実を取って 利を捨てる

「先進性」というのがAPPLEの新商品を発売するときのキーワードのように思うのですがどうでしょう?
実は必ずしも・・・というわけではないのです。
 
APPLEという会社はエポックメィキングな商品も多く輩出するわけですが それ以上に「正常進化」という点をよく知っている会社だと私は思っています。
一つの製品を 徐々に発展してゆくという手法で その際にその製品の起点を忘れずにそれに沿って発展させてゆくというか・・・
i-Phoneも必ずしも初代の時点では アイデアはあったが回線の速度など その特徴を生かせるべき製品ではなかったと私は思っています。
3Gへの進化は正統で それ故にヒット商品になったと思っているわけです。
ゆえに、4から4Sの進化に関しては面白みがないという評価を受けたわけです。
 
今回のi-Padは新しい超高解像度なディスプレイが注目を浴びていますが CPU的にはどうも同じクロックの新世代を投入したようで コアも2個から変わっていないように伝えられています(実はわからないんだけど)
それに対して、GPUは大幅に強化されているようで こちらが並列処理を進めるためにコア数を増やしたように聞いています。
一説によると PS VITAと同じGPUとも伝えられていますが こうも商品の特性が違うのかと驚くわけです。
Core2DuoというCPUをご存じだと思いますが 旧世代と新世代があります。
CPUそのものの性能は素晴らしく変わったというものではないのですが チップセットがこの世代間で大きく変わりました。
というよりチップセットに同梱されているメモリーコントローラーがDDR2からDDR3になったりもあるのですが 最も大きな違いはチップセットに内蔵されているGPUの違いが大きいわけです。
新世代はHD4000というシリーズのGPUを搭載しているわけですが こちらはいくつかのアクセラレーターが追加されています。
中でもわかり易いのが 動画再生支援の部分で たとえばYoutubeを見るのに2GクラスのクロックのCPUを搭載したPCでも内臓のグラフィックを使っていると1280x720ドットの画質の再生が精いっぱい。
CPUの処理はほぼ100%に張り付いてしまいます。
1920x1080のFULL HDという画質となると 画面の表示にもよりますが紙芝居になってしまうのです。
同じことを新しい世代で行うと CPUの負荷はさすがに60%ぐらいまでにはなりますが Full HD画質のものが再生できるようになるわけです。
このあたりは大きな違いとなる部分ですが 実はCPUの違いは大きな差ではなく それ以外の部分が大きな差となっているわけです。
余談ですが、GPUの交換ができないノートPCでは基本的な性能が出てしまうので中古の購入時には考える必要があります。
たとえば 私が買ったDynabook SSではRX1が旧、RX2が新、Lenovoでは X60が旧でX61が新という風に GPUの交換はできないので 儲かってしまったらPCI Expressカードである程度のドーピングは可能ですが ワイヤレスの内臓などを取り去ったうえで・・・となるので旧世代を買う方は注意が必要なわけです。
ちなみに、APPLEのノートで言うなら GPUを追加されており 上記の性能変化が出ないような仕組みとなっているわけです。
 
i-Padにおいても 今回Full HDの動画を難なく再生するというような性能と聞いていますので そのあたりの強化がなされているわけです。
同じCPUであったとしても別物になってしまったCore2Duoと同様にここのあたりを強化したとするなら いたずらにCPUの数が4個、8個と増やすよりも効果的だと考えたのでしょう。
実際PCの世界でも4このCPUを効率的に使えるプログラムなどはそうそう存在せず、OSの振り分けに任せて処理を行っているだけなので OSのアップデートに従って効果が変わったりしているわけです。
モバイルデバイスの多くは 仮想マルチタスクでほぼシングルタスクで動作しているレベルですから その効果的な活用をとなると新たなプログラム環境が必要となってくるわけです。
最も、負荷が重く100%になるような状況になるなら処理時間を縮めて効率を上げてバッテリーの消費を減らすという手法もあるわけですが 必ずしもというかHD画質の再生に関してはGPUに任せたほうが効率よく CPUの負荷をそこまで要求する処理となると・・・ということもあるわけです。
また、最も大きなボトルネックとなるのは 通信回線で3Gだけに頼るとなると これ以上速度を上げようがない処理のほうが多くなっているわけです。
是が非でもLTEを進めたいのが本音でしょう。
 
AMDが昨年登場させたCPUにA8-3850というCPUを昨年に購入したのですが、これも同じような商品です。
CPUそのものはPhenomといわれるAMDIntel対抗CPUのL3キャッシュを取り除いた廉価版にGPUを内蔵したものです。
内蔵されたGPUはミドルクラスと呼ばれる そこそこのものが搭載されていて 実際にはメインメモリーを共有するので多少の速度の低下はあるわけですが それなりの性能で動くというものです。
3Dゲームにおいても軽度なゲームであれば十分プレイできるというようなものとなっています。
IntelもCore iシリーズの低価格帯のものはCPUにGPUを内蔵しているのですが 3D性能という意味では非常にチープで Core i以前となるとWindows7のAeroもエミュレーションしているレベル。
それに対して A8-3850はCPUこそさほど高いパフォーマンスを出すわけではないのですが(って 4コア3G近いクロックで高くないって どんな話だと私は思いますけどね)グラフィックの面に関してはWindows7の要求するAeroをフルサポートしているわけです。
Appleが今回行ったアプローチはそれと同様のものとなるわけです。
 
AMDを例にたとえて言うなら何が利点かなのですが
顧客にとってCPUの性能は その広告を飾る性能評価の指標ではあるが実はそれほど困窮している問題ではないわけです。
それよりも より高度なグラフィックの性能が上がるほうが利点が多いわけです。
CPUのパフォーマンスアップにおけるグラフィックの向上をクロックなりとするなら GPUの場合は簡単に数倍という単位で向上させることができる話なのです。
そして、この点が最も重要で グラフィックに関しては すでにPC用も含めて AMDやnVidiaはじめIntelSamsungなども グラフィックチップベンダーを吸収した形で基礎技術を持っているどころか パターンまで持っているわけですから 新しくシュリンクし直すだけでアイオー周りを変えれば実装は可能なのです。
GPUはクラスが違ってもパターンなどにそう違いはなく コストは開発費の回収のために高いわけです。
それでも今まであるものの実装で 大きな付加価値が得られるならと コスト的に非常に利点の高い形でチップメーカーは提供できるわけです。
言い換えればチップが安くできるわけです。
安い割に効果が高いという選択であるわけです。
 
Androidに比べてAPPLEは利益が高いという話がよく出ていますがこれはソフトウエア中心の話なのです。
今回ハードウエアを見ても 4コアをいち早く登場させたAndroidは高コストな 顧客要求以上の性能を看板にして登場させたが、APPLEは低コストで顧客の満足度を上げる商品を提供したわけです。
もちろん、看板に誘われて買う層がいるのも確かで それもないと困るわけですが液晶などでそれも用意したわけではあるのです。
こうしてみると お金の書けどころと お金の抜きどころがうまいなと 思わなくもないわけですが・・・ただ、正直こうやって書いてしまうと面白みに欠けるという感じもあるわけなのですが・・・・
written by HatenaSync