伊藤探偵事務所の憂鬱 10


パフェを食べ終わったら あったかいほうじ茶がでてきた。
何でパフェを食べてほうじ茶なのかはわからないが ほっとする。
彼女を見ていて気が付いたのだが お茶を飲んでほっとする時って何故か目をつぶっているものだ。
胃の中にあったかいお茶が広がって、まったりしていたら 彼女の顔が目の前に来ていた。
「ところで、この後はどこに連れて行ってくださるの?」
口から心臓が出てくるぐらいどきどきした。

「にいちゃん まだ コーヒーものむんか?」
まただ・・・・
「え〜雰囲気やから黙っといて」
ああ、完全に大阪弁が移った
「おーさかの子はそうでないと」
にこにこしながら おばさんは奥に消えていった。
補足しますが 大阪の子ではありません
でも、おかげで又 緊張がほぐれた。意外と気を使ってくれていたんだ。

「どこへでも、買い物 映画、それとも遊園地?」
どこへ誘っていいのか判らなくて 聞いてみた

「事務所に 決まっているじゃない」
後ろにarieさんが立っていた。
「ぼうや これから遊園地に行ったら夜までに帰って来れないでしょ」
厄日のようだ・・・・

arieさんには黙っていてもコーヒーが出てきた。
「にいちゃん もてるねー」
おばさんが笑いをこらえながら 又 奥に消えていった。

「始めまして ですよね」
一転、まじめな顔をして KAWAさんがarieさんに挨拶をした
「良くご存知のようなので自己紹介はいらないわね」
少し怒ったような表情で返事をした。
「猫さんは好き? きれいな猫が事務所にいるんだけど見に来ない?」
一転 笑顔になったarieさんが彼女に言った。
「あたし 猫だ〜〜〜い好き 連れていてくださる?」
ぼくの方に向かってKAWAさんが言った。
後ろにいるarieさんが 無視をされて静かに怒っているのが感じられた。
その証拠に 背中が汗でびっしょり。
「ねっ、いきましょ」
テーブルをはさんで 手を出して 僕の手を握ったKAWAさんが立ち上がった。
「はいっ」
つい返事をして立ってしまった。
うでに抱きつくように押し出されて その感触に逆らえないぼくは一緒に表に出た。
「ぼうや、十一で貸しといたげる」
レジのところで arie “事務所のつけ” と言ってる声は聞こえてるんだが それを指摘する度胸は無かった。

「にいちゃん 修羅場やねー」
おばちゃんが ニヤニヤしながら店の中から怒鳴っていた。
だれかどうにかして!!