知らないから識る

口で話された事なので字は合ってないかも知れませんがこんな事を教えていただいたことがあります。
 
PCの世界では、速度の評価はベンチマークソフトという物があり明確な差が出ます。
昔ほど明確と言えないのは、昔は円周率の計算を行うのが唯一の尺度だったことに比べて、今は単純演算速度だけでは評価できない風になったこと。
もっとも、現在は処理能力/消費電力を物差しにする向きもあります。
これが車の場合、最高時速が物差しだったのはスーパーカーブームの頃で、フェラーリーとランボルギニが対決を繰り返します。
アメリカからやってきた新しい価値観としての馬力競争もそうで、500馬力を越える車達もちらほら出てきます。
勿論、貧乏な私の予算では1.5リットル程度までの車が精一杯。
イタリアには200kを越え、100馬力を簡単に越える車達がいました。
イギリスには車重500Kを割る車が存在し、今で言うとようやくPCの重量が1Kを切り始めた時期にいきなりOQOが登場したようなことです。
私はイギリス車を選び、それもレースで走っている車両に無理矢理車検を取るという手段に出ました。
輸入し走行するまでに2年以上の年月を費やしました。
 
その当時は、予算があり我慢するべき物を我慢しそれでも何にも負けない1を持った車を求めたわけです。
故に、普通に道を走っていても地面からの突起にぶつかるほど低い車体(地上高約5cm)やそれを起因とする度々の排気管の脱落(ひょんな事で折れるんです)、そして 排気が安定しないために度々機嫌を損ねるキャブレーターを日がな一日イジることになりました。
 
レースカーといっても実は私の感覚とイギリス人の感覚に大きな隔たりがあり、本当の話か私は知りませんが
イギリス人に休みのことを聞くと
「レースのある日が休日だ」と答えたそうです。
額面通り取ったそれを聞いた人。
「勤勉なんですね」という答えに。
「そうさ、レースのない日には整備しかしてないと」と答えたそうです。
質問した人は苦笑したという話なのですが、そのあと
「それにレースは毎週有るし」と継ぎ足したという話がまことしやかに伝わっており、言葉通りどこかで毎週草レースが行われているそうです。
私の物もそういう車で素人が独自の根拠のない思いこみで改造した車だったので実際のサーキットでは笑える結果でした。
勿論、レースに参加できるほどの腕がなかったことを引いてもです。
 
当時から親身に面倒を見てくれていた車屋さんとは今もつきあいがあり、その当時の事をふと思い出し今でも顔が赤くなることがあります。
表題の言葉はその当時に別の方に言われたことです。
今も若い子達の話を聞いて思い出しますが 260馬力の車と280馬力の車の速さの違いなど。
いまなら「状況にもよるけど結局は 走ってみないと判らない」と答えるでしょう。
乗ってみないと判らないと言うことを知らなかった為に、本やスペックを調べて識ろうとした。
それが必ずしも速さの物差しに成らないと言うことも含めて。
 
車では今でも新しくきた若い子達は良くそういうことを店の人に聞いています。
店の人の答えはきっと昔私が聞いたのと同じ答えでしょう。
そして、本で知った知識で反論する。
微笑ましい風景であり、恥ずかしい風景であり、そして彼らはいずれ知ることにが出来るのだろうかという事も気になります。
私と同じ年齢でも同じようなことを当時の昔がたりとして言う人がいます。きっと最後まで知らないままそこから離れたんだろうと・・・・
知っているつもりでもその先がありどこまで行っても終わりはないのですが、知る努力は忘れないようにしなければと。