伊藤探偵事務所の憂鬱 29

“ぼうや”と“名探偵”使い分けている
僕的には 未だ“ぼうや”がふさわしいんだろうと・・・・
KAWAさん:「行きますわよ〜 早くしないとお友達も待ってるよ〜」
ハイトーンな声でKAWAさんが言っている。
お友達? 誰だろう?
若頭:「お待ちしておりました」
「若頭!?」
昨日までと全く違う、強いて言うなら中年ラッパーのような格好で若頭が立っていた。
なんていうんだろう、顔が笑っていない 太っていない ブラザー・トム みたいで・・・
若頭:「お邪魔にならないように、若い者に聞いて 普通の格好をしてまいりました。うちの若いものも無作法なもので 任侠って解るような格好しか知らないもので昨日一晩研究させまして 朝から買いに出ました。似合ってますでしょうか?」
KAWAさん:「う〜ん とってもCOOL」
若頭:「はあ、くうるですか?」
「良いって事ですよ 若頭」
若頭:「それは良かった、ところでせっかく格好まで変えたんですから 若頭と呼んじゃあいけません」
どういう感覚だかわからないけど みんな良いらしい。
「じゃあ。どう呼べば良いですか?」
若頭:「藤堂と言うんですが 固いですね みんなは略して“とど”と呼びますのでそう呼んでください」
「じゃあ、とどさんって呼びますね」
名前だけなら 少し可愛いかも
KAWAさん:「あはは、とどさん とどさん」
スキー帽で隠れているけど 5部刈りの頭をぺたぺた叩きながらKAWAさんがとどさんを呼んでいる。
とどさん「あねさん・・・は可笑しいですね 失礼ですがKAWAさんと呼ばせていただきます。 ですが、先生はなんと呼ばして頂いたら?」
aireさん:「ぼうや、ばか、役立たず どれでも良いわよ でも、先生だったらそのままでも十分通じるんじゃない?」
とどさん:「でしたら 今までどおり先生と呼ばせていただきます」
arieさん:「そんなことより、どうなった? 連れてきてくれた?」
ん? 何のことだろう
とどさん:「はい、昨日のうちに十分にお詫び申し上げたのですが 解っていただけないようで」
arieさん:「そりゃー、不幸な出来事に巻き込まれた ただの会社員だから可笑しくなっても驚かないわね」
だれのことだろう?
「arieさん、何のことですか?」
arieさん:「とどさん、とり頭でもいいわよ 次呼ぶときは。あんたが総務部長から頼まれたのは 宝石の発見だった?」
そういえば、宝石の発見なんて期待していない。一応、その日より失踪した社員がいるので念のため探してくれって言っていたような・・・・・
「あっ、そんなこと言われました」
KAWAさん:「と言うことは・・・・解っていてあの事務所に駆け込んだわけではないんですね!」
珍しく真顔で聞かれた。
arieさん:「それが、この坊やの才能なの」
とどさん:「何のお話ですか?」
arieさん:「この坊やのあだ名に おおぼけ を付け加えるかどうかを話してるの。決まったら教えたげるわ」
KAWAさん:「うふっ、CHU」
突然、ほっぺにキスされた
KAWAさん:「やっぱり、毎日楽しいわ。こんな仕事ばかりだったらいいのにね」
「そうですか?」
KAWAさん:「あなたが そうなんです さー、ケーキを食べに GoGo!!」

arieさん:「まちなさい、探し人が先 依頼は依頼 先に片付けるの で、今はどうしてるの?」
とどさん:「はあ、とりあえずお休みいただいております。」
arieさん:「じゃあ、案内してくれる?」
KAWAさん:「えー ケーキは〜 ケーキ」
arieさん:「はー、事務所にもケーキぐらいは出るわね!」
とどさん:「はい、用意をさせていただきます」
KAWAさん:「10個よ 10個、チョコレートのやつと、イチゴのやつと 桃のやつと・・・・・・」
増えてる・・・・