古くて新しいもの

今回、Appleから新しい端末が登場したわけですが それと同時に少し悲しいお知らせもありました。
もちろん、端末がどうだとか言うことではなく クラッシックという名前の付いたiPodが終了するということです。
このiPodですが 一番の思い出はやはりあのインターフェースです。
円形のタッチパッドでこの周囲をくるくる回す事によって選択するという APPLEの言葉を借りると「独創的」なインターフェースだということだった。
そのタイプがなくなるということだったのだ。
 
どれぐらい独創的かというと・・・・というところで私は困ってしまいます。
一つは液晶パネルのコストの関係で その中にタッチパネルのようなスイッチを置いて現在のような全面液晶にするにはコストがかかりすぎたこと、HDDを内蔵されていたので2.5インチのHDDの余った面積を会社名のパネルではなく インターフェースで埋めたという2つの利点があったものと思われる。
大よそ、妥協の産物に近いものだと私は思っていました。
そして、円形に指を回すインターフェースも SONYのJOGダイヤルがあってそれを真似したものだとか当時も話題になりましたが 私はもっと前のものを想像しました。
所謂、黒電話です。
最近の子供は見たこともないそうだが 昔の電話機はダイヤル上の数字版があって指をダイヤルの数字のところに入れて回すことで電話番号を指定したのだ。
おおよそ今の大人であってもプッシュボタンのほうが使いやすいというだろう。
しかし、これは必然であったのだ。
昔の電話機をよく見てもらうとわかるが 電話線がつながっているが電源は繋がっていない。
今のような不恰好なACアダプターなどは繋がっていないのだ。
大正時代などの劇で木製の箱型の電話をかけるときにくるくるハンドルを回しているのと同様 あれは発電機なのだ。
当初はダイヤルを回し それがばねの力でmき戻される間に発電される電気を信号として使って・・・・という仕組みになっていたので ボタンを押したストロークぐらいではされない機能だったのだ。
じゃあ、プッシュホンはどうなっているというと これは電話局からの電源で動いているのだ。
故に、外部からの電源など必要なく電話線だけで動いていたのだが そのインターフェースがくるくる回すものなのだ。
 
じゃあ、APPLEのやったことは・・・・なのだが
たとえばスイッチも 押すものや倒すもの 引くもの、回すものとたくさんの種類があります。
昨日に合わせたスイッチを選択したという点では優れているわけです。
HDDを内蔵したということは 壁一面の棚の中からレコードを(まだ、この当時はこの方が通りが良かった 今名田CDですら古い)選び出して選択するほどの量が内蔵されるわけです。
ボタンを押しながら一つづつ選択するのでは時間がかかりすぎるし 操作も軽快感がない。
故に、莫大な量の音楽を収める物としての先駆者としてこのインターフェースが優れていたわけです。
そして そういった機材の特性を理解してこれを選んだというところに新しさがあるわけです。
 
今回、その使命を終えるこのインターフェースなのですが 実は未だにSmartPhone向けの音楽再生アプリの中にそのまま残しているものもあります。
つまり、インターフェースが悪い訳では無く それ専用にしなくてもタッチパネルで同じことができるからハード的に必要がなくなったという風に理解することもできます。
つまり、iPodで無くてもiPhoneAndroid SmartPhoneで事足りるだろうと発売を終了したのではないかと思います。
のも、関わらず ジョブズの・・・とか感傷的になる人が多いわけです。
 
そして、昨日の発表会の中で登場したAPPLE Watchなのですが こちらが実はこそっとそのインターフェースを受け継いでいるのです。
どこが??ということになるでしょうが 最近の時計にしては珍しくついている 「竜頭」というものです。
腕時計がアナログの時代、時刻を合わせるために外から針を回すためについていたダイヤルです。
現在でもアナログの時計には良くついていて 時刻だけでなく日付などの変更もこれが使われていて 押し戻す量と回転でいろいろと指定できたりします。
段数が増えて押し込んでフリーになる最後の時に竜頭のキャップを腕時計本体のねじにねじ込むことによって防水性能を高めた高級時計もあります。
その竜頭ですが デジタル式の腕時計の中には既にスイッチとなっているものもありました。
つまり、APPLE Watchだけの専売特許ではないのです。
しかし、iPodクラッシックと同様に 昨日のためのインターフェースとして 回転とボタンというものを選択したわけです。
そして、革新的なインターフェースと公言するわけです。
iPodの登場時と同様である。
 
結果は将来に任せるとして、私個人的にはどうかと疑問があります。
Moto360のように時計そのものが円形をしているなら ベゼルの周囲をくるくる回す方がより分かりやすいインターフェースだと思うのは 確かに画面は隠れないのですが あまり大きくないでっぱりを指でこちょこちょ回すのは 時計のように時刻を合わせるわずかな機会だけなら良いのですが日常のインターフェースには向いていないと思うからで 昔の機械式の時計を合わせるときなど 指の腹が押されてしばらく凹んだりするぐらいなのですから。
評価はともかく あのインターフェースは形を変えて生き残ったということなのです。