車載用FMトランスミッター

ちょっとTwitterで話題を振ってしまったのでちょっとだけ
最近はあまり見ないのですが、FMトランスミッターというので車のカーステレオに音を割り込ませるというやつの話です。
例えばi-Pod用のアダプターなどは、シガーソケットに差し込んだ機器からはケーブルが出ていて これをi-Podに差し込むとi-Podの音楽がFMの74M〜76Mぐらいの間の電波となって送信されるわけです。
車のFMラジオをその周波数に合わせれば i-Podの音楽が車で聞くことが出来るようになって非常に便利な機器です。
同時に、i-Podの充電もできるのでこれでカーステレオはいらない・・・・なんていうと カーステレオが無いとラジオもスピーカーもないけどどうするんだ??という笑い話になる訳です。
 
FMトランスミッターは昔からよく使われるもので 無線で使えるマイクやヘッドフォンはこの方式が多くなっています。
Bluetooth等との違いは とにかく安い事。
欠点は生で音を流しているのでラジオを持っている人全員が電波が届けば聞けてしまいます。
セキュリティも何もあったものではないので 電話のヘッドセットなどには使われることはまずないわけです。
でも、車の中の通話用ヘッドセットの中には数機種あるわけですからこの辺りも今日の話となる訳です。
 
電波を届かせるためには 大きく区分して発信機とアンテナが必要です。
発信機の出力が大きければ大きいほどよく、アンテナも大きければ大きいほど良いわけです。
例えばアマチュア無線で使う144Mhz帯であれば電波が2mなので2mのアンテナを・・・・と言いたいわけですが そんなに大きなアンテナを置くわけにもいかないので 1/nの長さのアンテナとするわけです。
長ければ長いほど良いのですが、その辺り場所と出力のバランスでせめぎ合った結果決められることが多いわけです。
携帯電話では2G帯という物凄く短い波長の電波を使っているので 比較的小型のアンテナを使う事が出来るのも利点なわけです。
それでも、WifiBluetooth、2G、900M等複数の電波のやり取りを行うアンテナをこの狭い範囲に配置するとなると大事で、本体内の回路もさることながらアンテナの場所の取り合いは各担当の技術者の奪い合いとなる訳です。
その中に。長い波長のFMのアンテナを押し込んだ端末があるわけです。
 
長い物を小さなところに押し込む手法ですが幾つかあります。
勿論1/nに割ってゆくのですが長さそのままで折りたたんで長さはあるが場所はくわないように作る方法もあります。
その場合、電波の感度の良い方向と悪い方向が出来てしまうために 複数本用意して電話の強い物を使うというのが一般的です。
ただ、電波の強いというのは双方向にデータを交換しててやっとわかる話で 発信しかしないFMトランスミッターはその手法は使えないので だらだらと長いアンテナが使われたりします。
最近は違いますが昔は ワイヤレスマイクと言えば30cmぐらいの先の繋がっていない線が付いていたものです(年寄りが解るな)
いまは いくつかのアンテナを置いて、どれかが到達すればいいかな??ぐらいの設計だったり大きなコイル状のアンテナがボディの中に巻いてあったりするわけです。
 
じゃあ車のFmトランスミッターもこういう感じで・・・・というと実はそうでも無い訳です。
さっきの車のヘッドセットは・・・とか、FMトランスミッターなんてよくあるから隣の車と混線して・・・・という状況があまりないと思いませんか?
結構、社外品のカーナビなどは音声をFMで飛ばしているのですが それでも混線はあまりないと思いませんか?
実は車のFMトランスミッターはちょっと違う作り方をする場合が多いのです。
車というのは鉄の箱で出来ていて ラジオのアンテナは以前はピラー横に短いハリガネが付いていて 今はリアガラス(動かなくて 前は規制があるから必然的に後ろ)の中に仕込んであったりするわけですが ピラーに着いているタイプなどはこの外ですから 中からの発信された電波に関しては受信感度はあまりよくないわけです。
ましてや車内の機器にあまり大きなものは作れないので・・・・となるわけですが 実はこれには昔から簡単な解決策があるのです。
 
車の電源に関して、基本的に「+」しかないの知ってますか?
嘘だと思われるならバッテリーの端子の黒いケーブルの一部がボディーに行っているのを見ることが出来ると思います。
四つのゴムタイヤで地面と絶縁されていて車本体が鉄でできているのを良い事に ボディ全体をマイナス側の電線としてみなして 「+」となる電線だけを貼ることでコストダウンを図っている訳です。
もっとも、車を起動するセルモーターやスパークプラグに電気を送る装置や、車載のコンピューターなど電気を多く使う機器や安定した電源が必要な機器には直接バッテリーからマイナスの線を張ってあるわけですが・・・・
これは「ボディアース」といわれる手法です。
つまり-端子はどの機器に対しても繋がっているということです。
それをよい事に、このマイナス側にFMの電波を流してあげると あちらこちら車のボディを回って アンテナのアースにまで到達し FMラジオに有線で信号を送ることが出来るわけです。
つまりFMトランスミッターだから「無線」だと思っていたわけですが 無線となる周波数の信号を「有線」で送り込んでいる訳です。
無線に対して有線は伝送効率も高くノイズも乗りにくい(もっとも車中のノイズもここに乗るので あれですが)ので カーナビの音声などは迷わずカーステレをに到達できるわけです。
出力がたいしたことが無くても 簡単に到達しますし、それ故に他の車に受信されたりしにくいという訳で ハンズフリーでも車用にはFMが使われたりするわけです。
 
FMトランスミッターの屋外用などではラジオに向けて飛ばすタイプとなる訳ですが これを車の中で使うと鉄の箱越えでアンテナに送る訳なので実はあまり感度が良くないという事になり 車には車用となる訳です。
一部機種では 車から電源を取ることが出来て それ以外の時はバッテリーで・・・・という機種もありますがこの場合も電源をくるっまから取らないと思ったほど聞こえないという事もあるわけです。
最近になって、前述通りリアガラス上にFMアンテナを配置されているものもあり FMトランスミッターの利用が電源を取らなくても比較的よく聞こえるようになったものもありますが やはり車には車用を使うのが便利かな?という事が起きますので。

written by HatenaSync