伊藤探偵事務所の憂鬱6

立ち上がろうと足掻いているうちに眠ってしまったようで 気が付くと回りは明るくなっていた。
トイレにもいけなかったので 立ち上がってトイレに行った。
良く考えたら 昨日は立てなかったのに 人間とは強く出来てるんだなー とひとしきり感動して 昨日のことが夢だったのでは? とあまりにも非現実な日常に感覚が麻痺を起こしていた。

とりあえずみんな既に起きていて
朝食の最中だった。
プロテインを丸呑みするもの。
カップラーメンを朝から食べるもの。(なんで ばりばり 音がするのかは謎・・・)
どこから用意したのか 銀の食器に乗った卵を中心とした料理に サラダ パン スープ デザートまで広げている人もいる。
whocaさんも 地下室から出て来て サラダのようなものを食べていた。

ぬりかべさんが プロテインを勧めてくれたのですが 丁重にお断りして胃の中にコーヒーだけを流し込んだ。
胃がきりきりと痛むのは 昨日の後遺症だろうか。

判らない言葉で話すwhocaさんとarieさん。

話によると彼女は やはり百貨店の事件と関係があった。
宝石が盗まれたのは本当らしく 彼女は自分の国から宝石の保護者としてやってきた神官であると言うこと。
宝石の盗難後 宝石を追った彼女が捕らえられたこと。
彼女を捕らえた人には心当たり無いこと(言葉がわからないんだから手がかりが無い)

などが判った。
と言うよりもそれしか教えてくれなかった。
聞きたいことはたくさんあったのではあったのだが
「女性は 秘密が多いほど魅力的に見えるのよ」
というarieさんの言葉で遮られてしまった。

「で、どうするつもりなんだ? 副所長?」
機械の森かが 声が聞こえた
「ど、どうって?」
想像も出来ないことを聞かれて戸惑った
「昨日の人たち襲ってきますよね また。 警察に電話しましょうか?」

「前の部分は ○。 後の部分は ×」
きわめて簡潔に言い切られた。

「でも、この状態は防犯上よくないのは確かね あたしなんかか怖くて 買い物にも出られない」
無表情のまま arieさん
昨日の事は忘れたらしい

「で、坊やのお仕事だけど 信頼できるお友達を作ってきて この子を守ってくれるぐらい 力持ちな子を」
意地悪そうな笑みと共に出た言葉は 意味が判らなかった。
静かにプリンターの動く音がして 一枚の紙が印刷された。

「日が暮れるまでに 仲良しを作ってこなければ命が危ないので 頼んだぞ」
機械の中から出てきた西下さんがくれた写真に写っていたのは 幼く見える女性の顔だった。

指差した 防犯カメラの先には 隠れるように角に立っている女性の姿であった。
「このひとですか?」