具体的に言えば、商品を発売と同時に 「今後は〜がスタンダードになる」というような広告が登場し そういった記事が情報誌を彩るわけです。
iPhoneもそうですが 「発売日には人が並ぶ」というイベントとしての価値こそが大事で 広告費もなく話題になれるから非常に良い話なのです。
ところが、実は並んでもらって売れても 並ばずに売れても総数が同じであれば一緒で 人の準備など一時的に忙しくなるという事は普通に考えてわかる通り処理する側としてはたまらないわけです。
アルバイトを雇い その時のために増員し教育して挑むわけです。
これが静かにスタートして同じように売れてくれるなら絶対的にその方がうれしいわけです。
その上、このイベントは必ずしもコントロールできないことが大きな問題で 失敗して一度並ばなくなれば 一気に失速したというイメージが広がってしまうわけです。
イケイケの頃には良いのですが それが何度目かには非常につらくなるわけです。
同じことをソフトバンクだけでなく AUもやったとすると 両方乗れるに別れるために 簡単に言えばお客は半分になり比較されるわけです。
今まではコントロールできていると思ったものの半分はほかの企業がコントロールし始めると 気が付けば主導権を失ってしまっているかもしれないのです。
現に、今回はAUの方が列が長かったなんてのも聞くこともありますし(実際、翌日の土曜日ヨドバシ梅田ではそうだったが それほど並んでいることもなかった)、発売直前にキャリアの社長が サプライズを演出するなんて 今回はしっかりKDDIの社長が登場するという用意周到とも思える動きを見せたわけです。
先にやられてしまうと 後の方は二番煎じにしか見えないあたりが難しいところなのです。
 
実のところ、欧米風や欧州風のビジネスモデルというのは一度崩壊しているわけです。
日本に学べと日本風のモデルを組み込み今に至っているわけです。
で、それがしっかり帰ってきて 「ガラパゴス」とかいう言葉でなんでもくくってしまって 海外からは行って来たものは何でもいいかのごとく持てはやすわけです。
大きな勘違いと思われるのは 日本向けの市場に会社のほとんどの売り上げを依存している会社が 社内で使う言葉を英語にしたなど 苦笑いしか漏れないのです。
しょせん、どこまで行っても母国語ほどには状況が伝わらないのは間違いなくて 無駄口が減る分大事なことも伝わらないという事が起きるわけです。
日本の企業では「ほうれんそう」なんて言葉を壁に貼る会社もあるぐらい ちゃんと報告をされないと つまり話をしないことが問題になっているにもかかわらず それを止めようとは・・・・
勿論、海外に打って出る壮大な計画でもあればともかく ここに至っても海外の商品を日本に持ち込む程度で 中国からはしっかり撤退してきたわけです。
まあ、結果的に中国からの撤退は正解だったと言えなくもないわけですが・・・・
海外のやり方を否定するわけではなく 猿まねではだめだという事で
海外のように日本のやり方に 海外の方式を取り込むというのが正しい導入の仕方となるわけです。
丸ごと持ってきてはいどうぞで行けるわけはないのです。
 
まず、根本的にどんなに良いことでも 同じことをすべての企業が始めれば 企業の規模がすべての評価軸になり 小さな企業に勝ち目はないのです。
そこから少し外れた 独創的な商品や販売方法がヒットになるわけです。
もう一つ、他社が真似をしにくいという要素も大事で 結局真似をされると エスカレート競争になって 最もわかりやすいのは価格競争で作った以上赤字でも売らなければ工場の維持費がかかると
今の液晶パネルがそうで どこも赤字ながら止めることができないデッドゲームなのです。
シャープはそのデッドゲームの中に軸足を置いたわけですから・・・そして品質だけで勝負ができると思ったら 商品の進化のスピードは予想したより早かったという訳です。
 
