二日目

いろいろあったのでしょうが、気がつくと翌日の朝でした。
その後どうなったかに自信のない私。ただ部屋のクーラーを寝ながら「誰か緩めてくれー」と叫んでいたのか、頭の中で思っていただけなのか気になったことは覚えています。
部屋のクーラーは友人の手で最弱の最高温度には調整されていました。つまり効きすぎるだけなのでした。
朝日は鈍く、レース地のカーテンを飛び越すほどの強さは持っていません。
「これがタイの日差しだ!」
おおよそ自らのイメージと違うタイの朝でした。
シャワーを浴びて、ようやく目が覚めたコールドスタートな頭に鞭打って動き始めます。
取っていただいたホテルの部屋は、広いツーベッドルームのキッチン付のウイークリーマンションのようなものだそうです。
これから4日間すごす拠点になります。
地下鉄ともMRTの駅の交差する地点から徒歩10分ほどの交通の便のよいところ。
徒歩で駅まで行く間に、途中の屋台で朝ごはん。
「ぞんざい」という形容詞をよく使う私。
汚いとか、適当とか 日本人の感覚で評価するのは正しくない。その国にはその国のやり方がある、ゆえに、言葉として判りにくいもの そういう意味なのかよく判りませんが、切て皿の上に盛ったような料理に対して「ぞんざいな」という形容詞をたくさんつけて話します。
もちろん、私が日本でこの言葉を使っているときはただの悪口です。
ガラスで3面を囲われたケースにフックに吊られたかわいそうな鶏。もちろん、生きているわけではなく お肌は味のついた茶色い衣服をまとって ガラスケースの中が暑いのか油の汗をぽたぽた流している状態。小さなそれこそ何とか抱えれば持てそうな小さな屋台に3匹も囲われています。
指差して注文すれば料理が出てくるのか、それとも友人は何かしゃべっているのですがそれが言葉か叫び声かわからない私の前には料理が出てくるわけです。
「ぞんざい」な料理が。
プラスチックの直径25センチ程度のお皿には、言葉通りのタイ米が敷き広げられて申し訳程度の野菜と 私の聞いた話ではおそらくお高いシャンツァイが一つ置いてあります。
その上にさっきの鳥が、細義理にされて数きれ皿の端まで並ぶぐらいに盛られています。
隣の屋台のテーブルとしか思えない席を指差されて そこに座るとテーブルにはなんだか判らない 唐辛子ぐらいしか判らない4種類の調味料が置いてあります。
おそらくかけて食べるのでしょう。スープも運ばれてきて準備かんりょう。
一人前、35BTの朝食です。1BT大体で3円ぐらいで換算していますので105円ぐらいの朝食でしょうか。おまけにここでは水までサービスしてくれています。
友人の話によると、少し乳白色ににごっている水は安全ということなのでちゃんと飲めます。どうも一度沸騰させたものを冷やしているようです。なぜそれが濁るかは疑問なんですが・・・・
味は・・・・タイ米が好きであれば問題はありません。しょうゆ(?)、唐辛子、シャンツァイなどを混ぜ合わせたスパイスミックスをつけながら食べます。
半分ぐらいで降参したのですけどね。
さあ、今日の行動開始。
行き先は・・・・・ まずマッサージです。
基本的にマッサージは苦手です。こそばがゆくなったり痛かったりの経験しかないのでお金を払ってまで行くものとは思っていません。
しかし、タイ式古式マッサージは 体を端からマッサージして行き全身の血の流れをよくする種類のもの。端から体全体をもみ上げるのに約二時間。もちろん待ってなんかいられません。一緒に参加します。
たった、といって良いのかその国の人には失礼に当たるかもしれませんが 日本人の感覚として 240BTつまり 720円で全身マッサージしてくれるわけです。
服を脱いで、寝巻きのようなものに着替えて ベッドで寝転びながらのマッサージ。
本で読んだとおり、足の裏を拭くところから初めて、徐々に足の付け根のほうにもまれています。
女性の方だったのですが、非常に力強い揉み方。
かゆくも痛くもありません。ただ、足の付け根のリンパ腺の辺りや足首は痛かったりします。
気持ちがよくて、まるで寝起きの二度寝に入る前の状態が持続するような状態。
目を瞑って、もまれるままにします。寝ないのは定期的にか不定期的に痛いところを押されるので意識が微妙に引き戻されます。
