伊藤探偵事務所の憂鬱8

「彼女には どうやって接触すれば」
命がけの仕事と言われて 緊張する。
「へっ、あなたナンパの経験も無いの?」
arieさんの耳を疑うような台詞
「命がけで 接触し 協力体制を作って一緒に戦うんでしょ!」
本気とも冗談ともつかない態度に腹を立てて言い返した
「あっ、俺 女性関係パス・・・」
西下さんは手を振り 機械の森に消えていった
「勿論ぬりかべさんも すーっと
「いい、騒ぎが起きて ここではいま問題を起こせない だから危険は無い
  ここで彼女をナンパ出来るかどうかが あなたの将来に取って大事な
   問題になるかもしれないんだから 真剣にやりなさい」
どう聞いても探偵事務所の会話ではないが 取りあえずの安全になったところで
遊ばれているのかもしれない。
それに、これは決して僕がいいかげんで気が多いわけではなく 命の掛かるような状況に追い詰められると 本能的に女性を求める行動に出るのは生物の本能で
写真を見ると whocaさんの純白で溶けてしまいそうなのも好きだけど より一層手の届きそうな日本人の女の子も それも可愛ければ・・・・
でも、今はそんなこと やってる場合じゃなくて・・・・

「もてないでしょ」
ぽつっと arieさんが言った一言に十分傷ついた

「いってきます」

「そうそう、仕事の前金もっているでしょ 使っていいから
 どこへ連れ込んでもいいから領収書は取ってきてね
 あと、門限は10時ね!!」
明らかにからかわれているだけのようである。

シャワーを浴びて 服を着替えて彼女が事務所の角から動いていないのを確認して表に出た。
昨日から一日しか経っていないはずにも関わらず数日振りに表に出たように日差しはまぶしかった。
おそらく仕事に関係のある女性であろうから取りあえず話をしてこよう。

彼女は、ビデオで見たのと同じ姿勢で 事務所から見えない壁にもたれるように立っていた。近づいてもこちらを見ていないようなそぶりではあった。
顔は伏せているので良く見えないが あの彼女のようである。

「あの、」
肩を叩こうと手を出したら 驚くほどの反応速度で一歩下がってこちらに向かい合って構えを取った。
大きく見開いた目がこちらの目をじっと見詰めている
(実は後で知ったことなのですが 日本の武術は 相手の目を見て挙動を探るのが常道であるらしいので 僕に向けてじゃなかったようです)
「彼女可愛いね、一緒にお茶でもどうですか?」
女性に見つめられていることに慣れていないぼくは 月並みなナンパな言葉しか口から出なかった。

「えっ?!」
彼女は意表を付かれたかのように戸惑って 対応に困っている。

空気が固まったかのように時が止まってしまった。
顔から火が出るほど恥ずかしかった。勿論 また顔も真っ赤だったのであろう
彼女の戸惑いが 尚 大きくなったように見える。

「ええ、どこに連れて行ってくださいますか?」
自慢じゃないがナンパに成功したのは始めてである
「ええ!?」
思わず口から出てしまった