伊藤探偵事務所の憂鬱 25

“まて“ の状態でぬりかべさんが座っている。
arieさん:「危なかったわね、もう十分も遅かったら待てがきかなくなるところだった」
KAWAさん:「ぐるるる〜〜」
もう完全に臨戦態勢に入っている。野獣の決闘!!
巨体を揺らし 威圧感を与えるぬりかべさん。爪を研いで、牙を出し一発触発のKAWAさん 両者の間には火花が散り二人を取り巻くオーラが部屋中に広まる。
arieさん:「よーい、どん」
笑いながらarieさんが掛け声をかけたら 二人は持って帰ったケーキを食べ始めた。
結局、仲良く幼稚園児のように座り込んで食べている。

arieさん:「顔が赤いけど 殴られてきたの? それとも心配している私たちをおいて酒盛りしたわけじゃないわよね! もう お眼々がまっかっか」
こう言いたかったからしたのか 目の周りには赤いメイク。つり上がった目じりは魔女のように上がっていた
西下さん:「冗談はさておき、うまくいったみたいだな」
何事も無かったかのように言った
西下さん:「これで、当面の危険は一点に絞られた それは KAWAさんの担当だし・・・・」
どうも、話から推測すると KAWAさんのお勤めしているところは 秘密裏に事を進めるのが専門のところで表舞台に立てる所では無いらしい。
だから、そういう相手に対しては自由に動けるし 人の生き死にですら闇の中に葬っている。だが、今回の一派のように 表の世界の方(私にとっては十分に裏の世界の方なんですが)に対してはその存在すら気づかせられない。
また、二つの敵を同時に相手にすると イレギュラーなことが起きて危険なので表の世界の問題を解決したらしい。
運良くか 運悪くか 表の世界の問題は僕が担当した事になっているようだ。
結果的には、問題を解決するどころか 味方につけたという結果オーライな内容であったようだ。

arieさん:「せっかく用意したの一言で終わらせられた ぶつぶつ」
せっせと後ろを向いて化粧を落とす。
arieさん:「なんだか、二人でいい思いしてきたみたいね あたしたちにお土産は?」

“がちゃ”
表のドアが開いて 若頭が入ってきた
「お邪魔します 先ほどはありがとうございました」
arieさん:「おー、きたきた」
いつの間にか、ケーキを食べ終わった二人も顔を揃えていた。

西下さん:「宴会しようって、さっき電話かけていました・・・」
ため息と共に首を振っている。
驚いたことに、西下さんもarieさんの性格が全てわかっているようでは無いようです。
そういえば、一緒には行動してないな・・・・
よくよく考えると、生贄にされてきたような気がする。

KAWAさん:「いっちばーん!! 歌います!」
躊躇せずに宴会始まった。
お酒と 料理はお土産として持って来てくれたので、何の用意も無く宴会が始まった。
既に宴会を 一セット越えて来た僕には(僕で無い人は 既に輪の中に自らダイブしてらっしゃるので)辛くて、取りあえず ソファーに座りグラスを回して遊んでいた。
横に、若頭
若頭:「本当に有難うございます。」
「有難うって言われるような事は、何にもしていないですよ ご馳走になったぐらいで」
若頭:「先日、お帰りになった後で親分は、先生のお心遣いに涙を流していらっしゃいました。先代からの 百貨店への義理で 故郷を離れこんな所まで出て来て 意に添わぬ地上げをして 尚且つ、何の恨みも無い人を傷つけるなんて 親分にできる仕事じゃありません。その気持ちを お汲み頂き義理を裏切らない方法を考えてくださって・・・」
泣きながら訴えている
若頭:「それでも、義理を優先した親分を助けるために 下げたくもない頭を下げていただいたようで・・・・」
若頭は、意識をしていないだろうが 喋りながら頭が下がって 完全に地面に土下座するような状態になっている。
話を聞いても 良く解らないのだが、きっと西下さんが何かしてくれたんでしょう。
いたたまれない状況の中
arieさん:「頭を下げていちゃ乾杯が出来ないって 言っているわよ」
若頭は頭を上げた、arieさんがお酒を持ってきて
「乾杯!!」
みんなで、何回目か解らない乾杯をした。