Miss Lは、ローズバスが大好き 35

彼女は、鏑木 亜矢子。但し、この名前で呼ぶ人は一人もいない。
亜矢子警視:「へ〜、雰囲気変わったじゃない、Gちゃんも新しい子入れて なんか気分でも変わったの? 引きこもってないでたまには出といでよ」
Mr.G:「あなたもお変わり無い様で」
亜矢子警視:「最近、よくこっちに出入りしていると思ったら 目的はこの子なの?」
小柳刑事:「ば、馬鹿なことは言わないでください!」
亜矢子警視:「それにしてもいい香りね」
「お茶が入りましたけど お届けして良いですか?」
Mr.G:「お待ちかねのようですからお願いできますか。」
一通り、お茶を出し終わったら 一緒に座っているように言われたので自分の椅子に座った。お盆を直し忘れたので手持ち無沙汰なお盆がテーブルの上におかれた。
Mr.G:「今日は、ラムの香りですか?」
小柳刑事:「いろんなお茶があるもんですね」
「はい、今日は 新しい方がいらっしゃるようなので 少しお酒の入ったものを用意させていただきました。」
少し背の高いカップに、たっぷりの紅茶 小さめのソーサーに乗せて用意したのは 前述どおり ラム酒の香りのするお茶を注いだものです。
亜矢子警視:「あたしのソーサーにだけ、なんでガムシロップがついているの?」
さすがに、すぐに気がついた。
Mr.G:「そう意地悪な事をいうもんじゃない。判っているんでしょ。」
亜矢子警視:「一応、職務中なんだけどね。」
小柳刑事:「気にする柄でもないくせに・・・」
行った後に、すぐに口を手で押さえた。
しかし、ときすでに遅く 口を押さえるのと 亜矢子警視の裏拳が小柳刑事の顔に炸裂した。幸いにもか、意識してそこを殴ったのか口を押さえるために出した手がガードになった。ただ、衝撃を抑えることまでは出来なかったので、そのまま飛ばされはした。
亜矢子警視:「で、どこで見つけてきたのこの娘?」
Mr.G:「さあ、職安経由 警視庁ご推薦なんですけどね」
亜矢子警視:「ラム酒カップまで暖めてあるって、普通の子じゃないわね」
Mr.G:「得意ななのは、お茶を入れることだけではないんですけどね」
亜矢子警視:「お茶を入れるためだけに、私のところに来ない?」
ようやく小柳刑事が、口元を抑えながら立ち上がってきた。
小柳刑事:「実に聡明な女性ですよ、Miss.Lは」
亜矢子警視:「Miss・・・・ そういうこと、へ〜 そうなの」
なにか一人で、納得したのは亜矢子警視だけだった。
なにか意味があるのかと思って、Mr.Gを見たが目線を反らされた。
亜矢子警視:「とり合えず、冷める前にお茶をいただきましょう。」
どうも、話を反らされたようだ。
亜矢子警視だけはたっぷりラムの入ったお茶をあっという間に飲み干した。
残った二人は、暖かいお茶で体を温めるかのようにゆっくり飲んでいた。
一人、早く飲んだ亜矢子警視は、腕を組んで指を立ててひじを叩くように動かし わずかな時間にすら、いらいらするあたりが性格を現している。
それでも、せかしたりしないところを見ると一応、Mr.Gには敬意を払っているようだった。
それでも、完全に飲み終わるまでは待てなかったようで、いったんお茶のカップをテーブルの上の置いたところで声をかけた。
亜矢子警視:「で、一緒にお茶を飲むために呼び出したってことは無いわよね!」
Mr.G:「お茶のお代わりはいかがですか?」
「すいません、気がつきませんで」
亜矢子警視:「結構よ、話が終わってからいただくわ えーっと、」
亜矢子警視の指が宙を舞い 行き先の無いものを指そうとしている。
小柳刑事:「Miss.Lです」
亜矢子警視:「そう、Miss.L。それと、お茶のお代わりは Mr.Gの嫌がらせだから気にすることは無いわよ」
Mr.G:「嫌がらせとは、人聞きの悪い」
亜矢子警視:「嫌がらせと言われるのが お嫌なら、とっとと吐きなさい。今なら情状酌量の余地もあるから。」
小柳刑事:「警視!!」
亜矢子警視:「冗談よ」
Mr.G:「大体は聞いてらっしゃるんでしょ」
亜矢子警視:「もちろん、問題なのは、矢の打たれる場所よ。」
話が見えない。きょとんとした顔をしている私にMr.Gが声をかけてくれた。
Mr.G:「小柳刑事、警視のあだ名は何でしたっけ」
突然声をかけられて、小柳刑事は慌てて答えようとするが 上司のあだ名なので答えにくそうだった。
亜矢子警視:「いいのよ、正直に白状しなさい」
小柳刑事:「鏑矢(かぶらや)っておっしゃいます。」
小さな声で返事した。
Mr.G:「鏑矢ってわかる?」
鏑矢? 何のことだろう 苗字と名前をくっつけただけのような気もするが??
「わかりません。」