罰ゲーム その2

目の前に迫るのは 大きな車なのですが 視線は2本の鉄の橋しか見えていない。
車の両輪が乗る部分は しっかりした鉄の板があるのですが その真ん中の部分は向こうが見えるような構造です。
車輪が乗る板の幅は タイヤの1.5倍なのか2倍なのか知らないがやたらに細く見えます。
心配なのは上っている最中にタイヤが滑って 車体の後ろが左右に揺れたりしたらこの板の幅を超えないだろうか?
上ったはいいが 降りるときに後ろが見えているわけではないので 左右に振れてしまったら そこで終わりで降りれなくなったりしないのだろうかと変な心配をします。
45度の上り坂を想像してみてください。
おそらく坂道の途中で止まったら そこからもう一度前に出てハンドルを切り返す作業をしようにもそんな坂道を発進できるはずもな下りでバックの時に後輪が左右に振れたらそれはそれは怖いことに・・・
なんて前を見ながら乗ってました。
 
坂道の上り始めは スーパーの急な坂道のスロープのようなところで20度ぐらいの急こう配ですがパジェロにとってこれはただのアプローチです。
そこから2段目の坂 30度の勾配が迫ってきます。
30度というのは 体感的には45度ぐらいの感覚で 体に感じる感覚では腰のあたりに全体重がお尻から移動する感じです。
つまり、体の中で最も重量が下に来る場所がお尻という感覚です。
しなくていいのに足を踏ん張るものだから 余計にお尻にかかる重量が増えます。
えーっと、もういいです・・・と思ったところで 車がストップ!!
実は気持ち的にはちょっとパニックです。
何が起こったんだ!?
 
説明が続いて アクシデントではないことが告げられます。
こんな坂道での坂道発進でも大丈夫な走破性能の説明と、45度の急こう配に行く前の心の準備を促されます。
乗る前にも 
「すごいと思うでしょ?」
と聞かれて そうですねと無条件に返事をしたわけですが
「乗ったらもっとすごいんです」
と十分に脅かされていますし そのダメ押しでここで ここからは体験したことのない角度に入ることを説明されて
だけどもエンジン音は唸りを上げる感じではなく 静かに普通に発進する軽自動車なんかよりはずっと静かな感じでそーっと登り始めます。
前輪の角度が変わったところで 
「ここから45どの坂で このまま車の角度がどんどん上がってゆきます」
目線は既に空しか見えません、わずかに車が乗る鉄の橋の本の端っこが見える程度。
完全に空です。

 
ぐんぐんぐんと角度が変わるのですが、ここにきてそれを比較する対象がありません。
空しか見えないのですから当たり前ですが。
でも、角度が変わることは体が一番感じています。
お尻から腰に移った体重が 徐々に抜けてゆき 体重を支える中心が背中に移ってゆく 何とも言えない感覚を感じているからです。
そして、橋が全く見えなくなってはたと気が付いた。
この車は前に行きすぎたりしないのだろうか?
もちろん先端に車止めが付いていることはわかっています。
ただ、この角度を上っているということは もうただでさえ車止めの角度にアプローチしているわけです。
それに今にも後ろに倒れそうにも感じる車体が車止めにちょっとでも乗りあげたら後ろ向きに転んでしまうではないだろうかという感覚が・・・・
「でも、パジェロの実力はこんなものではありません!」
って、この日とは何を説明しているんだと・・・・・
そして、車は停止した。
おそらく頂上と思われるところで。
ここで泊まっているからわかっているのだが 本当にこの車はちゃんと橋の上に乗っているのだろうかという不安はいっぱいです。
写真的にはまったく さっきと変わらないのですが この写真が恐怖の瞬間です。

 
頂上でパジェロの走破性の説明をうけるわけですが 申し訳ないのですが耳にスッと入ってきません。
自分がどんな状態のところにいるのかを うまく頭の中で整理できていないからです。
ちょっと困っていたら さすがになれておられるドライバー増岡小暮さんは それを理解できるように説明してくださいました。
「横の窓から外を見てみてください」
その一言に従って後悔することになるのですが・・・それは 次回で