伊藤探偵事務所の爆発 36

男B:「貴方に恨みは無いので 通してくれって言っても駄目だろうな?」
男A:「できれば引いてくれると、お互い不幸な結果にならなくて良いと思うんですけどね」
二人は、未来さんの挑発に乗らず、話をしながらちらちらこちらの様子をうかがっている。
未来さん:「来ないんなら 行くわよ」
未来さんは始めて口を開いた。
男A:「良かったな、お前みたいな男でも相手にしてくれるって」
男B:「ちっとも色っぽくないがな」
未来さんの前にある膝を曲げて、後ろ側の足を蹴って飛び込んだ。
左手の手のひらが 男達のほうに。
男Bは男Aの後ろに隠れた。
男あは動かずに、未来さんの伸ばした手から発せられる衝撃を、そのだぶついたお腹で受け止めた。
手のひらが当った瞬間、お腹に手の当ったところを中心にお腹に波が広がった。
勿論、裸でいるわけではない。
一応真面目に忍び込むつもりだったようで、黒ずくめの服装である。
ただし、上のシャツはお腹のあたりで張り付くほど引っ張られ ただのシャツではなくボディスーツのようになっている。
当った、手のひらに対するお腹の動きが良く見えた。
だが、その波が衝撃を吸収したようで 男はその場を吹き飛ばされて動く事は無かった。
みらいさん:「ちっ」
顔を少し上げた未来さん。
前にいる男の後に隠れた男が、前の男の肩に足を掛け飛び上がり上から未来さんに足を振り下ろした。
背中を丸めた男は、空手のかかと落としのように 振り下ろした。
少し違うのは、男は空中を飛んでいるので体重の全てと 体を丸めた回転力が足のかかとに集中していた。
腕を伸ばしきった未来さんの頭に向かって落ちてきた。
そのままでは避けきれなかったので、未来さんはそのまま地面で前廻りの要領でくるっと廻ってかかとを避けた。
目標を失ったかかとだったが、そのまま足を伸ばして着地した。
全店して体制を立て直した未来さんとは約2メートルの距離を離して 見合わせる形で双方地面に膝を立てて座り込むような形になった。
動き始めたのは、というよりその体勢で一瞬もからだの動きを止めることなく 今度はその男に早い突きを繰り出した。
その手が当ると思われた瞬間に 男の体が一回り大きくなった。
正確には、大きくなったり小さくなったり物理的にするはずが無い。おとこは、いつも曲げている背筋を伸ばして その突きの間合いから僅かでは有るが 後に体を反らせた。
そして、伸びたからだのばねを利用して、両腕を上から振り下ろした。
未来さん:「きゃっ」
避けたはずだったが、わずかにその手が当り未来さんの体制が大きく崩れた。
それでも、背を下にして倒れこむ事には成功し こけた反動を利用してそのまま男に蹴りを出した。だが、男には避けられた。
勿論、未来さん地震もこれが当るとは思っていなかった。だが、ここでけん制して相手の体制を崩させないと 自分の体制を立て直す事が出来なかったからである。
両足が伸びきったところで、体を180度回転させそのまま立ち上がった。
ただ、その後には太ったほうの男がいた。
追う一度そのまま、肘でその男に打撃を与えようとしたところで、肘を止めて 太ったほうと痩せたほうから尤も距離を取れる方へと飛び下がった。
男A:「逃げちゃった」
痩せた男は再び体を曲げて不恰好ながらこれがこの男の戦闘体勢なんだろう。
男B:「言ったろう、太っていると嫌われるって」
未来さんが改めて構えなおした。
男B:「誤解なんだ、色っぽくないって言ったのは 貴方に対してではなく この場に対しての事なんだ」
未来さん:「有難う、でも駄目ね、許せそうに無いわ」
未来さんが横に伸ばした腕の先、握った拳を開いて手のひらを見せた。
その手のひらから、鎖のついた分銅が垂れ下がった。
男B:「駄目みたいだな・・・」
緊張感が走った。
arieさん:「はい、そこまで」
未来さん:「arieさん! この人たちは・・」
arieさん:「これ以上続けると、死人が出そうね」
男B:「これで、2対2 人数がそろったな」
arieさん:「顔も不気味で、体も気持ち悪いけど 一応王国警備隊だから敵じゃないわよ」
この二人は、王子の消息を追って王が使わした二人であった。
状況を掴めていない王が動かしたものだった。
arieさん:「自己紹介はいる?」
男たちに向かっていった。
男B:「女性だけで良いよ」