伊藤探偵事務所の憂鬱7

シグマリ王国は、アラブにある砂漠の中の国である。
砂漠の中にある岩山に囲まれた オアシスの町である。
人口数万人サイズの国連に認められるほどの国ではないが 豊かな水源のおかげで自給自足を行える数少ない国の一つである。
弱小国の弱みで 幾度も大国の支配を受け入れたが 完全に支配するには めぼしい資源も無く 何より山に囲まれた国を攻め落とすための経路が 細い道のみの国である。
大軍を率いて攻め入ろうにも大軍の利を生かせない事情から世界に置いていかれた国の一つである。
18世紀には 世界を支配するとまで言われた トルコの大軍を 王が自ら率いる軍を持って退けた伝説が残っている。
王の名は M・.ギア 左利きの王と呼ばれその左腕から振り下ろされる剛剣は 騎馬を馬ごと切り落とすと言われた剛の王であった。
ゆえに頭があまり強くない王であったという記録も残っているのであるが・・・・
彼の即位が大きな事件となり 彼の即位を認めないと トルコ公国が行った内政干渉に反発し戦争になった。 当時、強大な勢力を誇ったトルコ軍。威信をかけてトルコ軍の大軍が迫った。
通路となる アラブの国々はこぞって 道を空け絶体絶命の事態に陥った。
国王は、砂漠のオアシスを統べる神から 王たる証の宝石を預かって王になったという神話がある。
自らの政策の過ちで国を滅ぼしてしまうことを悔いた王は 神より預かった宝石を 自らオアシスに返したときに オアシスが輝き 王たる証のダイヤモンドは ダイヤモンドとしては珍しい 青を通り越した碧 つまり オアシスの力を得たのである。

シグマリ王国の兵の士気が大いに上がったこと。
周辺アラブ諸国のオアシスが 時を同じくして枯れたために生存のために水を確保しようとするアラブ諸国がトルコ軍に造反を始め 不本意ながらトルコ軍が彼の即位を認めた形で 属国のままという勝利ではないが国を救うことになったのである。

それ以来、この石は神の与えた力として 神官の手によって管理されることとなったのです。

それ以来、この国は歴史の表舞台から姿を消したのであるが・・・・
20世紀最後のとある日 岩山の中の国であるこの国に事件が起きる。
岩山の国であるが 止め処なく湧き出る水に 砂漠の緑化を夢見た日本のNGOがボーリング中に油田を掘り出してしまった。
アラブの国では珍しいことではない。ましてや 山奥でパイプラインも無い国の石油など・・・・
今までどおり、少ないながらも良質の大粒のダイヤモンドで外貨を稼ぐだけのしかし少ない国民なので裕福な 豊かな国の体性は変わらないはずなのですが。

石油を分析した科学者の驚きは どれほどのものだったでしょう。
石油は 過去の地層に堆積した有機物が圧力と熱によって変質したものだあるために石油の成分を厳密に調べると油脈が判るのであるが 驚くべきことにこの成分はどの油脈とも一致しないものであり 平たく言うと 今の油田から石油をすべて搾り出した後にも 違う油脈のここからは石油が出ると言うことである。
いまは、コストに見合わない油脈であるが 石油を使い尽くすと予想される50年後60年後には・・・・・・・

日本は国を上げての協力体制と 国を上げての秘密を守るために・・・・・
表向きの行事として 今回 国の宝とも言えるダイヤの貸し出しに成功したのである。