伊藤探偵事務所の憂鬱 27

気がついたら、WHOCAさんはお休みになり
ぬりかべさんも食べすぎでつぶれていた。
元気なのはarieさんとKAWAさん。
KAWAさん:「56番 KAWA 脱ぎます!」
ん!、思わずそっちを見たら 二人と視線が合った
KAWAさん、arieさん:「すけべー」
やっぱりからかわれていた。
しばらくして
KAWAさん:「明日も朝から来ま〜す。今日は ばいばい」
と、帰ってしまった。
arieさんも奥に引っ込んで静かになった。
ここ何日かの忙しさと、この静けさ。
昨日までは、この静けさを楽しむ余裕は無かったが今日はこの静けさがうれしい。
もちろん、まだ 襲われる危険性が無い訳じゃない。守ってくれる人もいるし arieさんや西下さんが先に手を打ってくれてるし、肉弾戦は ぬりかべさんがいる。
でも、それなら昨日と一緒で 何だか自分でも何とかなるような根拠の無い自信が出てきた。
伊藤先生とは 一週間も一緒にいないんだけど もっと良く知ってみたくなった。きっと、この人たちと対等に付き合えるってことは すごい能力の持ち主なんだろう。
きっと・・・・

KAWAさんは、いつも楽しそうにしてるけど 段々、仕事のなかに自分が埋もれてきてるんだろう。
いつか、終わったら デートに誘わせてくれるだろうか?
予算の問題もあるか・・・
そういえば、副社長にもらった手付金まだ持ったままだった。
若頭さんいなかったけどどこへいったんだろう。
arieさんに、又なんかさせられてるんじゃ無いだろうか?
そういえば、あの親分 任侠ってああいう人のことを言うんだろう・・・・・
意識が遠のいていった。きっと KAWAさんにもらった薬の効果が切れてきたんだろう。

朝起きると、薬の効果か気分はすっきりしていた。
机の上には 一升瓶が1本2本・・・・
勿論、ウイスキーもブランデーも・・・ビールなんかケースで1ケース・2ケース
昨日の晩は、怪獣でも来てたかな?
もう、奥でコンピューターは動いている。
「おはようございます」
何の返事もない が、昨日のことを思い出すと返事が無くてもいいかなって
ぬりかべさんは、いつもしているウエストポーチが無いので もう出かけたようだ。
下から声がするので覗きに言ったら、野球帽をかぶったwhocaさんとarieさんが何か楽しそうに言い合いをしている。二人ともわからない言葉で話しているので全く何を言っているか判らない。
arieさん、「女性の着替え中を覗くな」
しゃべっている最中に、目の前はarieさんの化粧バックの底しか見えなくなった。
“ごん”約7m離れた僕の顔に鞄が命中しました。
女性が強い理由がわかった様な気がした。こんなに重いものを持ち歩いてるんだから。
arieさん:「中の、PDAが壊れていたら弁償ね!」
倒れている最中にもとどめを刺すarieさんの言葉が聞こえた。
「いってー」
多分、鼻が1cぐらい低くなったような鈍い痛みだった。
頭を抑えながら立ち上がると
arieさん:「ねえ、どう思う?」
Tシャツに薄い中の透けて見えるカーディガン。少し よれた感じのジーンズ。腰が細いので 全体的にだぶだぶに見える着こなしは ボーイッシュというよりも 雑誌の表紙を飾るような可愛い色気が漂ってきた。
「いいんじゃないですか すごく可愛い」
本当にそう思った
arieさん「駄目ね、鼻の下が伸びてる これじゃ目立ちすぎるわ やっぱりこれね」
カーディガンを奪い取り、スタジャンに野球帽をかぶせた。
華奢なからだなので、少年に見える。
arieさんが何か言うと whocaさんが 少し膨れた顔でこっちを見た。
「なんていったんですか?」
arieさん:「坊やが、鼻の下を伸ばしたから その服は駄目って言ったの で、気に入らない服になったのは 坊やのせいだって怒っているわけ」
「そんなこと言ってないじゃないですか」
arieさん:「じゃあさっきの目立つ格好で 人前に出て 見つけられて護ってあげられるの?」
「でも、目立ちすぎるから駄目とか 言ってくれればいいじゃないですか」
arieさん:「ぼうやの鼻の下が伸びていたのは事実だし、それより・・」
「それより?」
難しい顔でarieさんは続けた
arieさん:「あたしそんな難しい単語わっから〜な〜い」
きっと嘘だし 嫌がらせだった。
whocaさんは、それでも何故か楽しそうに笑っていた。