伊藤探偵事務所の憂鬱 46

arieさん:「で、おちゃらけた説明はいいから ここへつれてきてどうするつもり? 監禁? 暗殺?」
KAWAさん:「私に第三次世界大戦を引き起こせって言われても困っちゃいます」
西下さん:「秘密を知られたから 命を貰ったって」
西下さんはうれしそうに言った。
「KAWAさ〜ん」
不安になって聞いた
KAWAさん:「既に知られているのに 秘密も何も無いでしょう」
いつものように笑顔で答える。
KAWAさん:「一応、通路で見つけたパンくずは拾わせていただきましたわよ」
西下さん:「流石ですね、あれに気づかれるとは」
arieさん:「あなたたち、技術自慢をしたいのならよそでやって。今はこれからどうするのかを早く言って。あたしは、気が短いの!」
西下さんは黙ってしまった。
KAWAさん:「てへっ おこられちった!! とりあえず、事務所までご案内して詳細なことは説明します。」
いつもの調子で、KAWAさんが歩いていった。
通路は長く続いた、左右には暗い電気が続いていた。

数分後に、ドアのたくさん並んだブロックにやってきた。
そのうちのドアの一つに入った。
西下さん:「ぼうや、この隣のドアを開けてみないか」
小声で言った
「どうなるんですか?」
西下さん:「どかーんて 楽に死ねるよ」
「・・・・・」
KAWAさん:「勝手に違うドアを開けないでくださいね、命の保障はしませんから ねっ!」
“ねっ!”って言われても 内容が内容だけにうなずけない。

KAWAさん「では こちらに」
案内されたドアを開けると、モニターが一つあるが普通の会社の応接室のような所であった。
先に一人の男が待っていた。
男:「始めまして ですか?」
西下さん:「電話では一度」
男:「やはり気づいてらっしゃいますね」
arieさん:「しっこい!!」
西下さん:「はい」
男:「まあ、お座りください」
KAWAさんを含め全員が座った。
楕円形のテーブルで全員が見回せるような作りになっていた。

男:「皆さんは、所長を助けに行きたいのですね」
aireさん:「そうよ、最初からそういう風に単刀直入に言って!」
ちょっとまたされすぎて頭にきているようだった。
男:「実は、我々は その王国の政権が変わるのを快く思っていない」
西下さん:「最初から、支配権が無くなるといえばいいのに」
男:「で、相談なんですが 私たちはあなた方をお連れします。その代わりあなたの所長を必ず逃がして政権交代を阻んでいただきたい。もちろん、我々のエージェントも同行させていただき安全は出来るだけ確保させていただきます。」
arieさん:「この、狸親父。後ろから銃を持っていて失敗しそうになったら殺してでも秘密を守ろうとするような護衛なんていらないわ」
男:「ただの護衛ですよ」
arieさん:「だから要らないって いっているの」
西下さん:「それよりも潜り込む方法を教えてくれ。断らないことは知っているんだろうから」
男:「また、エージェントの話はご相談と言うことで・・・・」

現在、戦争は終了したとはいえ イラクの隣国に何も無いのに近づくことは出来ない。ましてや、空港も無いからヘリで近づけば打ち落とされる戒厳令状態のお土地柄である。普通の方法では近づくことは出来ない。
で、彼が言うにはアメリカ軍の偵察機で空軍基地から飛び立ち、イラクを越えたところで飛び降りれば可能であると言うことである。
冗談のような方法だったが、アメリカ軍が協力するなら可能な方法であった。制空権はアメリカが持っている。だが、パラシュートでレーダーに映らないようなサイズのものしか落とせないので 丸裸でクーデーターの真っ只中に向かえと言われても・・・・。

男:「で相談だか、HAWKEYE(アメリカ軍偵察機)に乗りたいって アメリカ軍にお願いしてくれないかね」
西下さん:「なるほど・・・・いいでしょう、しかし、高くつきますよ」
用意されたコンソールに向かって西下さんが作業を始めた。
「KAWAさん、HAWKEYEって何ですか?」
KAWAさん:「うーんと、何ていったら良いか・・・・・ そう、ちゃぶ台飛行機」

その日のうちに、アメリカ軍の基地に向かって出発した。