屋内写真のクオリティからみる時代

もうそれを覚えている人すら少ないとは思うのですが(笑

昔のカメラはフィルムに光を焼き付けるものでした。

非常に光に弱い感光物にレンズで集光した光を瞬間だけ当てることで画像を形成したのが写真でした。

そのまま見るとみているときに明かりで感光が進んで真っ黒になってしまうので 間に定着という過程が必要でそしてそれを見やすい形に変えるという一連の作業を現像と言って 町に沢山あったDPEと書かれた看板のお店でお願いして 1週間程度の待ち時間の後写真として受け取っていました。

最後のほうでは60分でできますとかの粗悪なお店もあったりしたのですが、カメラ自身がどんどん安い「写ルンです」のような使い捨てが主流になってくると全体のレベルも下がってそれも許容されるようになりました。

 

そのあと時代が変わって、当たり前にみんなが持つ携帯電話にカメラ機能が付き 当時は隆盛を誇っていたデジタルカメラの技術を取り込んで それ以外のほとんどを駆逐するほどの勢いで市場を流してしまいました。

なので、フィルムカメラはフィルムを作る会社や現像してくれるところが激減し 本当に非常に狭い趣味に追いやられて デジタルカメラにおいても携帯電話には搭載するのが難しい高精度な感光センサーやレンズを搭載した高級機だけになってきています。

ほんの10年ほどで、大きく変わってしまったものです。

 

その昔の話なのですが、室内の写真を撮るときにはフラッシュが必須でした。

「手振れ補正」なんて便利な機能ができるようになったのは非常に高級な機種以外では ほんの最近のことで もちろん使い捨てカメラにはついていないので暗いところは苦手ですし 感光すべき時間も1/60秒ぐらいが手持ちの限界であり被写体が動かずにいられる限界でもあったので特に室内写真では 表情もポーズも固まってしまう事が少なからずあります。

名残という事はないですが、「チーズ」という掛け声などは「そのタイミングで動くな」と掛け声をかけているようなものです。

ピースサインとかも動かないから撮ってという移される側の合図でもあったわけです。

いまは、形骸化しながら必要もないのに残っている(そもそも動画が多いので動いてないと意味がない)ようなものです。

 

そして、それに対応するために「フラッシュ」というシャッターが開いている間だけ明るく光るライトも装着されていて 目つぶしのような光が出て明るさが足りない室内でも写真が撮れるようになっていました。

最も、一か所からの光なので 普段と違う影ができたりしますしそもそも被写体が近すぎると明るさにむらができていわゆるてかってしまう写真になってします。

その上、光の届かない背景にあたる部分は写らないので 背景がない人だけの写真になって結果的にこれはどこの写真だろうとなってしまうわけです。

昔の写真を見返すと そういうのが多いですよね。

 

そしてもう一つが今日ちょっと言いたかったことなのです。

人が動かずに写真を撮れる大体の限界が1/60秒と書いたのですが この数字に近いものがあります。

それが電気の周波数です。

東日本は50Hz、西日本は60Hzと言って交流なので電気が+100Vからー100Vの間を常時波打っていますので 照明だとすると1/60のタイミングで点滅しているのです。

それも、白熱電球はフィラメントを温めて光っているので急激に熱が下がったりしないために分かりにくいのですが 蛍光灯のような放電灯はきっちりそのタイミングでの点滅があるのです。

そして、その蛍光灯は日本では標準的な照明器具だったのです。

なので、フラッシュを使わない写真では 気が付いたらその波が映り込んだりしたのです。

目で見たよりもはるかに暗い写真が突然できたり。

でも、これって 現像して出来上がるまで確認できないので 旅行先で撮影して帰ってから泣きが入るようなこともよくあったわけです。

今でも、テレビなんかを撮影すると明るいところと暗いところの縞が出たりするのがそれです。

 

では、今はどうでしょう?

実は今でもその問題は発生するはずなのです。

供給される電気は何も変わってないのですから。

しかし、蛍光灯の器具においてもほとんど発生することはありません。

何故なら、まずカメラのシャッタースピードの概念ですが はるかに速くなっています。

何故なら、感光が化学反応ではなく CMOSやCCDの受光感知だからで ノイズの問題を除外すればはるかに高い感度で受光できるために シャッタースピードにあたるものが速くなったので 暗い時を狙い撃ちにする確率が遥かに下がったのです。

もう一つは照明器具側の話で、今までは効率の悪いトランスを使った昇圧で放電灯を着けていたのですが、最近ではインバーターによる昇圧を使う事から 一旦直流になってはるかに速い周波数で点滅するような仕組みとなっているからです。

これも、周波数の一致を招きにくくなるために 狙い打てない状況となるのです。

もう一つ、LED照明器具で こちらも高い周波数もしくは直流のためそもそも点滅してないようなものもあるわけです。

じゃあ 暗い時ってのがないのでそれで画面が変わることがないのです。

 

部屋の明かりがLEDになったというのは感覚的にそうだねーって感じではあると思うのですが、それを使った写真を例に挙げてみてもそれに伴いというかいろいろ変化して 環境を形作るものも殆どといっていいほどに代わっているのです。

先ほどの例でちょっと上げましたが テレビもテレビ局からの放送が1/24とかのコマ送りで動画にしていたのが テレビ側で滑らかに見えるように 1/60や1/120とかのコマ送りに映像を加工して表示していたりします。

これができるようになったのも ブラウン管のテレビの時代から電子回路で制御するLCD有機ELの時代に変わったからで 子供のころのテレビというのは冷蔵庫と同じで置いたら動かせないものって感じから 今やTablet上の持ち歩きテレビが普通になっているわけですし、アンテナ線を繋がない そもそもテレビチューナーのないテレビまで登場しています。

当たり前の生活ですが、気が付けば全部が変わっているんだという事に気が付いてないだけかもしれませんね。