Miss Lは、ローズバスが大好き 18

一週間もすると退屈の虫がうずき出してきた。
そんなに家の中に居てする事があるわけでもなく、逆にMr.Gは慌しいようでちっとも仕事が廻ってこない。
毎日やっているのは、部屋の掃除ぐらい。
それすらもほっておいたら、勝手にやってくれる人がくる。
せめて料理ぐらいはと思うのですが、料理の出前はあるけど食材の出前は無い。
性格には食材を出前する業者はあるが、何時までやれば良いのか想像も付かない今 勝手に一月契約で申し込むわけにも行かない。
結局お茶を入れることだけが鍛えられてきた。何故だか解らないが書籍だけの部屋があるぐらい沢山あり お茶の入れ方の本も イギリス風、中国風、日本風、中東風とありとあらゆるお茶の種類と同じぐらいの数の本があり、このまま行くと一年後には世界のお茶を極めるかもしれない。
冗談はさておき、退屈で死ぬかもしれない。このままだったら・・・
 
小柳刑事:「何故捕まらん!!」
七瀬刑事:「相手は空を飛びますので、追いきれませんでした」
小柳刑事:「相手が空を飛べば、逃がすのか! そしたら、怪盗ルパンやモリアーティ教授は捕まらんよな!! そんな事より、周りに怪しい車は居なかったのか!」
七瀬刑事:「相手は、人の多いところを狙ってきます。全てなんて閉鎖し切れません」
小柳刑事:「そんな悠長な事を言っているから 犯人は捕まらんのだ。きっと東京都民が最後の一人になって相手が犯人しか残らなくなってから 消去法だとか言って名探偵が出てくるのを待ってるんだったら俺は付き合いきれん!」
小柳刑事は、憤慨したまま車に乗った。そして、例の建物に向かった。
 
Mr.G:「いや〜、もうそろそろいらっしゃると思っていましたよ」
小柳刑事:「お願いです、何かなんでもいいんです。犯人の手がかりを。」
Mr.G:「まあ、慌てないでお茶でもいっぱい」
退屈していた私に、仕事がやってきた。
電動のミキサーを使ってティーバックで入れたがバター茶を一杯。
小柳刑事は、大柄の体をして元気そうだが どう見てもこの間より疲れている。
外観はともかく眼球に疲れが溜まっているようだ。
ティーバックの中国茶にたっぷりのやぎのバター そして、取って置きの岩塩をたっぷり。
しっかり小さなすり鉢ですり潰して細かくしてあるのでたっぷり溶ける。
一応、味加減を調整するかもしれないから、小さな器に入れてお茶の傍につけた。
今はきっとたっぷりカロリーのあるものがいいでしょう。
Mr.G:「で、犯人に逃げられたわけですね」
小柳刑事:「はい、残念ながら。相手の目的は解りませんが 愉快犯みたいなものかと。人の多いところで事件が発生するので とても犯人を特定し切れません。せっかく手がかりを頂いたのですが 生かせません。」
「すいません、その件は私が先走りすぎたかもしれません」
お茶を持って話に割り込んだ。
「どうぞ」
二人の机にお茶を置いた。
Mr.Gは、遠くから匂いを感じたらしく 息を止めてお茶に口を近づけた。
あまり濃いお茶は得意ではないようだ。
小柳刑事:「いつもすいません。」
私の言葉の意味を理解してくれてなかったようで、そのまま何事も無かったかのようにお茶を飲もうとお茶を引き寄せた。
そして、添えておいた岩塩をたっぷり二杯お茶の中に入れかき混ぜた。
なんか、お茶の中でじゃりじゃり音がしているのが聞えるようだ。
そしてそのままそのお茶を口の中に・・・
「飲んじゃ駄目!!」
頑張って止めたが、時既に遅かった。
音がするほどの塩分濃度の バター茶が小柳刑事の口の中に流し込まれた。
気が付かずにそのまま飲み込むところまでは良かったが、その後小刻みに小柳刑事の顔色が変わるのが見えた。
Mr.G:「なかなか本格的ですね」
解っていて言っているのか、それともわからずに言っているのか いつものように正体が知れないが どう考えても不必要ににこやかな表情が 流石の私にも状況を想像させる。
「大丈夫ですか?」
小柳刑事:「み、みず」
「はい、すぐに」
あわてて、台所に水を取りに行った。
そして帰ってきたらすぐに小柳刑事に差し出した。
正確には小柳刑事が私の手から奪い取って、一瞬で飲み干した。
すぐに私は、台所からもう一杯水を取りに走った。
今度は大き目のコップで。
そして、それすらも小柳刑事は一瞬でのみ干した。飲み干す最中に慌てすぎたのが気管に入ったのかむせて 大きな咳を連発した。
そして、その咳をする大きな背中をさすりながら妙な違和感に気が付いた。
何で、何でその口から??