iPhoneの発売に置いて 商品そのものは 未だiPhoneを自分で持ったころが無いという状況なのでなんといっても ハードウエアの内容ぐらいしか何とも言えないわけです。
ところが今回はビジネスという意味では 面白い展開になったなと思っています。
最初に書いた通り「必勝のビジネスモデル」と思われたiPhoneの販売ですが、図らずも孫社長が話した「我々の武器」という言い方をしたものが 二年のちにその武器を持つものが他に現れたわけです。
「必勝のビジネスモデル」なんてないというのが 最初に書いた通りの話なのですが じつはそれ以外にも難しい問題があったのではないかと思っています。
これはソフトバンクそのものの立ち位置の問題として・・・・
 
APPLEはキャリアに強い要求を行う会社として有名で、それゆえにDOCOMOとは相いれないわけです。
それでもiPhone1本で会社の販売の8割ぐらいを賄っていれば どんな要求でも聞いてゆこうとなるわけです。
ところがライバル会社も売るとなれば 下手をすれば売り上げは40%低下する可能性があるわけです。
故に、4S発売の時には 全面対決の姿を見せたわけです。
発売日に、店に連絡のあったプランを 他社の動きを見て書き換えたというほどのアグレシップな動きを見せたわけです。
ところが、今回は最初の発表のタイミングを譲って その上にテザリング等のプライオリティを先に出されてもそれに対する対策は 古いiPhoneを下取りするていどのものだけ。
それなら 中古で売りに行っても同じだよと言いたいところですが 中古携帯電話の販売の仕方など国民の80%ぐらいは少なくとも知らないのでそれはそれでいいのですが 今回の新製品の発表会ではないですが「サプライズが無い」と比喩されても仕方ないわけです。
 
今回のAPPLEの要求はなんだったのだろうか?
少なくともKDDIに比べて Softbankの方が条件が良かったという事はないのでしょう。
前回は、キャリアの扱いすら発表することができないわけですから 発売までの日にちがタイトすぎて準備不足のまま突入したわけですが 今回はそんなことはかけらもないわけです。
五分の条件でスタートと言いたいところですが、実はそうでもないわけです。
今回のものはLTEという通信方式を使えるようになったので 高速の通信が可能になった。実にくだりは理論り75Mなのです。
ところが両キャリアともにじつは発売までLTEの電波は全く出していないのです。
発売と同時にサービスインとなるわけですが・・・・・
実はこれこそが今回のAPPLEの要求の大きなポイントだったのではないかと思うわけです。
KDDIに関して言うなら以前よりLTEに関しては発表している通り、年内にはDOCOMOと同じカバー範囲で使えると明言してきたわけです。
ソフトバンクに関しては これは二転三転するわけです。
WILLCOMから譲り受けた高速通信方式はLTEではないので これをそのままではだめなので LTEとも互換性のあるものに変えると発表したのは今年の事。
それからの機材調達となっているのと 純然たるLTE施設ではないので 特注品という形になってしまいます。
それでも APPLEからの要求がおそらく来年中に実用化の可能なエリア展開というようなことではないかと思われます。
これをかなえるには非常に速いペースでの対応が必要となるわけです。
そうでなければ わざわざ他のキャリアに比べても進捗度合いの低いものを先に発表しない訳です。
実際 プラチナバンドと同様いつ展開されるかわからないルーズなエリアマップを公開しておきながら 計画そのものは発表せざる得ないわけです。
 
