夏と冬

PDAにとっては冬は辛い季節で、屋外で使える 持ち歩いて使えるはずの機器が早々持ち出せなくなってきて。
勿論、ポケットに入れて持ち出すのには何の不自由もしないのですが いざ使う段階になると手袋をした手で操作できない とか、胸に差したスタイラスを取るのにコートを脱がなければいけないとかの 作業が発生します。
手袋越しに使うPDAは非常に危険で、力加減が解らないので 気がついたら地面に落下雪の中に“ずぼん”と落ち込んだりしたら目も当てられない。
本体もそうで、電気的には温度の低いことは大歓迎なのですが 素手で持てないぐらい冷たくなったり なにより液晶の反応が非常に悪くなります。
液晶は言葉どおり 液体のデバイスなので 電気を流すことにより 分子方向が変わるといった優れた性質によりシャッターを切ってるわけですが 温度が下がれば下がるほど粘度が上がり反応が鈍くなり、凍ってしまうと全く写らなくなります。
寒い屋外で そうスキー場とかではデジタル時計の字が出なかったりするのもそのせいです。
PDAもその洗礼を避けきれず 時折屋外では動かなくなったように見えます(実際は表示がなされていないだけなのですが)。
しかし、使い始めると多くのデバイスに付いているバックライトユニットから発生する発熱で、しばらくすれば段々と反応が良くなってゆきます。
NOTEPCでも、しばらくは薄暗い状態が続くのもそのせいでしょう。
夏は逆に、液晶の反応は良く素手でもてますので扱いは非常に楽になります。
しかし、服が薄着になりますので ポケットの数が少なくデバイスをいれるところが無く鞄を持ってうろうろといったこともあります。
その上、ずっと使い続けていると知らない間に本体やバッテリーから出る熱で 掌が熱くなって・・・熱くなるのはいいのですが掌から汗をかいてPDAの裏側に汗のしずくが。
若しく、覗き込んだ顔からや髪の毛から汗のしずくがぽたりと垂れる。
「ぎゃ〜」と叫んでしまいたくなる事態です。
勿論、首から攣っていても 家に帰ったら表面に塩の跡なんかが残っていたりするとぞっとします。
PDAも電気的デバイスですから水に弱いですし、もっと悪いのは塩水(汗)で導電率の高い液体がPDAの中に入れば 電気的短絡を起こして火花が飛んだり 流れるはずの無い電気が流れることによっておきる部品破壊などはよくあることです。
年を取ったPDAを分解する機会があると解るのですが よく髪の毛やなんかが入っていたり 液体の流れた跡があったりと ドキッとすることも有ります。
もっとも、PCと酒盛りして壊した人も知ってますが・・・・
どちらにしても、モバイルといいながら 未だその利用場所の多くは屋内に限られているようです。
冬の電気製品はそれでも恵まれていて、乾燥した空気と低い気温 電気的には抵抗値も少なく(エセ技術者だからこの辺は怪しい)気をつけなければいけないのは寒いことによるコネクター類のプラスチックの硬化で 思いもがけずパキッと割ってしまうような事でしょうか。
夏は大きく状況が変わります。
いま、PDAを持っていて 「少しあったかい」は、夏には「熱い」に変わります。
CPUやその他電気的デバイスは抵抗値を高め消費電力を高め、化学反応で電力を得ている電池は、暖かい温度のお陰で化学反応を促進させて 必要以上の電力を供給しようとしたりもします。
冬ならいらないはずの冷却ファンも、夏なら回りっぱなしといったことも珍しくありません。
同時に、PDAといえども熱暴走の危険を避けられなくなってきています。
熱暴走が発生しそうに成った場合 多くのPCのCPUはその動作クロックを下げ対応するのですが(PCで夏になると遅くなるPentium4なんかがそうです。機器内部のエアフローも大事な選択ポイントです)、それ以外のデバイスには温度センサーなんて付いていませんから野放し。特にバッテリーなんかはその影響を最近では受けやすいデバイスになっています。
充電池は、外から与えられた電気で可逆反応を起こし電気を充電、放電します。
その化学反応の結果として熱も発生します。
特に温度が高くなるのは、強い充電 強い放電を行っている時で 携帯電話やPHSでWEBのブラウジングやアプリケーションを動かしたりしていると電池が暖かくなるのがそれです。
充電する時は、放電できる電気の何倍もの圧力で電気を流しますので発生する熱量も半端ではありません。
急速に充電するためには、うんと高い圧力をかける訳なのですが そうすると熱が発生しすぎて電池が壊れてしまう。それは困るので時間を掛けて充電していたのですが、最近の急速充電は、うんと高い圧力を掛けて充電し、すぐに電気を止めて また圧力を掛けてを繰り返すと常時圧力を掛け続けるよりも発生する熱量が低く充電できるのでそういった方法を使います。
そして、もっと充電時間の短い物は、電池そのものにセンサーをつけ電池の限界ぎりぎりまでの圧力をかけることを続け たった15分での充電を可能にしています。
しかし、そこにセンサーのついている電池なんてそうそう無いので 電池の製品安定度に合わせたパルスでの充電を繰り返すわけなのですが・・・
とした場合には、逆に違う電池をいれたり 違う充電器をつないだときにはどうなるのでしょう?
多くの場合、PDAの充電回路はPDA本体に内蔵されていることが多く 外部からの単一電源から パルスを作り出し供給しています。
若しくは、たっぷりと時間を掛けてもいいと割り切って 充電を始めます。
自ら想定されている電池の場合はいいのですが、想定されていない電池の時には 想定されている電池として充電を行います。そして、内部抵抗の変化や時間を軸に充電の開始や終了を決定します。
最近、海外で話題になった携帯電話の社外電池使用による破損などがそれによって起きるじたいです。
勿論、無保証ですがMugenを始めとするバッテリーメーカーの物は 実はPDA本体のものもそこが作っていたり、同じ工場で作らせたり(PDAを作っている会社が 電池工場を持っているわけではないので 依頼先さえ解っていれば 作成を依頼することは難しくありません)している物なので まあ、問題は起きないとは思いますが、メーカーさえ不明な物なんかは、その部分の電気的性能が不一致な場合もあります。
特に、リチウム電池の機器にニッカドやニッケル水素電池を形だけ合わせたものを入れたら 充電中の異常発熱による破損や インフォメーションが帰って来ないので充電されないといった事態も発生しますし、リチウム電池の性能の容量が少ない物などを間違えて入れたりすると 正直爆発する危険性すらあります。
冬に大丈夫だからと安心していると、夏になって外気温が上がってきて PDAにも電池にも過酷な状況になったときに 十分注意して掛かる必要があります。
年寄りですし、エセ技術者ですから 大したことは言いませんが 実際に事故は発生していますので 怪しく安ければ安いほど 注意すべき点が増えることだけは。
もっとも、いっている本人は楽しいので 一番安い物を買って試してみたいほうなんですが・・・・・