さぶい・・・・

一昨日に、高速道路に乗って奥様の実家まで。
走行中に気になるのが 車の水温。
過去に乗ってきた色々な車たちに鍛えられて、水温は車の調子を見る上で最も大事な計器の一つであると言うことがわかっている私としては気になります。
勿論、多くの場合は水温の上がりすぎを気にします。
国産だったら大丈夫・・・・なんて事は無く、良くあるのはビニール袋をフロントのグリル辺りに張り付いたまま走っていて気が付いたらオーバーヒートなんていうのはあまりにもよくある話。
高速道路にも良く転がっているのでかなり注意しなければいけないトラブルの一つです。
勿論、冷えすぎてクーラントが凍ってラジエーターへの水路が止まっていたり 雪がグリルに詰まってオーバーヒートも笑い事ではないトラブルの一つです。
特に鼻の長いそして低いスポーツタイプの車では、起き易いトラブルです。
 
今回はそうではなく、冷えすぎるのです。
高速道路を走っていると、気が付いたら「L」の辺りまで下がってしまいます。
特に寒い夜など、ヒーター全開で走っていると窓が曇ってくるのでエアコンも除湿で動いている。
エアコン自身は負荷の大きな処理なので、水温を上げるのに寄与するのですが エアコンが必要なのは暑い時期なので無条件で専用のFANでもっと冷やそうとするので寒い季節には返って水温を下げてしまいます。
普通の車ならそんなことにはなりません。
もし、冷えすぎたらラジエーターに向かう水路を自動的に塞ぐサーモスタットのついたバルブが動いて水量をコントロールしてエンジン温を一定に保とうとするからです。
恐らくそのバルブが故障したのでしょう。
 
エンジンが冷えることは良いことなのですが、その状態が続くのは良くないことです。
例えば、あったまった状態を想定して設計されたエンジンは、冷間時には金属が熱膨張する前なので想定されたクリアランスが保たれていません。つまり、スカスカだったり ぎちぎちだったり。
オイルも一定の温度でちょうどの硬さになるようになっていますので、冷たいときの硬い状態で高回転まで回すと 抵抗が強すぎて悪い場合にはクランクが曲がってしまうような事もあります。
ガソリンも、気化するときに気化熱を奪って気化するので 冷たいと気化せずに液体のまま広がり爆発が小さくなったりすることがあります。
これは、エンジンを壊すノッキングという状態を引き起こします。
このままの状態で走り続けることは、危険なこと。
そして、水温が下がれば 車のヒーターも利かなくなります。
つまり、室内が寒くなって 窓が曇り始めます。
それでも、前述の理由で ヒーターを消して エアコンも入れることが出来ないのはこれ以上事態を悪化させないため。
 
とにかく、向こうに着くまでは原因がわからないのでスローダウンして 細々と走ります。
目的地まで着いて、一般道に下りて走り出すと水温が上がってきます。
ゴー&ストップ、そして ラジエーターに常時風が当たらない状態が続けば 水温が回復します。
勿論、ヒーターも利きだしてようやく原因がわかりました。
サーモスタットバルブの故障です。
 
翌日は帰る日です。
とにかく応急処置で、ラジエーターグリルを塞ぐようにテープを張ります。
高温に耐え、低温にも強く、粘着力抜群の補修用ガムテープで抑えます。
100kを越える速度で飛ばされず、そしてラジエーターが暖まってもはがれて来ないテープは必需品なのでいつも車にあります。
目分量で塞ぐ量を調整し、街中では少し高めで安定するようにテープを張りました。
色々な経験と言うのはこういうときに役に立つようで、目分量で通常水温+1mmぐらい高くなるところに針が安定できました。

そして、一通り買い物を済ませて 高速で家に帰るとやはり水温は見る見る下がってゆきます。
原因がわかっていると対応方法もあります。
最も簡単なのはスリップストリームに入ることなのです。
レース漫画ではおなじみなのですが、前方を走る車の切り裂いた空気の渦の中に入ることで前の車に空気抵抗をお任せして 少ないパワーで走るテクニックです。
よく漫画であるのは、大きなメーカーのレースチームに果敢に挑む個人の貧乏チーム。
パワーの無さを庇う為に、スリップストリームで耐え続け最後に飛び出して勝ったりするのですが 現実には不可能な手法です。
F1などでも良く見るのですが、スリップストリームに入るということは、前からの風を受けなくなるために ラジエーターに風が当たらず 長くその状態を続けると 水温が上がりすぎてオーバーヒートしてしまうわけです。
レースに出るような車ですから、ぎりぎりまでパワーを出すように熱設計されているので その状態は辛すぎるのです。
実際はスリップストリームで近づいて、一気に抜き去るような手法にしか使えないのです。
逆を返せば、今回のように冷えすぎて困る場合にはスリップストリームに入れば前からの風を減らすことが出来るのです。
問題は、レースほど高速で走らないのでスリップストリームが小さくよっぽど前の車に近づかないと効果がないこと・・・・
これも簡単な解決策があります。
同じサイズの車だから起きることで、こちらの何倍もある車ならスリップストリームも何倍ものサイズで発生するので、出来るだけ大きな車 例えばトラックやバスの後ろについて走ればいい訳です。
 
トラック、トラック、バス、トラック、バスと前で風切をしてもらって高速を走りきりました。
ちなみに、水温に余裕があれば この方法を使えば1Lあたり1kmぐらいは燃費良く走ることも可能ですのでエコランなどには有効な方法です。
比較的水温を安定させたまま家に帰り着くことが出来ました。
後困るのは、寒い日にエンジンの暖まるのが遅いことぐらいなのですこしゆっくり動かす時間を長くすることでとりあえずの対応が可能になります。
恐らく、専用品なのでお取り寄せしてもらえるようにディーラーにお願いしました。
 
思い出したのですが、私の乗ってきた車たちにはそんな装備が付いていないものも少なくありませんでした。
あるものは最初から付いてなかったり、あるものはヨーロッパの寒い国出身の子だったので 夏が辛く少しでも水の流れの抵抗を減らすために取ってしまっていたり(だからと言って冬にもういっぺんつけたりしないんですよね)していたわけです。
当たり前のように、寒い日とかにはガムテープでラジエーターに張物をしたり、高速に乗る前には道路情報を見ながら張る量を調整したりしたものです。
いつの間にか、車の中の温度になれて 外気温なんて気にしない車の乗り方になっていたのですね。
久しぶりにガムテープを張ったり、水温を見ながら 走り方を変えたりと それはそれで楽しいなと重いながらのドライブでした。
たまにはこういうのも良いですね・・・・
 
ちなみに、こういった事態は水の管理が悪くクーラントの濃度管理が悪かったり、定期的に交換しなかったりするときに起き易いトラブルなので 本体のバルブの寿命や工作精度半分、管理の悪さ半分の とどのつまりは50%ぐらいは本人のせいだったりするので笑えないトラブルでもあるんですが・・・