そんなことより・・・・

DOCOMOからAUからVodafoneから 雨の後の筍のように海外のプログラマブルな携帯電話が発表になります。
現在発表中のものだけを見ていると、いずれも業務用で一般用には入手できません。
まあ、法人で契約すれば簡単に入手できるようですが 普通の人はそう簡単にはいかないでしょう?
なんでこんなに歪なことをするかといえば おそらく個人用に出荷すれば大して売れないわりにサポートの負担が大変だという自覚があるからでしょう。
 
おそらく、私の知っている方々では多くの方が購入する可能性があるとしても 一般性という面では僅かです。
hTCzでも、私の会社でも知っているのは 100人中2人ぐらい(感覚ですよ)でも多いほうだと思います。
TV CMも無ければ トレンディドラマで俳優が持ってないからもあるでしょうがそんなものなのです。
では、TV CMを打って トレンディドラマの俳優がかっこよく使いこなしたら・・・・
 
たとえば、助けてと言う女優からのメールが男優のスマートフォンに入り その姿が動画で映って 送られてきた座標から地図上のポイントが打たれて その場所に向かって見ながら走る。
その画面上には犯人が指定したタイムリミットまでのカウントダウンが時計として写っている。
駆け込んだ古倉庫に縛られている女優、何も考えずに駆け込んだ男優は犯人に捕らえられて 犯人は得意げに自分の罪とこれからの想像でしかない楽しい未来について語り始める。
その時、影から颯爽と登場する男優の相方が犯人を捕らえる。
フラッシュバックで走る男優が、キーボードをあけて(声で電話しろよ)何か指示を出しながら女優の捕まっている場所まで走ってゆく回想シーンが浮かぶ。
男優に抱きつく女優と男優。
相方の男優は、得意げに電話で結果を誰かに報告している・・・・・
 
なんてドラマを作ってCMとタイアップして売り出したとして(長いな・・・例えのほうが)
まあ、とりあえず売れるでしょう。
で、売れた後に困るのが実際にどう使うかです。
インターフェースが未だ親切でなく一般の人が即座に理解できにくい等 W−Zero3などでも問題になっているようなことをここでは野暮だから言わないとしても、どういった契約で申し込みましょう。
 
電話である以上音声契約は必ず必要です。
二台持つような人なら別ですが、普通は一人一台なので必ず必要です。
そして、その上に乗せるデータ通信の契約ですが・・・・・思いのほか困ってしまいます。
スマートフォンをかっこよくかどうか使いこなす上で最低限の機能として上のドラマの中でも
メールの受信
インターネットの閲覧
メッセンジャー
程度の機能は必要でしょう。
現在の電話機では パケット定額がかなり一般的で 一月10万パケットぐらいを消費するのが定額契約の人らしいので それぐらいの消費として・・・・という前提は本当に正しいのでしょうか?
まず、メールですが ワードやExcelの添付ファイルが開けるのはこういった機種のメリット。
一つのWordファイルは100k前後だそうで、そういったファイルの添付されたメールを 一日1通としてカウントするだけで、100x30=3Mあります。(1M=1000kbで計算)
本体文章を除いていますのでまあ、ざっくりそれぐらいと考えましょう。
インターネットの閲覧ですが、では残り7Mぐらいと言うことでしょうか?
たとえばHatenaのアンテナを考えてみてください。
携帯電話のコンパクトブラウザーで見ると携帯電話モードに変わり 携帯電話にて見やすい形に整形してくれます。
私の場合190件ほど登録しているのですが、アクティブなサイトが多いのか1日で80件ほどの更新が確認できます。
で、携帯電話で見ると5件づつ切れて表示されます。
一回のアクセスで5件表示されて、その次のアンテナを見るためには次のページに移動する方式です。
190件を見るまでに95回のページめくりをするわけですが、逆に考えてもらうとわかるのですが 一回あたりそれだけしか読んでいないと言うことなのです。
一日4回アクセスするとして 1回当たり20件の更新を確認できれば良いとすると 1件10kbとして 4ページの更新で 200kbコンパクトブラウザーでは確認でパケットが消費されます。
これに対して普通のフルブラウザーで見た場合 1階の確認で190件分総てダウンロードされます。
190件×10kbですから 1.9Mbのパケットが消費されるわけです。
数字は仮想的なもので実際にはこんなサイズにはなりませんが単純にこれぐらいの差があると言うことです。
単純に 1/10になっていることがわかるでしょう。
これに一般サイトを見て廻れば 画面サイズをはるかに越える表示として 先ほどの例で出てきた地図などがございます。
Jigブラウザーやぐるっぽのようなゲートウエーサービスを利用するのが一般的としないのであれば(おそらく マニアの世界で一般的ではないと思います)その倍率分のパケットの増加が予想されるわけです。
話半分として5倍に増えると仮定しましょう。
7Mx5倍ですので、35M程度が最低限のレベルとなるでしょう。
 
