あたりとはずれ

普通に使っているときにはあまり意識しないのですが 物には「あたりとはずれ」と言う物があります。

基本的にはすべての工業製品がそうなのですが、どうしても製作上の誤差と言う物があります。

金属加工などでは公差と言われる部分で 最低限どれぐらいまでブレがあっても許容できるかの範囲です。

ねじなどでも、締めこむときに硬いものと柔らかいものがあるのはこの公差の範囲が微妙に違ったりするからです。ただ、多くの場合はその公差より 中に入っているゴミなどが抵抗になっていることが多いのが実情ですが・・・・

 

CPUにおいても あたりとはずれが話題になることがあります。

これも、普通に使っているときにはあまり影響が出ないのですが 例えばうちのPCは平均温度が少し高いなんて事が普通に起きているわけです。

ただ、比較する対象が無いのと 誤差の範囲ぐらいのブレしかないので問題にならないわけです。

ただ、これがオーバークロックを極めるような使い方をしていると大きな差になったりするわけです。

あるものは+2Gのクロックアップが可能だったのに あるものは1.5Gを超えると動作しなくなるとかいうように極限の使い方をすると大きな影響を及ぼしかねないわけです。

ただ、前述通りほとんどの場合ユーザーが意識するレベルではないという事なのです。

 

AMDのCPUの自動オーバークロックの新しい機能にPBO2というのがあるのですが これを設定するために AMDのCPU設定アプリ Ryzen MasterというアプリがあるのですがこれでCPUを見ると 複数のコアに対して各コアの詳細が表示されます。

その中に 星印が表示されるコアがあるのですが これが全てのコアの中で最も性能の良いコアだという印なのです。

それを特定してどうなのだというと、PCがプログラムを処理するときにそのコアを積極的に使うという設定をするPBO2の指標として使われるものなのです。

性能がいいというのはイコール熱の発生が少ないというもので 性能上限で熱によって頭打ちになる性能が落ちにくいつまり 重い処理をしても熱が発生しにくいと成るわけです。

 

デジタル機器でそんなことはないだろうといわれそうですが

例えば 端っこのコアと両サイドをコアに挟まれたコアでは放熱のしやすさが変わるとかいう事もありますし 電源に近いとか外部からのインターフェースに近い キャッシュの傍だとかいろいろな理由でその性能が僅かですが変わってしまうわけです。

なので前述のような技術があるのですが これはあくまでもメーカー保証外の技術としてクロックアップする為にあるわけですが これを自動化するところまでいけば もう少しヘッドスペースを稼げるようになってゆく訳です。

それは難しいといわれそうですが、現在のIntelのコアやSmartPhoneのコアは性能の高いコアと性能の低いコアの組み合わせで出来ていて 処理によってそれを使い分けているので性能の良いコアを積極的に使うぐらい実装しようと思えばそう難しくなくできるわけです。あとはどこまで追い詰めるかなのですが・・・・

 

もう一つ、コアの性能の優劣を決めるのに 物理的な配線上の問題があります。

いかに 高精度に作ったとしても 同じもののコピーである複数のコアが全く同じではないのです。

場所によって 微妙に配線やトランジスタの大きさが異なったりするわけです。

これはパターンを焼き付けるときの光学的な問題や 素材やそれに使われる物に含まれる不純物、マスクした後溶かして配線を形成するのですが その溶け具合なども影響を与えると聞いたことがあるので非常に微妙なものなのだろうと思います。

そして、それにより不良品が発生することでいわゆる歩留まりと言う物が発生します。

歩留まりの基準は全く動かないは論外として 各コアの性能がこれぐらいだったら許容されるという部分もあるわけです。

熱が出ても高性能を追求するために過度な冷却性能を要求する状態で出荷されるものもありますし 産業用機器などでは過度に発熱を嫌うように作られるものもあります。

 

先日、QualcomのフラッグシップCPUのGen1と呼ばれる新しいシリーズが 非常に発熱が多くSmartPhone向けでないという評判が出たりしているわけですが このCPUを作る会社を移転するという話が報道されています。

真偽はどうあれ、聞いている噂では現在の工場では おおよそ40%程度の歩留まり率だという話が出ています。

詳細は分らないのですが 例えば歩留まり率50%だとすると 2個作って1個捨てるという 非常に経済的に悪い状態を意味するわけです。

この原因は工場のせいもありますが、配線パターンで熱が溜まりやすいや細かい部分が密集し続けるなど設計上の問題で発生しやすい場合もあり バランスを取りながらやるのですが歩留まり率が悪すぎると ある程度性能が落ちても(熱の発生が多すぎる)無理してでも出荷するか 全くやり直すかの選択を迫られるわけです。

 

もし性能が落ちても 品質の悪いものを出荷するとなると 先に市場にレビューに配られたものは性能の良いものを選んだもので 実際に出荷が始まると悪いものも含まれるので「爆熱」とかいうレッテルを張られる商品が出てきたりするわけです。

品質にばらつきがあまり出ると 歩留まりの許容度を下げた 商品としてはあまりよくない小野と評判が出てしまうわけです。

この場合、原因はどこだと成るわけですが 前述通り工場と言うか製造メーカーの移転の報道があるという事は 製造工程そのものに問題があったという結論を導き出した人たちが少なくないと考えられるわけです。

言い換えれば設計ではなく 製造が悪いと言い切ったようなものです。

ARMのCPUは独特な構造をしていて ある程度のカスタマイズはされますが基本的なコアの部分はARMから提供を受けています。

その部分に関しては共通要素が多く、その部分が最新のフラッグシップはほぼ共通なのですが 何故かQualcomと製造工場を共有するものは同等に性能が低く Qualcomがこれから移転するとうわさされているところで作っているものは発熱が低く性能が高いといわれているのです。

 

さて、この噂なのですが「あたりとはずれ」どっちなんでしょうね?