ただ、残念ながら私は182cmの長身。タイの女性は日本の女性より少し小柄なイメージだと思います。もちろん力強いだけのボリュームを持った女性のマッサージですが いかんせん足の長さと腕の長さが足りない。
私の背中にひざを当てて、腕を後ろに引っ張ると私の腕が引っ張られるより女性の腕の伸びる距離が短かったために ずるずる膝から滑り落ちてしまいました。
それでも終わったときには、まるで自分の体の中で作られた生命エネルギーが指先の爪まで行渡ったような気がします。
ただ、けだるい疲れが・・・・・
えーっと、もう何もしたくありません。
よい一日が送れてよかったです。
と自分の体が言っています。
時間は午後1時半。
まだ宵の口です、って それ以前です。
そのまま歩いて、川沿いの怪しいもの市場に。
ここは、川にかかる箸の欄干がと道路のつなぎ目辺りに 薄暗いアーケードがあり。
といってもそんな横文字を使うような立派なものでは決してありません。
高さ2mぐらい横幅1mぐらいの細い入り口。
天井からは照明の為の電線が垂れ下がっていて、私のような背の場合暖簾をくぐるように手でよけながら行きたいところなのですが、意外と触ると感電するかもしれません。頭を少し下げて潜ります。
「あれ?」
店のほとんどはシャッターがしまっています。
ビルの隙間にビニールテントを張って雨よけをして 両脇に店を並べて その隙間が広いので真ん中にも中ノ島のように店の出来たような構造の路地店。
ひどい店などは、ひじを広げるのはOKだけど腕を曲げたら店の両サイドにぶつかるような店。広くてもよこはば2mぐらい。
地面はがたがた、液体の組成はわかりませんが ジュースなのか水なのかがこぼれていて、おそらく閉鎖恐怖症の人は間違いなく耐えられない。そうでない私も店の切れ目が外に通じている通路になって 少し奥に車が走っていたり空が見えたりするとほっとするよう
所です。
ようは、ゲームの比較的ダークサイドな販売店が並ぶ通りです。長さは100mぐらい。
ところどころ広くなったり狭くなったりで 2筋から4筋ぐらいが動的に変化している複雑な構造。
友人の話によると、「手入れかな?」
こちらでも大手を振ってコピーソフトを売ることはやはり犯罪なのでしょう。
PSやPS2、GB、GBAPSPなどのコピーソフトが販売されています。
そういったお店のほとんどが開いていないのでそういうことでしょう・・・・
それでも、店の人に「PS2ゲーム」なんていうと、店の中(ただのカウンターの裏)に呼ばれて、しゃがまさされてかごの中から選びなさい と来るわけです。
1枚50BTとかですから・・・・
おそらく販売してると思われる店のシャッターの隙間から幾つもの店で蛍光灯の明かりが漏れていますから、もしかして中にいるのかもしれません。私ですらそう思うぐらいですから、実は取り締まりも比較的放歌的なものかもしれません。
ソフトが英語版をベースにしたもの(日本語はこちらの国の人は英語より読めないですから)であること、本体自身を改造していないと動作しないこと等で購入しても使えません。
いや、使えませんよ絶対。
まあ、最初から判っていればPS2本体を持ち込めば、さっきの手の広げられない店は半田ごてをもったおじさんが 客の来るのを待っています。
一部オリジナルには戻らない修理のために・・・・
ちなみに、改造のためのチップも型番、国語(日本語とかですね)、製造番号別にきれいに並べてあります。
携帯電話の改造店でも思うのですが、「.5(ICの足と足の間隔が0.5mmということです)」とかの基盤に対して、半田ごてを当てて部品を付けたり外したり。なかなかの技術ですよね・・・・
通りを通っているうちに、徐々に開いてくる店。
店によっては2/3ぐらい開いたシャッターの店に通りがかる私たちを呼び込む客引きも・・・・
そして、人が一人回りにあたらずに通るのが苦しい通路の中をワゴンで動き回る物売りのおばさん。
おばさんと交差するために、知らない店に入っていく風景すら当たり前の場所です。
PSPPDA化キットなんて、聞いたこともないソフトとかとにかくグレーなのかダークなのかよく判らない場所です。
開いている店を順番にまわって、ブランド品?(聞いたこともない名前だからコピーではないと思います)の財布を250BTで購入し(なんで500BTが250BTに?)次に移動します。改めて出直さないと全部見れそうもないです。