その上、今まで使えなかった機能が増えてゆくわけですから この倍ぐらいまでは使うことを想像してみましょう。
70Mバイトぐらいが当たり前になると思われます。
実際、ボーダフォンコネクトを使われている方はいくら選ばれた人達だとは言え200Mを簡単に使い切ってしまうわけですから(自分のことは置いといて・・・・)
70Mとして、55万パケットというところです。
割引がかかった状態で約9000円分のパケット料金になります。(電話の基本料金を除いて 0.015円計算)
これが現実なのです。
法人に向けては、月額固定でゲートウエーサービスを通じた企業ネットワークへの接続などを提案していますが 個人向けにはこの程度なのです。
 
では、1万円の毎月のパケット代を支払ってまでどうしてもこれを使いたい人はどれぐらいいるのでしょう?
I−Mode登場の頃にもこういった話題が出ました。
着歌がAUでフルと言われたものが出たときに、通常のパケット通信料で計算すると1曲辺り300円ほどの費用がかかり パケット定額が登場するまで成立し得ないビジネス(楽曲代よりパケット量が高い・・・)だったように、どれぐらい利用されるかはパケットの費用にかかってくるわけです。
それに関することに関しては一切の変更の発表もありません。
AUが料金体系を変更したのは、パケット量が少ないコースの見直しだけにとどまっています。
DOCOMOも僅かな値下げしか見えていませんし、Vodafoneに至っては 音声契約の場合のパケット割引制度が、データ通信専用に対して差がありすぎるのが現状です。
この状態で、電話機だけを新しくしても ビジネスとして成立せずに撤退してしまうのが目に見えています。
 
時を同じくしてなのか偶然なのか、昨日NTT東日本のIPフォンの接続障害が発生しました。
私は昨日以来情報をつかんでいないのですが、どうも回線が予想する量を超えて利用されたことが原因のようで 50%の制限を掛けた状態で昨日は乗り切ったようです。
電話をかけると「回線が混雑しています・・・」とメッセージの流れるあれです。
勿論、「メタルプラス」を始めとする他者に負けまいとがんばった結果 回線の整備を上回る契約を取ってしまったことに起因すると思われますが、それでもあまりにも無茶な契約はしてはいないはずなのです。
マージンは削っても、障害を発生させることは問題になるので 回線利用率(契約回線辺りの平均接続率)を下回る計算はしていないと思われます。
しかし、Ip電話になったことで今まで出来なかった利用方法が生まれて来たことまでは想定外だったのでしょう。
たとえば事業所間の繋ぎっぱなし運用や、回線速度を必要としない制御のモデム接続の常時接続かなど回線契約がほかにあれば もっとも安価な接続形態になるからです。
連休明けの火曜日の朝のピークが越えられなかったようです。
 
新しいサービスは新しい想定できないリスクを生み出します。
現在の、定額化によるリスクも未だ総て回収し切れていないようです。電波は着ているのに繋がらないと言うあれです。
その上、新たなリスクを続けて増やすと言うことは 商売上のメリットを上回る危険性をはらんでいる様で、それで発生した問題による企業イメージの低下は計り知れないものです。
故に現在の状況は、未だ続かざる得ないことは十分に判っているのですが それでも新たなサービスに期待したいと。新たな端末を生かせるだけのバックボーンの無い状態でハードだけ出てくるのはハードに悲しい運命をたどらせてしまう可能性が低くは無いのです。
改めて望むことは、データ通信に関しての新しい料金体系を早くビジネスモデル化してください。
ビジネスにならないことを続けることは出来ません。ビジネスになる範囲でユーザーの使えるプランを出して下さい。