伊藤探偵事務所の混乱 75

arieさん:「恐竜と狼男ね、その共通点は?」
「ゆ・遊園地ですか?,それとも映画? ホラー小説」
明らかに間違いとわかっていても、そう答えるしかない。
erieriさん:「そうね、ジュラシックパークなんて近いかもね」
完全に馬鹿にして笑いながら言った。
arieさん:「アニメって返事が帰ってこなかっただけでも優秀に成ったわね」
arieさんも笑いながら言った。
erieriさん:「arie先生の教育のお陰かしら?」
arieさん:「よしてよ、私は保育園の先生じゃないんだから」
「僕は保育園児じゃありません!」
arieさん:「そうね、今ので小学一年生ぐらいにはしといたげるわ」
何を言っても、口で勝てるわけじゃない・・・といっても 体力でも知力でも勝てないんだが・・
とにかく面白くないんで、ふてくされて横を向いた。
erieriさん:「いい、次に出てくるとしたら?、1、大きな象さん 2、吸血鬼 3、ピンクの豚さん」
象?、吸血鬼?、豚??? 最後の豚でないのはわかった。
しかし、最初の二つの相関関係まではわからなかった。
erieriさん:「この問題に答えられたら謎が解けるかもよ」
答えに窮してる僕に向かってerieriさんが言った。
arieさん:「あんたのほうが保母に向いているかもね」
erieriさん:「金を持ってないガキには興味は無いわ」
arieさん:「でも、ピンクの象さんとは友達になれるかもよ?」
ぬりかべさんが帰ってきた。
縛り上げた、狼男を連れている。
ぬりかべさん:「どうしますか?」
arieさん:「そのへんに適当に括り付けといたら? 別に襲ってこなければ何でもいいわよ」
erieriさん:「あたしには聞かないの?」
ぬりかべさん:「人類の宝を殺す決断は出来ませんね。もちろん、まだいるかもしれないけどね?」
arieさん:「箱舟には、そんなスペースは無いのよ」
ぬりかべさん:「じゃあとりあえず、この辺に」
arieさん:「大丈夫、性悪女に魅入られたから とても襲ってく元気は無いから!」
確かに、狼男の顔には反抗するほどの元気は見受けられなかった。
arieさん:「それよりも、行くわよ! そろそろ入り口の岩をどかして入ってくる頃だわ」
遠くで、獣のほえる声が聞こえてくる。
erieriさん:「そうみたいね・・・でも、もう急ぐ必要も無いかもしれないけど」
arieさん:「とにかく急ぐわよ!」
erieriさん:「はいはい」
崖を下って、もっと深くにもぐってゆく。
地上から何メートル下に落ちたであろうか。
深くにもぐっている事は、既に外光があてにならなくなっている事と、周りの温度が一気に下がってきた事で感じられる。
湿度は既に飽和しているので、温度の低下によって飽和限界が下がって水滴となってあちこちについている。
足元も滑りやすくなってきた。
erieriさん:「もうすう十メートル下がれば、もう一上着が要るわね」
寒くなってきた事を彼女なりに表現した。
ぬりかべさんが、背中に背負っている大きなリュックを見せて、中から上着を出した。
そして、全員に配った
arieさん:「センスが悪い」
erieriさん:「趣味が悪い」
「ありがとうございます」
ぬりかべさん:「嫌なら、着なくてもいいですよ」
arieさん:「まあ、我慢するわ」
中に着ていたベストを、ふかふかのジャケットの上から締めこんで上半身のラインを出した。
裾を少し上げて膝から下を出すのも忘れなかった。
erieriさんは、ウエストからベルトを引き抜き、上着の上からアクセントとして腰に巻いた。
首筋には服の内側からスカーフを引き出し、首周りにアクセントを付けた。
erieriさん:「少しは見られるようになった?」
二人とも、いや4人で同じ服を着ているのにも関わらず、二人の服は違う服のように着こなした。
ぬりかべさんも、実際はホルスターや多くの装備が付いているので僕の服と同じではなかった。
ぼくは、ひとりただのダウンジャケットだった。
まるで、町の中を歩く程度の服装だった。