伊藤探偵事務所の混乱 24

食事は部屋でした。
僕のわがままだった、このまま誰にも邪魔をされたくない・・・・
という気持ちもあったが、KAWAさんをおなか一杯食べさせてあげたいと思ったから。
ルームサービスは、大量の食料を運んできた。
外の見える、テラスの付いた窓際のテーブルにとりあえず一人前づつ置いてもらって 今日からの強行スケジュールを考え、水で乾杯した。
コーヒーと、オレンジジュースも用意されていたが 水だけが脚の付いたグラスに入ってきたからである。
KAWAさんも楽しそうに応じてくれた。
最初は、一緒に上品に食べた。
そして、何時も通りKAWAさんはすごい勢いで食べ始めた。
でも、僕は食べ終わった瞬間からのアンニュイな時間を楽しんだ。
“ぴんぽ〜ん“
部屋の中に呼び鈴が鳴った。
KAWAさん:「コーヒーのお代わりかしら?」
「そうですね」
ぼくは立ち上がって、ドアのところまで行った。
「はい?」
erieriさん:「おはようございます」
シェンさん:「おはようね」
「あっ」
一瞬後ろを向いて確認した。何も都合の悪いものは無いだろうか?
なんとなく後ろめたい気がして、見回してしまった。
そして、正直がっくりした気分でドアを開けた。
「どうぞ」
erieriさん:「いい部屋ね! さすが新婚さん」
しゃべりながら、入り口近くの部屋に座った。
シェンさん:「昨日はゆっくり寝れましたか?」
「はい、結構ゆっくり」
erieriさん:「そうでもないんじゃない? 新婚さんだし」
「馬鹿なことを言わないでください!!」
言い返したものの、顔が赤くなるのを感じた。
erieriさん:「図星じゃない」
シェンさん:「KAWAさんはいかがでしたか?」
KAWAさん:「ゆっくりさせて頂きましたわ」
尚も、食べ続ける。
erieriさん:「食べ終わったら出かけますわよ、お譲ちゃん」
「じゃあ、出かける準備をしなきゃ」
KAWAさん:「いいわよ、もばちゃん あたしがするから」
「あっ、はい」
素直に納得したのは、僕の荷物ではなく全部KAWAさんが用意したもので どこにどう片付けたら良いかが解らなかったからである。
KAWAさん:「それより、もう少し時間を下さいますか? ゆっくり朝ごはんを食べたいもので」
erieriさん:「未だ食べるつもり?」
KAWAさん:「そうなの、だから出て行って、って言っているのが解りませんか?」
少しむっとした顔をしたerieriさん。
erieriさん:「はいはい、お嬢様の言うとおりに 下で待ってるわ もばちゃん」
シェンさん:「じゃあ後ほど、車は駐車場だからゆっくりしてくださいね」
二人はそろって出て行った。
KAWAさん:「ごめんね もばちゃん」
「なにがですか?」
KAWAさん:「何か、あの女 許せないものがあるの」
「KAWAさんにも苦手があるんですね」
笑いながら言った。
KAWAさん:「違うのよ、あの人は危なすぎる。普通の人と一緒にいちゃ駄目な人なのよ」
「それは、所長もarieさんも一緒でしょ」
KAWAさん:「そうかもね、あたしも50歩100歩だもんね」
「僕は、3歩97歩ぐらいですけど、僕も一緒ですよね」
KAWAさん:「そう・・・・かもね、気にしててもしょうがない 楽しみましょ」
「はい、とにかく頑張って食べましょう」
KAWAさん:「もう、食べるものが無いけどね」
周りを見回すと、もう既に食べ物が残ってなかった。
「そうですね、何か追加しますか?」
KAWAさn:「そうね、もう少し食べたいわ」
「何にします? トースト、パンケーキ?」
KAWAさん:「もうそんなものは良いわ、デザートだけで」
立ち上がったKAWAさん、目の前に来た
KAWAさん:「おいしそう」
近づいたKAWAさんの唇が、僕の唇をとらえた。