伊藤探偵事務所の混乱 48

西下さん:「連絡がとれませんねっと!」
コンピューターのキーを叩きながら西下さんは呟いた。
しかし・・・、集まってきたな 恐ろしいほど。
諜報機関のデパートのようだな。
今まで、一族の硬い血の絆で一切の情報を漏らさず 多くの謎を秘めているにも拘らず一切外部の侵入を拒み続けてきた一族が 突然、多くの諜報機関の陽の目に晒されるなんて・・・。
作為的過ぎて、逆に疑わしくさえある。
過去にも、彼らの一族が陽の目を浴びたことがあるのは・・・約100年に一回。
その百年目と言うことは・・・・
国の存続を掛けて、勿論支配者の生き残りをかけて軍隊と言っていい部隊を送るもの。すでに多くの独裁者を失い、資金源が乏しくなり イスラム教の中での宗教的地位すら失いかけているテロリスト達が自爆を仕掛けてでも奪いたい秘密。
そんなものを餌に、何をおびき出そうとしているのか?
情報力に長けてはいる。
現に、おれの検索にすら掛からず、所長たちとの多くの連絡網の一つたりとも成立させないことなど 俺の力をもってしても不可能に近い。
やろうと思えば、アメリカの情報コンピューター相当の力が必要である。
電気すらも十分に来ていない地でそんな事を実現できる能力には感心するが、それと 旅客機をぶつけて尚 破壊しようとするやからを相手にするには、その力だけでは十分で無いと思うのだが。
まあ、考えてみてもしょうがない。
今は連絡を取ることを考えよう。
上海は、40年代の活気を取り戻し 魔都と呼ばれるにふさわしい姿になり 
南京路は観光客を集めるおみやげ物街だけではない活気を取り戻した。
西下さん:「多少は、手を打つ必要があるかも・・・」
 
老:「どうじゃ、これから100年ほどここに住んでみんかね?」
老婆は僕に突然言った。
「これから100年も生きてないですよ」
老:「100年を越えて生きる技術があるとしたらどうじゃ?」
KAWAさん:「不老不死ってこと?」
arieさん:「正確には違いそうね、不死かもしれないけどどう見ても不老には見えないからね」
老:「そうじゃな、それにわしは死ぬことが出来るからな」
erieriさん:「まさか、世界の秘密ってその事?」
所長:「それなら、いい値で売れるでしょうね! ヒットラーとか独裁者は全て欲しがりますからね」
老:「そんなつまらん物じゃないがな。それより、やってみんか?」
「ぼくがですか? 遠慮しときます。一人で長生きしてもしょうがないですから」
老:「そうか、一人はつまらんか じゃあ、そこのお譲ちゃんもいっしょでどうだ?」
KAWAさん:「あたしですか?」
「僕に何をさせようとしてるんですか?」
老:「何をじゃ無くて、何でも好きなことじゃよ」
KAWAさん:「例えば大金持ちだとか、有名人だとか」
arieさん:「そんな小さな事じゃあないかもよ」
「それ以上のことって思い浮かびませんね 世界征服だとか・・・ははは」
所長:「貴方が認めても、廻りめないと思うんですが?」
老:「そのためにお前たちが集まったんじゃろう? のうarie」
arieさん:「偶然よ!! あたしは人のために働いたりはしないわ」
erieriさん:「あたし、一抜けた!! 命が惜しいもん」
KAWAさん:「依頼は取り消し。帰りましょう!」
所長:「すでに、遅いみたいだね」
「あの、所長や、ぬりかべさん、arieさんはともかく 既にerieriさん、KAWAさん、シェンさん、僕は面が割れているって事は逃げられないって事ですか?」
所長:「よく気が付いたね、そして、私たち3人も既に知られてると考えるのが自然だね」
老:「必然じゃて」
arieさん:「随分、都合のよい必然があったものね」
 
西下さん:「あっ!!」
西下さんが捜査する手を一瞬止めた。
モニターのいくつかを確認すると、通信ステータースがfailからPASSに順番に変わってゆく。そして、回線が接続された。
西下さん:「所長!!」
所長:「GAME STARTって訳ですか?」
老:「そういうことじゃな。まずは、生き残ってもらおう」
老婆は二人の従者に付き添われて帰っていった。
西下さん:「所長、状況を教えてください!!」
arieさん:「世界征服を出来るかどうかの器を試すために、全世界を敵に回すゲームが始まったので覚悟なさいって」