勿論、儲けに関しては随一のソフトバンクなのですが それほど社内リソースがそれ程余裕が無いと思われるわけです。
例えばDOCOMOと同じだけの技術者がいると仮定してなのですが、それでも900M帯の技術者は外から引いてきた技術者しかいないわけです。
2Gや1.5Gは今までもやってきたわけですからともかくこれは初めての試みなわけです。
と同時に、同時進行が多いのです。
これはTwitterでは昨日かなんかに呟いていたわけですが、現在1.5G帯の Ultra Speedというのを展開中なのです。
もうやめればいいじゃん!!なんていいそうですが 実はこれは広げないわけにはいかないのです。
自分のところではE-Mobileもサブエリアとして借りているものを販売しているわけですが、子会社にあたるWILLCOM向けには Wifiモデムも モバイルルーター型音声通話端末もデータ通信は1.5G帯のみを使っています。
ここで辞めたらWILLCOMの命脈を立つことになってしまうわけです。
つまり、いやでも全国カバーまでは広げなくてはいけないのです。
2G帯でも HSDPA+の展開を進めていて これが故に4Sの速度はAUより速いんだと言えるわけです。
これもまあ、ゆっくりでもエリアマップに現れるので広げるしかない。
そして、技術者のの足りない900M帯をプラチナバンドとして広げなければいけない。
それも 拙速であれば意味が無いと言い放ったわけですし、900M帯対応の機種がたくさん出ると じゃあだめじゃんという訳にはいかないのです。
これだけでもほかのキャリアの倍は働かなければいけないのに それにLTEのスケジュールを載せるわけです。
 
実はiPhoneLTEに対応しさえしなければ 現在までの高速通信と同様 サービスインして都心部だけでお茶を濁すこともできたわけですが iPhoneに使われて困るのは「LTE」という表示が出ること(笑
今までのものであれば 3Gの上は別に区別はないし 周波数帯も表示しているわけではないのです。
これが出なければ LTEでないと丸わかりなわけです。
ましてやAPPLEからの要求があればこそ やらざる得ないという状況でしょう。
力関係の問題ですが 1国1キャリア独占であればともかく いつでもほかのキャリアに変われるという状況を作り出した APPLE外資系の企業と同様ドライな対応をしたのでは・・・・と思えるわけです。
出来なければ・・・・といわれれば 準備不足のソフトバンクは従わざる得ないという事になったのでは・・・
その上、iPadの新型でも一緒に出れば大変だったわけです。
で、どう考えてもLTEの展開だけを優先するわけにもいかずに 負けない程度であればいいという消極的な対応となったのではと・・・
で、困るのは料金体系の問題。
LTEが展開するまでは割引で対応して価格を揃えた KDDIなのですが、Softbankの難しいところはLTEの表示が出ないのにLTE料金とは・・・となれば致命傷。
LTE専門の料金体系を大きく打ち出しにくいわけです。
やったことは、今までのホワイトプランは980円で維持できて 縛りはない(実際は端末の負担金などで縛っている)というのも 基本料金割引キャンペーンを推し進め対抗で引くと料金を全く回収できない状況となるのでそれを二年縛りにして 縛りが無いと1980円という改正をせざるえなくなったわけです。
本体を一括で購入しても今後は 二年間の縛りで違約金を回収されるのです。
 
じゃあ、Softbankに打つ手がないのか?というとこの改悪は何かを示しているような・・・
ここから、SmartPhoneで無い電話を つまりガラケーなら安いというものを出そうとしているのではないかと。
勿論、そういっても本体はSmartPhoneでDOCOMOのやっているような機能制限付きSmartPhoneを出すのではないかと。
速度的には遅いものの、例えばパケット代1500円で256K程度で その代り月2000円程度という今までのガラケーの置き換えが十分にできるという商品で 今に満足しているお客を拾い上げるとか。
例えば1.5Gも遊ばせていてもしょうがないのです。
黙っていても、維持費はかかるので積極的に・・・というやり方があるわけです。
勿論iPhone程は儲からないにしても 現状のエリアを爆発的に広げるというのは 正直現実的ではないと
iPhoneに関しては 余計な事をしゃべると 後で突っ込まれても困るし 頼まなくてもあちこちの雑誌が特集してくれるので いっそのことほっとけと KDDIが変なことを言えばそれが弱点になるからという 事ではないかなと
 
ああ、自分で書いていても読み返すのが嫌になる長さの文章だ・・・
 


written by HatenaSync