伊藤探偵事務所の憂鬱 52

ぬりかべさんは、グリーンと黒の迷彩服に大振りなコート。僕は勿論持っていないから基地で適当なデザートカラーの軍服に着替えた。靴はジャングルブーツ。
ここで額に 鉢巻でも巻けば気合が入るんだろうが いかにも「ランボー」を見ましたといった コスプレはちょっと恥ずかしいのでポケットに後で巻こうと思ってバンダナを忍ばした。
雪の中だそうなので 白い外套も貸してくれた。
遅れて女性陣が入ってきた。

「“チャーリーズ・エンジェル“ですね・・・・・・」
皮で出来たボディースーツを颯爽と着こなしaireさんが入ってきた。
手には、ブランド物のリュックサックと反対側の手には白いトラの毛皮のコートを持っていた。
「パーティは大盛況になりそうですね」
いやみたっぷりに言って、海より深く後悔した。
一言でも言おうもんなら百倍になって言葉に帰ってきて 千倍になって態度に帰ってくる。
arieさん:「派手にいきましょう!」
嫌味には聞こえなかったようだ。

後にKAWAさんが入ってきた
「・・・・・・」
ポケットからバンダナを取り出し、額に巻いた。
このメンバーなら何をやっても恥ずかしくない。
いや、僕が唯一浮いている・・・・・

KAWAさんが緑の大きなオーバーオールで入ってきた。
雨蛙としか形容できない・・・・決して 比喩や誇張でないことは 白くなったおなかと 水かきのついた手足。頭のフードには目玉が付いていることを考えてもらえば十分だろう。
「それは何ですか?」
思わず聞いた
さすがのarieさんも驚いている。
KAWAさん:「いいでしょー 新素材なの お姉さんにもあげないよ!!」
「かえるさんですよね?」
KAWAさん:「そう、このおなかの白いところがポイントなの」
いや、そういう意味じゃない・・・・・
KAWAさん:「かわいい色だったから ちょっとかえるさんにしてみたの。高かったんだから」
「それで行くんですよね」
KAWAさん:「国家予算をバリバリ使って作ったんだから当然よ これって2本もかかっているんだから」
「2万もするんですか!! そんなコスプレが」
arieさん「ぼうや、2億の間違いよ きっとあのコスプレが・・・」
KAWAさん:「さっすがーお姉さま ピンポーンですわ」
2億円・・・・なんか税金の使い方を間違えている。
なんか、自分の格好が一番駄目に思えてきた。

パイロットが呼びに来た。
が、メンバーを見て 声を一瞬失った。
パイロット:「今回の行程を改めて説明します・・・・・」
腰の強い 真面目で堅物なパイロットのようだ。
その後丁寧に箱詰めされて 機内に運び込まれた。
離陸を待って、開梱された。
機内は質素で、辺り中に計器が並んでいる。
並んでいるモニターに数字が流れているが何を意味するかわからない。
「Good morning ぼっちゃん、じょうちゃん元気かな?」
突然計器のモニターに映像が写ってしゃべりだした。
「西下さん!!」
arieさん:「で、位置は特定できたの?」
何事も無かったかのように言う。
西下さん:「特定は出来ません。と言うことは未だ捕まっても殺されてもいません。現在の包囲網の目を考えると 特定できるポイントが3つほど。」
arieさん:「で、その3つの内のどれなの?」
西下さん:「山の上、が一番確立が高いと やはりイラク側からの山越えが必要になると思います。」
arieさん:「そうね、馬鹿と何とかは高いところに上りたがるから。ところで、時間的余裕はどれくらい?」
西下さん:「後2日、それぐらいで彼らも気づくと思いますので」
arieさん:「降りた後の合流方法は?」
西下さん:「今日の夜の通信で確認できると思います」
arieさん:「じゃあ、確認でき次第連絡して」
西下さん:「らじゃー」
ぷつっと通信がきれ 元の画面らしきものに戻った。
「西下さんって何処から見てるんですかね?」
arieさん:「ありとあらゆる機械の目 って本人は言ってるけど」
「本当ですかね?」
arieさん:「さー、でもきっと昨日のは見てたと思うよ」
「・・・・・」
KAWAさん:「か〜えるさんが ぴょんこぴょんこ」
KAWAさんが楽しそうに飛行機の中を飛び回っていた。