ここからは、タクシーが捕まらなかったので三輪タクシーで移動です。
タイといえばこれっ というような乗り物です。
これも聞いた話ですが、タイの町は川を埋め立てた通り沿いに成り立っているそうです。もともとの交通手段が川に浮かぶ船ですから当然そうなるのでしょう。
「ソイ」と呼ばれるその通りから左右に 植物の葉の葉脈のように生える路地を縦横無尽に走り回る3輪タクシーは必要な交通機関なのでしょう。
私が乗ったものがそうなのか、全部がそうなのかとにかくすごい運転。
乗るのも、乗る前に価格交渉をして乗るタイプで、私一人では乗れなさそうな乗り物です。
ご存知の方もいると思いますが、昔ゴーカートのような車に乗ってたこともあり、窓がないとか屋根がないことや社交が低いことが直接恐怖感に結びつくタイプではありません。逆に風が気持ちいいなという程度。
しかし、常識の世界でこの乗り物は評価できません。
2車線に4台が横並びで走っている。ミラーを擦る隙間にブレーキなんて満足に利かないこの乗り物で迷いもなく突っ込んでゆきます。
それも、ウインカーを出して動いている車の隙間に。
50kもでたらいっぱいいっぱいなこの乗り物をあるときは4車線横断し車線内でUターン逆送、切れ目で中央分離帯を跨いでもう一度Uターンとか。
何かの約束事はあるのでしょうが、しゃれに成らない恐怖感。
Benzと幅寄せ合戦をし、バスの横っ面を手ではたいて 押しとどまらせる。ぜひ、心臓の弱い方は一度乗られることをお勧めします。
その乗り物で、タイの方々が聖地?といわれているところ(ですよね)に向かいます。
大きなショッピングモールなのですが、タイのPDAや携帯電話の好きな人であれば必ず訪れるようなビルに向かいます。
5階建てぐらいのコンプレックスで最上階は映画館、その下はフードコート、そしてその中の一つの階には 見渡す限り 正確には人が一人通れるぐらいの細い通路が垂直に交差する 一店舗は2m×1mぐらいの店が一周すると 30分は掛かるだろうぐらいのワンフロアーにひしめいています。見渡すことは出来ないのですが それぐらいの店舗数があります。
PDA単体ではともかく、スマートフォンと名前がつけばない機種はないのではないかと言うぐらい種類があります。
もちろん、一店舗に集まっているわけではないので 順番に店を見てゆく必要があるのですが・・・
携帯電話は、お会いしたときにSIMカードをお借りしているのでボーダフォンの携帯をごにょするのか現地のBT付の携帯を買うのかの選択。
中古も範疇に入れれば恐ろしい種類。
きめうちでBT付 チープを合言葉に探してもらう。
どういうシステムなのか、一店舗で聞くと近くの店から持ってきてでも進めてくれる。
SonyElicsonのものがBT付で最も安く1700BT程度であります。
ちなみに、802SHのごにょは日本語の看板のある店で800BT 悩みどころです。
友人が奥で半田ごてとPCのキーボードをもってごそごそしている店で聞いてくれる。
日本語、英語、タイ語のどれも片言(日本語も連続した単語では通じないので これまで片言)でまくし立てる。
当初1000BTの設定が 10分ほどの交渉の末2台で1100BTで決定。
コレクションに携帯電話が欲しかったのですが中古は中古。SonyElicsonは電池があまり汎用性がないのでバッテリーがだめな場合ダメージが大きいのであきらめてこれを使うことに・・・(これが後の不幸の始まりだったりはします)
Tシャツを100BTで買ったり、コーラを飲んだりしながら遊びました。
スマートフォンもASUSのP505が中古で12000BT。これは・・・・
ご存知かどうか判りませんが、四隅のとがった角型のO2miniに液晶画面を半分隠すようなキーボードのついたスマートフォン
GSMモデルながら、折りたたみキーボードのギミックといい小型なボディといい欲しいPDAの一つです。しかし、実際のところこのツアー自信が貧乏の始まり。これ以上の予算はないので見送りということでスルーしました。
ケースもNOKIAブランドながら全然関係のない物などが多く出ていてそれを買うだけでも楽しいでしょう。ちなみにケースは皮のもので120BT〜150BTぐらいでしょうか。
お土産にはいいような・・・・って何で一つも買ってないんでしょう?
