逃げるテレビと追うブロードバンド

実際の放送の話ではなくて、これは技術的な話。
テレビの地上波はアナログから5年後にデジタルになります。
その後今までのチューナーは一切使えなくなるので、今のうちに買い替えをといって大型テレビが売れて行きます。
勿論、BSのようにチューナーからビデオ入力端子を利用してテレビに映せばよいのでそういった商品も3〜4年後をめどに出てくるでしょう。
すでに、多くの人がビデオ若しくはDVDレコーダーなどを持っているわけですからこちらにチューナーがついていれば実際のところ買わなくても十分に見れるわけです。
ただ、出来ないことが一つ 今のテレビの解像度を上げること。
地上波デジタル放送は、DVDと同等の画質として720x480ぐらいなのでしょうか?
DVDを始めてみたときにクリアーで綺麗な画質が忘れられません。
現在のテレビはアナログなので720とかの明確な数字は出てきません。しかし、いまのような放送の場合横は250〜400程度の解像度が精一杯(これは発色によって異なります)、縦は、明確に走査線の数ですから256本(−上下の隙間)です。
縦に関してはインターレスと言う表示方法なので補完部分も含めると512本までは論理上可能になります。
しかし、画面を見れば判るとおりQVGAぐらいの画質がいいところでしょう。
そこからVGA+の画質になるわけですから綺麗に見えて当たり前。
でも、テレビが昔のままだと何処が綺麗だか良く判らないことに成るわけです。
D1やD4と書かれた端子はそういった高解像度の信号を伝送するために必要な帯域を持った接続方法である訳です。
アナログからデジタルになって4倍が面が綺麗になったことにより 驚くほど鮮やかな画像を手に入れることが出来るようになりました。もちろん、こぞってみんな手に入れるという訳なのですが・・・・
では、画面が明るく高解像度の画面をずっと見れることがそんなに良い事なのでしょうか?
例えば、軽井沢のペンションに避暑に行って朝起きたら窓から日が差してきてカーテンを開くと暗いところになれた目はまぶしくて真っ白で何も見えない。
徐々に目が慣れてきて、白い中に緑の要素が浮かび上がってきて目が慣れてくると驚くほど鮮やかな緑が浮かび上がる。
誰に言われたわけでもないけど、体が自然に伸びをして深呼吸を行う。
非常に体に良さそうな環境なのですが、では人のいた場所にカメラをセットして録画してテレビを見たとしましょう。
本物を再現することが自慢の高解像度高輝度テレビでこれを移すと 夜に明かりを落として雰囲気を出した部屋の中で この画面を見ると本物どおりなら目がくらんでしばらく使えなくなります。
勿論、エアコンから吐き出される偽物の滝のそばの空気らしいマイナスイオンを吸っても実際の軽井沢の朝ほど健康にならないことは除いても こんなことでは疲れてしまいます。
つまり、実物と同じ明るさは疲れてしまうのです。
ホラーなんかでも、暗い部屋から逃げ出してドアを開けた途端画面は真っ白になって 首を振るかのようにカメラが左右にふれるといつの間にか外の風景で太陽が見えているような描写がありますが、あれも作られたもので実際の画面が真っ白になっても実は見ている人は前が見えないほど目の前が真っ白になるわけではないのです。心理描写の一種です。
映画などが終わって疲れるのもわざわざ部屋を暗くしてコントラストを大きく取る事も一員ではないかと思います(と思うと、MAROONさんは疲れないのかな?)
まあ、解像度の話からはずれましたが、実は消費者は行き過ぎは求めていないのです。
ただ、マーケティング的には凄い画質は売りになります。比べてみれば一目瞭然。
家でテレビを見ていても解像度に不満を持っていないにも拘らず 適当に丸め込まれてしまうわけです。
現に、ハイビジョンはかなり前から出ていますが実際には殆ど普及していません。
それが証拠に、アナログハイビジョン(NHK方式)が現在のデジタルハイビジョンになって一切の互換性が無いにもかかわらず 文句をいう人や裁判を起こすほどの怒りをぶつける人がいない事がそれを証明しているでしょう。
何百万のテレビを将来性を売りにされて買ってみたものの 将来性どころかなくなっちゃったという楽しい事態にあってもと言うことなのですから・・・・
 
では、ストリーミングというインターネット上でのテレビ放送があります。
一対一の相手によって違う配信をするために、一対多の配信に比べて無駄が多く 帯域の消費が激しい方式なのですが、それでも多くの放送局があります。
多くはやはりQVGA程度の画質の配信を行います。
解像度だけではなく、色の階調やフレームレート、部分的解像度、部分で気コマお年等の技術を使って同じ解像度でも画質は異なるのですが 例えばGyaoの場合VHS相当ぐらいではないかと個人的には思っています。
それがアナログ放送だとすると近々デジタル放送が控えているのでテレビの画質はストリーミングを大きく引き離すわけです。
Flet‘sのストリーミングなどではかなりそれに近い配信はなされていますが 数えるほどの番組だけ。じつようとは程遠い物でしょう。
DVDなみの配信をされたら恐らく回線が持たないはずですから。
デジタル化はスケジュールが決まっていますが、その後アナログ放送が停波されると もう少し綺麗な画像を配信したいというようなことも言ってられるようです。
もちろん、ブロードバンド側も帯域の拡大は飛躍的に大きくなり、ファイバー網の普及が遠くない未来にDVD並みのストリーミングを可能に出来そうな状況です。
何処まで行くのかは判りませんが、何度も言うようですが 本当にその解像度が必要なのでしょうか?
家にプロジェクターを置いて言うのもなんですが、テレビを大きな画面で見たいのはそんなに激しい回数ではありません。映画好きだとしても一日2本ぐらいでしょう。
逆に、テレビでニュースをみるのにあのサイズは邪魔になります。
広い家では有りません、画面全部を眺めることが出来ないのは文字の多い放送では負担になります。
高画質もある一定までは売りになるのでしょうが、虫眼鏡で拡大して画質の違いが判りますというレベルまで来ると 「本当にユーザーのためにやってますか?」と聞いてみたくなりますね。