伊藤探偵事務所の憂鬱 30

arieさん:「で、副社長との関係は?」
不幸な男:「お願いです、命だけは助けてください。何にも知りませんから」
arieさん:「助けてあげるから 教えてくれない」
不幸な男:「知りません、ほんとです!」
あきらめたarieさんに任された。
「あのー、大丈夫でしたか?」
何も答えてくれない。
「とどさん、申し訳ないですが席を外してもらえますか?」
さすがに若頭がいると安心できないでしょう。
「これで 話してくれますか?」
男はゆっくり喋りだした。
不幸な男:「私は、食品売り場の責任者で 副社長とは何の関係も無いんです」
「本当ですね。」
不幸な男:「もちろんです、ですから助けてください」
どうも引っかかるが、本人がそういうからそうなんだろう
「僕達は いえ少なくとも僕はあなたを閉じ込めたりする気はありません 家に帰りたいのでしたら表まで案内しますし、何でしたらお家までお送りしますよ」

安心してもらうために 表に連れ出した。
「どうですか、誰もあなたを閉じ込めたりはしないでしょ」
不幸な男:「一週間前に、無理矢理連れてこられたんですよ 信じられません」
そりゃーそうかもしれない。でも、考えてみれば僕に比べて不幸かといえば それほど不幸でもないように思えてきた。
「でも、まあ今は安全ですから良かったですね」
少し不幸な男:「良かったって、さらわれて良かったはずが無いじゃないですか」
怒りながら男が言った。
KAWAさん:「おいてっちゃ やだよー」
ケーキを食べ終わったKAWAさんが付いてきた。
「駅まで、念のためお送りするだけですよ また帰ってきますから」
KAWAさん:「きっと駅前で ないしょでなんか食べるんだ」
なんか、昨日あたりから食べてばっかりのような気がする。
少し不幸な男:「とにかく 帰らせてもらいます」
少し心配だったのと、KAWAさんが駅に行きたそうだったので招かれてはいないが駅まで一緒に出た。
駅に着いたところで
少し不幸な男:「じゃあ、ここで失礼します」
お礼ぐらい言って欲しいとは思ったが気も立っているからしょうがないかもしれない。
KAWAさん:「一緒に お茶でもいかが?」
何を急に言い出すんだろう?
少し不幸な男:「馬鹿なことを言うんじゃない。すぐに帰ります」
KAWAさん:「帰る家があると思う? あなた副社長に消されかかったのよ うちの所長代理はやさしいから 彼に助けを求めるのが一番いいと思うけど・・・」
びくっとした男、顔から血が引いたようだ
落ち着き無く周りを見回している。
「本当に助けてくれるのか?」
KAWAさん:「あら、お願いする相手を間違えているわよ」

改めて 事務所に引き返した。
その前に少し不幸な男は KAWAさんにケーキを買わされて 尚不幸な男になっていた。
不幸な男:「じつは・・・・」
長い話が始まった
かいつまんで言うと やはり宝石の移動を手伝って 証拠を消すために捕まえられた。(その後、これはとどさんから聞いた話だが、簀巻きにして川へ流される予定だった)

これで、副社長の犯行がはっきりした。
改めてarieさんと合流し3人で百貨店に向かった。