伊藤探偵事務所の憂鬱4

座り込んだまま、目の前にぬりかべさんの顔を見たところまでしか根性が続かなかった。

「あの子は所長にそっくりなところがあるわね」
どこかでarieさんの声が聞こえて・・・・そうだ ここは !!
体中が身構えた状態で起き上がった。
いつもの事務所のソファーだった。心配そうな 手を出して受けておかないと溶けてしまいそうな 少女? いや 年齢は想像つかないが女性である。
思わず手を出してしまいそうになったところで飛んできた手が 後頭部に直撃して完全に目がさめた。

「お客様に手を出しちゃ駄目 わかる? ぼうや」
目の前で何が起こったかわからずに 表情にすら困っている少女に
「大丈夫ですか?」と声をかけた
「おまえが一番大丈夫じゃないようだが?」
機械の主が珍しく口を開いた。

「☆%#&&・・&%」
女性は口を開いたのだが まるで歌っているようなメロディーしか聞こえなかった。
ハイトーンな歌を聴いているような声を自分に向かって話していると思うと 少し照れくさくて赤面してしまった

「大丈夫? 助けてくれてありがとう うふっ」
目いっぱいかわいい声をだしたarieさんがこちらの方を向いてにやにやしながら通訳してくれたところを見るとやはりあれは言葉のようである。

あまりにも多くのことが一辺におこって 混乱する間のない状態だが だんだん落ち着いてくると たくさんの疑問が湧いてきた。

一つづつ説明を受けた
まず、デパートの捜査には 捜査されたくない人たちがいるらしいこと
捜査されたくない人たちには この女性も邪魔になるらしいこと
その人たちは 人の命などあまり重く考えない人たちらしい それも力持ちの。
それと、自己紹介してくれた(勿論 通訳付きで)女性は whoca(彼女の言葉の中で一番美しいフレーズだった)さんと言うことだけだった。

「で、副所長 このあとどうします?」
もっとも意地悪な質問がarieさんからあった
ぬりかべさんが、床をめくったら下に階段が現れた(初めて見た そんなものがあったんだ)
ニコニコしながら下向きに指差した

「そうだ、whocaさんを隠さないと 僕がこの探偵事務所の人だと判っているって事はここへ来るのだ」

「ピンポーン !!」 三人が口をそろえていった

arieさんが彼女を案内して地下に下りていくのについて行って一緒に入ったところでとめられた。

「どこへいくの?」

「隠れないと !!」
この人は 今何を聞いていたのだろう!

「ぼうや、自分が言ったんでしょ お客様がいらっしゃるって 副所長のお仕事も大変ね」
悪魔のような笑いで上に案内してくれた。

ソファーに倒れこむように座ったら 机の上には“まいうコーラ”が用意されていた
「ぼうやのぶんよ!」

ふたを 開けると きつい炭酸の風味が口の中に広がった。
さっき押さえつけられた時に切れた口の中にしみて痛かった。

もしかして・・・・・ 手の上で踊らされてたのかもしれない それもまだ・・・・