これからスマートフォンが起こすこと。 本田雅一著作

〜携帯電話がなくなる!パソコンは消える!〜
 
表題タイトルの本を読んだ。
下記バーナーにもあるがみんぽすさんからモニターという形で読ませていただいたわけです。
実は、この方とは一度お会いしたことがあって、Twonky Mediaのイベントの際にスピーカーとして参加されていたわけですが その際にも私とはかなり考え方の違う方だと思っていたわけですが、本書を読んでより一層そう感じたわけです。
故に、冒頭から101ページのサブタイトルのLTEと表記されるところがLETと間違えていますと書いちゃうぐらいは何でもないわけです。
それでも、本書の中には何度もドキドキさせられる内容が含まれているのである。
 
この本を書かれたのはいつごろの事だろう?と思うのは 冒頭の始まりが3月11日の震災の話からはじまります。
私もビッグサイトに当日おり、WiMaxを利用したIp電話であるSkypeを使い 周りの視線を浴びながら一人連絡を可能にしていたわけですが 筆者も同様IP電話を使い通信環境を整えていたという話からスタートした。
表題の携帯電話が無くなるということや スマートフォンが起こすことというテーマにぴったりの書き出しから始まるわけである。
実に共感できるのは 当時の日記に私も書いているが スマートフォンだから通信が可能だったという一点に尽きたわけです。
 
本書の多くの部分は歴史を遡り、現在のスマートフォンの成り立ちやサービスの始まりと発展の仕方をベースに述べられてゆく。
正直 共感できる部分は、恐らく同じぐらいの年齢ではないかとは感じていたのですが リアルタイムでここに書かれているほとんどを私も経過として体験している事です。
基礎知識があるから理解が速かったのかもしれませんが、このくだりを読めば 新しいサービスに詳しいという底の浅い理解ではなく なぜこのサービスが生まれたかという点まで掘り起こして話をされているという事が良くわかるであろう。
最も大きなターニングポイントとしてやはり避けて通れないのがAppleの存在だという点でスマートフォンのサービスの話がスタートするわけです。
そして、回線の問題。
携帯電話が意識してキャリアに制御された通信を行う端末なのに対して、スマートフォンは制御されない自らの行動に合わせて通信を行う無制御な回線利用をする端末だというあたりの表現は流石な展開だと。
 
ただ、である
スマートフォン創世記の話となるなら私には異存がある。
題するならスマートフォン秋葉原論とでもいう内容である。
確かに、NOKIABlackBerryスマートフォンというならそうであろうが 以前の物たちはそう定義なされる物では無かった。
PDAと電話をくっつけたと表現されたPDAから(これはPalmでありPocketPC)派生しその機能を有したものがスマートフォンであると私は考えている。
氏の言葉を借りるなら「スマートフォンはコンピューターである」はこちらの端末により近い物だと。そして、インターネットの回線との接続がそれを支えるに至るのに長い時間は必要としなかった。
それまでの長い期間、マニアな層が 考え作り上げてきた用途が ようやく快適に実現できるハードが出来上がったのが現在だと思っている。
これを例えるのなら、「オタク文化」であり「秋葉原」を世界に広めた所以なのです。
 
じゃあオタクな人たちがいまのスマートフォンがどうだという事ではない。
多くの種類の人たちがいるので一概にくくれるものではないとは思う。ただ、多くの人たちが二次元にその憧れの対象を求めたのは彼らの特徴である。
二次元は昔のアイドルではないが、おならもしなければトイレにもいかないのである。
24時間365日魅力的な顔しか見せないのである。そして、その魅力的な部分だけを突き詰め続けたのが現在のオタク文化である。
じゃあ、今はというと そのペーソスの一つである「メイド」だったり「コスプレ」だったりと 言うのは 二次元のオマージュに過ぎないのである。
そこまで来た後で、商売のうまい人がそのペーソスを利用した売れるものを用意したのである。
例えば、劇場を作ってそこで活躍するアイドルである。
二次元の魅力を切り取ったような姿だけを三次元の人間が演じるわけです。
それがヒットチャートを席巻するわけですから世の中は分からないというのなら、そこまでマニアが育ててきた こんな使い方が将来なされるという夢をポンと形にして そのままマーケティングで成功したのがi-Phoneだと私は思っているわけです。
最初のi-Phoneは GPRSでの接続しかできなかったのでじつはWEBのブラウジングもものすごく遅く当時のWindows Mobile Phoneに比べても立派な物では無かったわけです。
ただ、必ずしもハードウエアのせいのではなくソフトウエアの性能が そして、販路、PCとの連携ソフト等を含めたマーケティングが優劣を分けたのです。
 
とまあ、十分なたわごと論を展開しているわけですが、本書では正しい見方の同じ時期の話を書かれているわけです。ぜひ、違いを感じていただきたいと思う。
 
この本では 今に近づけば近づくほど話の密度は増してゆく。
この本はいつ書かれたのだろう? という疑問は冒頭にも書いているが 後半に至って詳しくなり まるで昨日の話を書いているかのようなリアルタイム性がある内容でいつ書かれたものなのかが解らなくなってしまうわけです。
あまり書いてしまうと読む楽しみが無くなるので書いていいのかと思うのですが、つい昨日発表があったタイムリーで解りやすいのが i-CloudといわれるAppleクラウドサービス。
本書ではその出現を預言するような というよりもAppleの抱えている問題の一つとして提言されている部分があって これは今だと感じてもらうことが出来るでしょう。
 
文章量は比較的抑えられていて、難しい内容は出来るだけ平易な言葉で書かれています。
読むことに関しては 途中で切れてもすぐに戻ってこれる構成となっていて 通勤途中に読む本としては最適な部類に入ります。
その本で、流行りに追われて使えないスマートフォンを買っているなんて批評ではなく なぜスマートフォンを買うのかという目的が見えたら また使い方が違ってくると思うのですが。
決して使い方の解説本では無いのですが なぜスマートフォなのかを教えてくれる本である。
最後まで書いてみて、
 
このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」のレビュー企画に参加して書かれています。無償での配本は受けていますが、本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)。 (WillVii株式会社みんぽす運営事務局)