中途半端な時間にご飯を食べています。
こちらのフードコート そういう言い方をすると判りにくいでしょうか? 百貨店の地下によくある 真ん中にテーブルがたくさんあって回りに ラーメンなどのそこで食べれる料理を作っている小さな店の集合体。
カウンターには 流し台のシンクのような凹んだ入れ物が8つだったり10だったり並んでいて、その内の何種類かを選んで麺やご飯に乗せて食べるもの、生魚が並んでいて選ぶと料理してくれるもの。もちろん、野菜もそういったのがあります。
出来上がりの料理が並んでいる店もあります。
屋台が発祥と思われるこういうタイプの店舗は、現金では購入できません。Ticketカウンターでお金でチケットを購入してそれで購入します。余った分は減額されずにrefoundカウンターで換金してくれますので安心。
好きなものを指差して頼むのも楽しいかもしれません。わたしは、いつものように人任せ。
えーっと、お願いだから食べられなさそうなものの中から選んでください。
そんなに、食べれるかどうか判らない現地料理は精神的に疲れます・・・・
ウイークリーマンションなので、歯ブラシや髭剃りが無いので買いに行きます。
ここまでで判ったと思うのですが、私は人と動くときには一切の下調べをしていません。
つまらない知識が、邪魔をするかもしれないからです。
と、言えばかっこいいのですが やはり仕事でなく遊びに出かける前にはその前の用意が忙しくてそれどころではない。
なおかつ、地図を見ながら行動を追うようなこともしない。
ゆえに、一切の地名なんかは出てきません。ただ、その場で楽しんだことを覚えているだけなのです。ゆえに、本人だけが幸せなこういった書き方になるわけです。
夜になって、一度ホテルに帰りそれから夕食に出かけます。
後日に判ることですが、そういった行動体系は私には向きません。ホテルに帰るとまだ9時にもかかわらず、別途に腰掛けた途端に発生する止め処もない眠気。
できたらこのままここで寝かせてください・・・ちう状況ながらご飯は食べていません。
えーこれは別な意味で怪しげな街に出かけていきます。
ここで海鮮料理 蟹を一匹殻ごと身をほぐした蟹と一緒にスクランブルエッグのあんかけのような物をかけた カレー味の料理等を食べながらご夕食。
500Bt(ビール込み二人)と少し奮発した料理を食べて私の一日は終わり。
分かれて、タクシーに乗って一人ホテルに。
どうも、タクシーの運転手にはホテルの場所がわからなかったようで ホテルの周りをぐるぐる。
私には何の説明も出来ないので、ある程度は付き合いましたが着きそうにないので 見覚えのある場所で
「止まって!」
手のひらをルームミラーに向けて叫ぶ。
なぜかこういうときはいつも日本語。とめてもらって後は10分ほど歩いて帰りました。
昨日と同じ、記憶が部屋に入った辺りで・・・・・