電池と機械

電気というものは便利なもので、今では信じられないぐらい多くのものをコントロールしています。
コンセントに挿すだけで、部屋の湿度をコントロールしたり、匂いを感知して消臭したり、埃を感知して 集めたりと本当にいろいろなことをしてくれます。
たとえば、埃が多い少ないは良いのですが、湿度が高い低いの時に困るのはどこが高くてどこが低いかの区別です。
センサーは一般的には多くの電圧をかけると感度が良くなり、電圧が下がると感度が悪くなります。
デジカメなんかがそうで、星を写す天体望遠鏡につけるようなものはCCDに強制的に冷却する装置をつけて電圧を上げて測定します。
電圧が上がると熱が発生し、熱は画面上にノイズを生み出します。
ノイズを抑えるためには、CCDをがんばって冷却するとなるわけです。
故に、そういう工夫をすれば デジカメの感度を上げたり(電池の消費も激しくなりますが)解像度を上げたりが出来ます。
もちろん、装置が大掛かり過ぎて 誰もやらないとは思いますが・・・・
 
まあ、そういった特殊な装置はともかく普通のセンサーは比較的安定して動いています。
その安定感を支えるのは、商品の品質 いわゆる生産におけるばらつきが少ないこと。
それ以上に大事なのは、電気が安定して供給されること。
当たり前と思われるかもしれませんが、日本の電気の安定度はおそらく世界一ではないかと思います。
実際に測定しても 3%未満の間で触れる程度。殆どの場合は101V〜99Vぐらいの間をうろちょろしてくれます。
つまり、3%程度の誤差が許容される物であれば 何の苦労も無く電気を引き込んで使えるわけです。
 
ところがその常識が通じないものもあります。
たとえばコンピューターは、3%の誤差が大きすぎると怒ってきます。
故に、安定化電源という 電気を同じ電圧で供給する装置を取り付けて使います(もちろん、電圧を変えたりもするわけですが)故に、コンピューターはうまく動いてくれるわけです。
勿論、電気には電圧だけではなく電流量も問題で 圧力もさることながら量が流れてこないと水車が廻らないように 機械は動きません 〜Aとかって書いてあるあれです。
電圧も電流量も安定して提供されているのが 家庭用コンセントです。
 
常識の通じない世界にはもう一つ、車の中というのもあります。
車は基本的にはエンジンをガソリン(または軽油)で動かし、その動力で道路を走るもののことを言っているわけですが、車で使う電気はその動力を少し流用して、発電機を回して動いています。
ところが、車が止まると当然電気が作られなくなるので そのためにバッテリーが積まれていて止まっているときはバッテリーの力で電気を供給しています。
バッテリーが無いとエンジンもかけられませんから。
車のエンジンは、1000回転程度から7000回転程度まで 速度を変えて動きます。
速く走ったり、遅く走ったりと自由自在に操れる所が楽しいのですが、発電機はそんなに楽しくない。1000回転の時も7000回転の時も同じ電気を出し続けなければいけないということが要求されます。
出来る限りそういう風に作られているわけですが、テスターを持ってバッテリーの端子に当ててエンジンを回すと11.5Vぐらいから15Vぐらいまで電圧が可変します。
供給されている電気が安定していない・・・・ということになります。
でも、回転数が7倍にもなっているのに 電圧の変化はその程度なんだ?と思われるかもしれません。
もちろん、電圧を抑制する回路は入っていますが それ以外にバッテリーの働きというのは小さくありません。
 
一般に充電されるべき電池は、多くの電気を与えられれば充電が始まり、足りなくなると供給するという仕組みを持っています。
電気を充電するときには、実際に放出する何倍ものエネルギーが必要なので一気に電気を消費します。
つまり、回転数が速くなって電気の量の増えた分に関してはバッテリーが消費してくれるので電気の量が変動しにくくなるように調整してくれているわけです。
逆に言うと、制御回路が他にも入っているので単純にそうはなりませんが バッテリーを取って直結すると電圧の変化はより大きくなります。
逆もそうで、雨の日に渋滞。夏の暑い日です。
車はエアコンをかけています。エアコンのコンプレッサーはエンジンから動力をもらいますが、送風やコントロールは勿論電気、エンジンを冷やすためのファンも電気、ワイパーやウオッシャー、見えにくいので付けた後ろの窓の電熱線やヘッドライト、その上うっとしいので車が壊れんばかりの大音量で音楽なんて車は、僅か1000回転で廻り続けるエンジンの発電量では足りないので、足りない分をバッテリーが供給してくれるので電圧が下がらずに済みます。もちろん、この状態が続けばバッテリーが上がってしまいます。
 
新車の間はこれが効率よく動いているのですが、バッテリーは消耗品です1〜3年ぐらい(バッテリーの種類と扱いによって違います)で駄目になります。
いわゆる化学反応で電気を供給しているので、反応を繰り返しているうちに 偏った反応を起こしたり 不純物と結びついて 戻らなくなったりと劣化して行き、いずれ駄目になります。
具体的に言うと、電池の容量が減った状態になります。
電池の容量という言葉を使うのには理由があり、電気を供給する能力も低下するのですが、電気を貯める能力も低下します。
 
では、思い出してください。
電気を貯めることにより、電圧の上昇を防ぐという項目がありました。
電気を吐き出すことにより電圧の降下を防ぐという項目がありました。
どちらの能力も低下してしまいます。
私がPCが壊れたと言うと、二言目には言うのが電源を変えてみましょう!!という言葉。
電源回路というのはPCの中ではCPUやビデオカードに次ぐ発熱源です。
CPUやビデオカードと違うところは、局地的でなく 全体が熱を発するという非常に熱量の多い回路になっています。はるかかなた昔から電源回路には強制空冷のファンが着いているように冷やさないと壊れてしまうからなのです。
電源回路はその熱量で劣化しやすい劣悪な環境にいる回路なのです。
車でも同様、確かに各回路は電圧の変動に強く作ってあります。車に搭載する以上当たり前の事です。
ただ、バッテリーの劣化でもわかるとおりに 車の電気回路は決していい環境にあるわけではありません。
特に電源回路は多くの負担に耐えています。
その回路に、電圧の変動を大きくしてゆくと・・・・・
壊れるとは言いませんが、良いことであるはずはないです。
 
体を鍛えている人と鍛えてない人
同じお酒を飲んでも耐性が違うかもしれません。しかし、毎日お酒を過多に飲み続ければいつかはどちらも体を壊すのです。
わざわざ危険な橋を渡る必要は無いのです。
人の体はパーツ交換というわけには行きませんが、車のバッテリーは簡単に交換できます。
 
バッテリーの劣化が直接故障の原因となることは無いとは思いますが、時間をかけて徐々に劣化を誘う働きをすることは間違いありません。
点検も簡単なパーツなので、たまには気をつけて見てあげてください。