CPUの性能バランス

先日、Vaio Xの登場でAtomにも2Gモデルが出てそれなりの性能かと思えば 思ったほどではというレビューが出ていてさもありなんと思っている訳なのですが・・・
 
ATOMはもともとUMPC等を想定されたCPUで コア部分はともかくキャッシュの量もパイプラインも削って ダイサイズをぐっと小さくして生産性を確保するために正方形に近い形を捨ててかなり長辺の長いダイ形状をしています。
長い横幅は今までの機器でのボンディングを可能とし、生産ラインの刷新を行わずにリリースできると踏んだからではないかと私は思っているのですが・・・・
省電力の為に部分稼働を行うのにあたり 深すぎるパイプライン処理は予測を難しくし、大きなキャッシュは省電力の為に削減しようにも部分的なコントロールが難しい。
結果的に低い性能と引き換えに 簡単で効果的な電力管理を実現したものだと思っています。
故に、少し複雑な計算となるとSSE等の働くものならともかく そうでないものはキャッシュの効かなさや 予測処理の少なさから思った以上の性能とならないのでしょう。
それでも、Vilivなどでは500gを下回る重量でWindows7の動くPCが成立したわけである。
OQOで登場したサイズと同様ながら、キーボードの代わりにバッテリーを増やした以上の駆動時間を実現したわけです。
商品のデザイン等に関しては賛否両論があると思いますので別の物として認識しても やはり時代なりの進歩がみられる訳です。
 
良く比較になって、今では無かったことになっているのが VIA C7MやIntel A110等のCPU。
もちろんTransmetaのCPUも含めれば時代的にもう少し前までさかのぼります。
この辺りに比べればATOMは悪くなく、どういったテストにおいてもおそらく性能的には上回る結果になることでしょう。
現状比べられるのはCeleronの低クロックモデルですが、こちらに比べれば随分落ちるというのが実際のところ。
C7-Mのモデルも少し遅いが十分実用的と言っていたのに、ATOMが標準となって速くなったにもかかわらず 実用最低限と表現が変わるのも人の評価の面白いところです。
で、我が家に目を落とすと 現在、ATOMのPCは三台あります。
WILLCOM D4、工人舎SC、Viliv S5なのですが 好みが如実に出ているといえるでしょう。
どれも、Atom Z520である点とタッチパネルを備えている点です。
実はViliv以外(これは触らないと操作ができないので)あまりタッチパネルを重視している訳ではないのですが・・・
ただ、CPUは期待せずというか 同じものとなっています。
もちろん予算と商品の比較の問題もありますが、私はかなりバランスの良いものだと思っています。
小型で低解像度(WXVGA)のデバイスで、入力デバイスが貧弱であれば 本体の遅さが気になりにくいということなのでしょう。
もちろん、WindowsUpdateとかが来ると投げつけたくなることはありますが・・・
まあ、YoutubeでもHDでなければ・・・、動画ファイルもSDぐらいならというレベルです。
画面が小さいので ワードとエクセルを開いて両方を修正することも実はできないわけですから。
 
では、何故Z520が使われているのか
一つその上のZ530は1.6GHzのCPUで20%ぐらいの性能向上が期待できます。
ところが消費電力をTDPだと仮定するなら、2Wから2.4Wとなりそのままリニアに20%UPすることとなってしまいます。
性能の向上は消費電力ほどは体感できないので、バランス的にこちらを選ぶ物が多くなったのではないのでしょうか?
消費電力が少なければ電源回路なども楽になるので小型化しやすいという点もあるでしょう。
で、ありながらファンクションとしては同じものを備えている訳です。
モリーの関係で実用にはなりませんが XP Modeも駆動可能です。
実際のところ メモリがー少ないことからHDDの性能が重要になるのですが SSDを入れてもインターフェースの差はいかんしがたくパラレルIDEなのでシーケンシャルな読み取りは通常のデスクトップPC等に比して良くならないのです。
故にクロックほどの効果が体感しにくいので 遅いなりに・・・とするならバッテリーの持ちからもZ420が多いのではと個人的に思ったりしますし
思った以上にUMPCでは採用されているのでそうだと信じている訳です。
 
Intelですら予想外としているのは ATOM CPUの異常なまでの売り上げで
利益的にはダイサイズの割には高くは売れているのですが(大体通常の普及型CPUの1/4ながら価格はそこまで安くない)、性能的に悪い物の販売が伸びる事は ARM CPU等が間近にに迫っているクラスなので、価格的には対抗しがたいし 性能的にもそのクラスにはWAN機能を統合したチップがある等手を出し難い点もあるのでそこを主戦場にするのは避けたいと、Celeronプロセッサーのローエンドの価格を引き下げ対抗することとなっているようです。
ただ、実用にして十分と呼ばれたCPUより上位の性能を持ち、現状でも最低限の性能を確保するAtomの選択は十分考えられるものと思っています。
特にUMPCクラスでは・・・
現状、ATOM Z520というCPUは最善の選択の一つではないかと 同じCPUのPCが溜まってゆく訳です。