Miss Lは、ローズバスが大好き 6

なんとなくバスルームで怖くなってひとしきり泣いて バスローブを羽織って部屋に出た。
さっきはゆっくり見る時間も無かったが 一部屋の中にベッドのあるようなワンルームですが 小さな冷蔵庫も小さな流し台。ちゃんとガスのコンロもあった。
さっきも言ったようにトイレもバスも着いている。私の部屋なんかよりずっと広いし住み心地も良さそう。なんだか世間の不公平に腹が立ってきた。
だけども 出たのはため息だけだった。
ベッドの上には、山のような衣類が積まれていた。
そして、私の服は無かった。
衣類はどれも女性向ですが、サイズとデザインが無茶苦茶なものが集められていた。中にはこのままパーティでも行こうかと言わんばかりのものまであった。
扉から首だけ出して聞いてみた。
「先生、この服はなんですか?」
ただでさえ聞きにくい何時もの小さな声で返事をした。
Mr.G「そ・・・、で・・・・しょう・・・」
大きな声を出して欲しいと、口述筆記している時にもお願いしてみたが どうもMr.Gにはその機能がないみたいで最近は諦めていた。
しょうがないので、バスローブにバスタオルを巻いただけのすがたで 入り口のところまで出て聞いた。
「先生、この服はなんですか?」
Mr.G:「解らなかったので、近そうなサイズのものを近くのお店から届けてもらったので適当に着て頂いたらいかがでしょうか?」
「あっ、ありがとうございます」
流石に悪いと思ったのか、服を用意してくれたのか!
「きゃ〜!!」
Mr.Gの事は男と思っていないわけではないが ほっといてもソファーから首が廻らない。ソファーがこっちを向く事がなければ(あっても、逃げないと思うけど)
だけど若い男が2~3人やってきていた。
「ごっ、ごめんなさい」
もう、きゃーって言う年でもないとは思うが 驚きのあまり叫んでしまった。
取り合えず、服の中から(下着まである・・・)サイズの合う 一番地味そうなものを選んで着込んだ。
鞄の中にある化粧品で、取りあえずの化粧を手早くして外に出た。
台所で、お茶の用意をして部屋の中に入っていった。
「先ほどはすいませんでした お茶をどうぞ」
男二人とMr.Gの机の前に立って何かは無をしている。
先ほどのコートの袖をいじりながらこそこそと話をしている。
それにしても何時も小さな声だ。
お茶を出したけど、気にも留めていないようだし 私の事なんて気が付いてもいないようだ。さっきのもきっと見なかったのではと思って、ちょっとほっとした。
「あ〜っ!」
机の上にはコートだけじゃなくて、さっきまで私の着ていた服が それも、下着まで。
「だめ〜〜〜〜」
取り合えず下着だけは取り返した。
仕事にくるだけだし、正直お金も無いし下着にまで手が廻らないって 感じの下着をはいてきたんだ。その上、寒いところ外に出てたのでおばさん臭い服下着だった。
「なにするんですか!!」
Mr.G:「すいません、勝手に この方たちが証拠物件として欲しいと」
思わず、その男たちを睨みつけた。
男1:「Mr.G、この方は?」
Mr.G:「今日の被害者で、私の会社の従業員」
「先生、この方たちは誰なんですか?」
男1:「我々はこういうものです」
男が黒い手帳を見せた。勿論 手帳売りなんかではなく警察手帳のようだ。
いつも思うんだけど、警察手帳なんか普段見るようなものじゃないんだから 本物も偽物も判らないのに。それどころか、手帳を見せただけで 警察官だってわかる訳ないじゃない。
まあ、わざわざ人前で手帳を突きつける商売の人もいないから警察だってわかるけどね。
「でも、下着までは関係ないから返してもらいますね」
男2:「関係ないかどうかは我々が決める!」
後ろについていた 男がやってきて私の下着を奪い返そうとする。
男1:「止めろ!」
短く、そして強くもう一人をたしなめた。
Mr.G:「彼女を怒らせるようでしたら、我々は市民としての協力を拒否させていただきますよ」
Mr.Gはもっと、脅威的な声を出していった。
後から私の下着を奪い取ろうとしていた男の動きが止まった。
Mr.G:「服のサイズは合いましたか?」
「はい、ありがとうございます 残りの服はどうすれば宜しいですか?」
Mr.G:「返品するわけにも行きませんから 好きなのをお持ち帰りください。 あと、あの部屋は専用の部屋として空けて置きますので好きな時にお使いください」
疑問はあったものの、心の中ではにやけていた。服のレパートリーが倍に増えた。