個人のパワー

昨日、何かのテレビ番組を見ていて 日本に家電を買いにくる外国人みたいな話だったと思うのですが
日本の店舗に関して ???と思う点があったのです。
 
アジア風というか、私のいった事のある多くない数の国を対象に考えると まあ多くは携帯電話とかなのですが・・
例えば香港とか台湾だと 「携帯ビル」とか まあ人によっては「魔窟(迷い込んだら抜けられなくなる 知らない間にヒットポイントとGoldが減ってゆく)」なんて呼ぶ人もいますが ビル一軒が販売店なのです。
日本人的に考えると、「ヨドバシカメラ」や「ビッグカメラ」なんかをイメージするかと思います。
ところが、行ってみると全く違うのです。
韓国のTechnomartなんかでも非常にわかりにくく まるで一つの店舗の売り場のように見えますが ショーケースごとに違う販売店なのです。
 
大規模店舗はあまり課的な発想です。
もともと、日本では「問屋」というのが存在して、そこでは商品の流通とメーカーではできないサポートを行ってきました。
市場的にいまどの機種が売れているとかのマーケティングの手助け。
メーカー直では難しい 返品などの処理
メーカーが在庫過多になった商品の 価格調整販売(いわゆる特価処分品のあっせん)
パーツなど、とても送料の出ないような部材の配送時の抱き合わせ発送(1メーカーだけでなく 複数メーカーの商品を納めているので全部集めると総量をまかなえるぐらいにはなることが多い)
等々
「番頭」と呼ばれるような事情通が居て、メーカーに対するお願いなどを一手に引き受けて干渉役となってくれていたわけです。
ところが、それがいつの間にか衰退方向に進んで行って今に至るわけです。
 
問屋と一口にくくっても 大は何千億円もの商社と呼ばれる携帯から 燃焼10億円ぐらいの家族問屋までいろいろなのですが
その、小の方が無くなっていったわけです。
メーカーのサイズに比べて問屋のサイズが小さかったこともあり メーカーのサービスの向上のお手本に使われて消えていった部分もあります。
勿論、問屋がそれに対する対策を何もしなかった訳ですから しょうがないという点もあるのですが
例えば物流の問題で、上記通り細かい物も集めて配送ですが コンビニのようにその機能を内包して成り立つ業態も出てきています。
そして、家電であればメーカーは 宅配便の発展で 問屋から下手をすれば販売店からの依頼で そのままお客さんまで配送する仕組みを作りだしたりしたわけです。
問屋も物流にかかる経費を節約できてWin Winな関係と思っていてその制度を効率よく利用し始めたわけです。
そして、小口の荷物を集めて送るという機能を徐々に失っていったのです。
問屋によっては 「そんなに小さいもの一個じゃ送れないよ」なんて偉そうに自らの存在価値を見失った発言もし出すわけです。
クレームや商品の性能に対する事もそうで、「番頭」と呼ばれる人たちが その人脈と豊富な知識でサポートしていた点を メーカーがサービスセンターなどを使ってサポートを始めたわけです。そして自社商品の販売に厚みを増やしていったわけです。
問屋も世代交代もあって、平気で「メーカーに聞いてくれ」と言うようになっていったわけです。
 
時代は大店舗の登場を促し それらの店舗の中で頭の良い人たちが メーカーとの直接取引を始めたわけです。
上記のとおり 問屋そのものが弱体化し、メーカーがそのサービスを強めてゆくと 気が付いたら問屋などはいらないんじゃないか??という発想が生まれてきても不思議はないのです。
複数の大規模販売店を持つ販売店の売上と 年商10億円程度の問屋であれば メーカーからみれば販売店の方が取引規模が大きいのでそちらを重視し始めてもおかしくないわけです。
そして 超大規模店舗が出来上がってゆくわけです。
「大口」とか「主力取引先」が抜けてしまった問屋は小さな販売店しか取引先が無くなり、扱い商品も小口化すると メーカーに対する発言力も低下し そこから仕入れて販売する小さな販売店は大規模販売店に価格やサービスの面で戦えなくなっていったわけです。
 
だからといってすべての問屋が弱体化したわけでは無く 主力商品に関しては将来を推測し撤退を決め、小物などに特化したり、ジャンルを絞ったりと特徴を作り、物流に力を入れ大きくなっていった問屋もあるわけです。
問屋としての機能に立ち返って 必要な物もあるという事ですね。
基本的には1社だけが対象ではないので、より良い物を薦めることもできますし メーカー比較はメーカーに任せると自社中心にしかならないわけですから。
 
じゃあ、海外は・・・というと 問屋が有ったりなかったりはあるのですが 基本的に個人の繋がりで成り立っていることが多いのです。
中国の小さな販売店で、ショーケース一個が1販売店の所などでは 一覧表を持っていてそれだけの在庫があって売っていることになっているのですが高額な携帯電話の在庫はかなりの負担なはずです。
それらは一つの店舗の持ち物では無く、複数の店舗で共有在庫だったりするのです。
実際にはどこかの店の在庫で それを幾分の利益を載せて買い取れる契約のようなものがあり 注文が来たら「ちょっとまて」と言って取りに走ってゆくわけです。
そして販売するという形になっています。
じゃあ、各店舗で同じになるので 各店舗何処で買っても同じじゃないか・・となるわけですが 彼らは彼らでいろいろな特徴を出しているわけです。
こちらの要求に合わせた機種をいくつか紹介したり、今持っている電話をうまく買い取るとか オプションを安く売る(これも持ってなくて買う段階になってから取りに行く)等 各自で特徴を持っているわけです。
だからあれだけの店の数があって 潰れないでは無く 潰れて再生してゆくのです。
 
各自に仕入れて売るだけの能力が出来た時点で 独立してゆくのでなかなか大規模店舗にならないのですが 全く無い訳でもありません。
逸れこそこのビルそのものがそうで、大きなビルを経営し、そこに販売力のあるお店をいくつ入れるかで その販売が成立するわけです。
じゃあ、日本の大規模店舗を見ても 実はそう変わらなくて もちろん販売店の社員もいるわけですが大手家電は 少なくとも休みの日とかはメーカーからの応援販売員で満ちているわけです。
妙にメーカーの方を持つと買って思うことないですか? それらを思えば 販売員が個人商店だって大して変わらないわけです。
勿論、ポイントが付いたり、後でのアフターサポートが無かったりするわけですが・・・・
各自は各自の能力で戦うので 販売のしつこさもひとしおなわけです。給料もらえませんので・・・・
 
特に、大規模店舗だけになってきて あまりぶらぶら見て回る楽しみが減ってきたわけですが 確かに詳しくない物を買うとなると(例えばこのあいだの洗濯機)などは そちらの方がどう考えても便利なわけです。
でも、そういう規模の店舗しか生き残っていないというのも不思議な話で なんとなく日本では個人のパワーが減っているような気がします。
勿論、WEBショップなどでは 小口の店舗もあるわけですが あれは個人の能力を表現しにくいけいたいとなります。
相手の目を見ながら これを売るんだと挑んでくる暑苦しい店員がいないのもなんとなくさびしく感じてしまうわけですが・・・


written by HatenaSync