Miss Lは、ローズバスが大好き 12

小柳刑事:「Miss.Lはいつもきっちりした格好をなさっていますね。」
勿論、にこっとした笑みで答えた。
気のせいかもしれないが、Mr.Gはぶるぶる肩を震わせているように思える。
「それにしても、よくお会いしますよね」
男:「そりゃ−おばさん ここにいれば 毎日にでも」
小柳刑事が男の頭を後ろから首の骨一つ分ぐらい縮む程度の強さで軽く叩いた。
男は、一瞬息が止まって話が途切れた。
小柳刑事:「すいません、礼儀知らずで こいつは七瀬と言います。」
「はぁ、始めまして」
カチンと来たけど、笑顔で答えた。
「お茶を入れてきます」
一応儀礼どおりの挨拶だったのでしょう。お茶を入れるためにその場を離れたらこそこそと小声で話を始めた。
今日は・・・・、ジャスミンティーにしましょう。精神を休める効果があるらしい。
低い温度で、ゆっくり蒸らしながら香りを膨らませている。話も長くなりそうなのであまり急いで持っていくと話の邪魔になるでしょう。
何故か置いてある豊富なお茶のコレクションのお陰で お茶を入れる時間が楽しみの一つでもある。
初めの香りを楽しむのは、お茶を入れる人間に許された特権だからゆっくり歩いて香りを楽しんだ。
「どうぞ」
流石にMr.Gの机一つに3人分のお茶を置くのは狭かった。もちろん、机の上が片付いてないからなんですけど。それでも、隙間を縫ってカップを三つ。
少し離れた自分の席にも自分のカップを置いた。自分のカップは少し大きめの中身の多いカップ。自分の事には楽をしたい。
Mr.G:「Miss.L、あの怪物はどう思いますか?」
あの怪物、その言葉だけであの黒い生き物のイメージが頭に浮かぶ。
「怖いですね その上気持ち悪い。」
Mr.G:「そうですね、でも 生物としてはどうですか? 生き物だと思いますか?それとそうじゃ無いとか」
小柳刑事:「想像上の生き物でなければ、ロボットとか」
「ロボットって感じではなかったと思います。体温は高めで そう、あれだけ寒いところにいたから私の手足はかなり冷えていたと思いますけど そういう感じじゃなかったからかなり高めの体温だと思います。あと、回収していかれた服の事もあるので解ると思いますが体液のようなものがありましたから 生き物だと思います。」
七瀬刑事:「じゃあ、やっぱり悪魔かなんかですね 見間違いじゃないんですか?」
Mr.G:「おかしいですよね」
いかにも失礼なこの男は、私を嘘つき扱い Mr.Gまで・・・
Mr.G:「あの生き物は、腕を持っていたし 腕を使ったんですよね」
「そうです」
何を聞いているんだろう? 少し口を尖らせて答えた。
Mr.G:「腕を自由に使える、そして空を飛ぶって 無理なんですよね 物理的に」
小柳刑事:「といいますと?」
Mr.G:「人もねずみも、蛇も、そして魚でも何でもいいんですが 生き物の筋肉ってそんなに性能は変わらないんです。じゃあ、空を飛ぶための力を出そうとすると腕がちゃんと動かせたり 足で歩いたりって 頭が良すぎるんですあの生物は」
七瀬刑事:「でも、伝説の生き物なんかにはいるじゃないですか 映画なんかでも良く出てくるような そう、ハリーポッターとか」
Mr.G:「七瀬君、それは推理じゃない 唯の想像。それならば推理なんて物は必要ない。来るところを間違えているよ。」
「でも、先生の言うようだったら実在しないんですよね あの生き物は」
Mr.G:「そうだね、私の考えどおりでは 自然界の進化で生まれる生物では無いですね。スポーツ選手のように跳びぬけた筋肉を持つものもいるかもしれないが、それにしても生まれた時からって訳にはいかない。それでは種としての進化としては考えにくいでしょうね」
Mr.Gの言うとおりである、ならばやっぱりこんな生物が存在しないって事ですよね。でも、でも もしかして・・・
「あの、もしかして 無理かもしれないけど 自然に発生したのではない生物って」
Mr.Gは意外な顔をしてこちらを見た。
Mr.G:「頭が良いって事は、脳の動きが良いって事 つまり脳の使う酸素の量が多くエネルギーが多い事。腕を足をそして羽根をコントロールする能力があるって事は そのエネルギーの消費量はかなりのものでしょう。勿論、空を飛ぶ事も地上を歩いたり水の中を泳いだりする事に比べるとけた違いのエネルギーを必要とする作業です。
そして、それを支えるための心臓も恐らく哺乳類と同じ 2心室2心房は必要でしょう。
いくら小さいとはいえ、それだけのものを支えるにしては体のサイズとのバランスが悪すぎる。
ただし、例えば必要な物が付いていないような生物なんかがいたりするとその常識が覆される可能性があります。
Miss.L、貴方の考えは、全く私の考えと同じ物であると思います。
消化器や生殖器、そのた今動くのに必要の無いもの全てを殺ぎ落とした生物を もし作る事が出来たとしたら・・・なんですが」