日雇いのおぢさん

私は、どちらかというと筋金入りの貧乏に育っているので あまりおしゃれな店にいると居心地が悪いのです。
特に、一人でお昼ご飯を食べるときなどは。
ただ、あまり柄の悪そうな店だと SmartPhoneなど出してごそごそするのには不向き。
結果的にモスバーガーマクドナルドなんていうジャンクフードになったりします。
 
それでも、日によってそういったお店に出かけることがあります。
つまり、飯屋のようなところ。
実際の飯屋も最近は「ザ・めしや」や「〜〜食堂」と普通に入るのも抵抗ない店が増えています。
そういう中でも残っているのは、町の汚い中華やさん。
私の会社からも自転車で7〜8分のところにあります。
本当にきれいではなく、何故か汚い店なのに自動ドアだったり
自動ドアなのに最後まで閉まりきらずに 1cmぐらい隙間が開いていたり
なぜだかわからないのですが 外から一番近いぼっくす席(というほど立派ではない ただの対面机)には荷物が置いてあって お客が座れなかったりというのは何故かどこに行っても共通する項目です。
そして、漫画週刊誌がおいてあって 何故か発売1週ぐらい遅れていて 一週間ぐらいではつかない汚れがついています。
最初のうちは、一人でも対面席に案内されて 何度か通うとようやくカウンターにも座れるようになる。
これが最近流行のラーメン屋さんだと逆で、一人で行って対面机に座ると露骨にいやな顔をされます。
人数の多い客が来ることを予想して空けておくわけです。
 
こういう店のカウンターは、ようやくお店の人に声をかけられるようになってから座らせてもらえる席。
たわいもない話ですが 1言〜2言話をできることが常連扱いのようです。
常連になったからといって、時折余り物が一品付くぐらいであまりメリットはないのですが、それとは違い居心地が悪くなくなるというのが最大のメリット。
なんとなく、丁寧に店の人に案内されている間は ほかのお客さんがよそ者を観察する目で見るわけです。
勿論、普通に行ってそんな変な店ではないのですが
日雇いのおぢさんとはいいませんが、肉体労働系の人しか来ないような店に ネクタイを締めたサラリーマン風の力のなさそうなのが入ってくるわけですから 異質であることは確かなのです。
その上、キーボードの付いたコンピューターなどあけたら、完全に異星人を見る目です。
ところが、カウンターに座って
「今日は何にしましょう?」と聞かれると 格好や持っているものでなく 空気のような存在として認識してくれるようです。
これはある意味洗礼みたいなものでしょうか?
 
いつもの「エビてんぷら定食(中華風てんぷら)」を頼むと、大きな皿に ご飯、エビのてんぷら、焼売、卵焼き(具たくさん)、キャベツのお皿に、ミニ酢豚、スープが付いてきます。
後は、いつからか変わった 飲み物が水でなくお茶になっています。
780円にしては抜群のボリュームで、実はいつも少し残してしまいます。
周りの人たちが 大盛りを頼むのに対しては好対照です。
雑誌やWEBを見ながら座って待っていると、料理が出てきて
なにか特別なレシピで作られた炒り塩がテーブルにあり 万能調味料として大活躍します。
私はご飯を食べて帰るだけなのですが・・・・
 
どうやってここまで来ているのか分かりませんが、作業ベストを着込んだような人が2〜3人連れ立って入ってくると、
「ビール!!」と入ってくるなり言います。
勿論、慣れているので ビールとコップをお店の人が出すのですが・・・・
大体、大ビンのビールとコップが人数分。
それから注文をして、料理が来るころには2〜3人だからかビールはなくなっています。
そしてご飯を食べて またどこかに消えてゆくのですが そういった人が一人や二人ではありません。
気が付いたら、カウンターで2組ぐらい。
テーブルで1組ぐらい ビールを飲んでいます。
勿論時間は12時ごろ。
 
私のような仕事では、会社にいてお昼から飲むことはないのである意味うらやましいとなるのですが、それよりも明らかに作業着を着て昼間から飲んでいて良いのでしょうかと心配になってしまう。
勿論、そんなに人の多い場所でもないので 近くにたくさん会社もない。
近くの道路に止まっているトラックに乗ってゆく人もいるのではと思います。
法的にも、どう考えても作業の種類からいっても危ないのではというのが 思うところなのです。
 
私の生まれ育ったのは、大阪ではこれも筋金入りの下町。
英語で言うと DownTownです。
歩いてゆけるところだけで、数件のめしやさんがあり 
近くからは、サンダルにゴム底を貼り付ける(パンジーというブランドのサンダルは私の近所生産でした。最近は見ないな・・・・)内職をしている家が多かったので、うっすらシンナー系のにおいがする。
もしかしたら、私の頭の良くないのは そのせいかもと疑ってみたくなる。
そして、めしやさんののれんは 暑い季節になると開かれっぱなしで 中の様子が学校帰りに良く見えて 夜なのか昼なのか分からない騒ぎ方をする人たちで溢れていました。
明らかに、ビール程度ではない飲み方です。
そして、怒鳴るとしか表現できない言葉遣いで 働いている場所も学校帰りに見ることもありました。
で、その人たちを見ていると 職人さんだなと仕事に対する真剣さを垣間見たような気がするんですが 実際今見たらどっちだか分かりませんね・・・・
でも、子供心には手に職持った人たちと写っていたのですが 今見た人たちはどうなんでしょうね?
あまり、ほめられたものではないとは思うのですが、なんとなく子供心に残る尊敬の目でも見てしまう。
落語や漫談に出てくる職人さんもこんな感じでしたよね・・・・・