伊藤探偵事務所の憂鬱16

チンピラやくざに体を押されて 事務所に連れ込まれた。
いくらいつもは避けている人たちも遠巻きに集まっているようだが、人目を避けるように奥に連れ込まれた。

いきなり罵声とともに殴りかかってきた 男を制止した声がした。
「やめねえか!!」
奥からどすの聞いた声がした

「先生、始めまして 今回の件重々承知しております。ですが これも渡世の義理。」
仁義を切るように 目の前にかしこまって こちらの目を射抜くような視線で口上を延べ始めた。
「今日のところは 引いてくださいませんでしょうか」
深々とお辞儀をしてた 親分の後ろで納得いかなさそうな子分たちが暴れている。
「ここで問題が起これば 理由は問わず後々 双方で起きた問題に関して 深入りできなくなるとの配慮 それも、私どものことを考えての配慮とは思います。」
何のことかは判らないものの、助かりそうな気がしてきた。
「今後、他の事でお会いすることがございましたら このご恩きっとお返しさせていただきます。」

親分の 台詞とたんかに負けて 子分たちが黙ってしまった。
「お送りします」
と 口を開いたのは 親分の横に付き従ってた子分が声を発して 表までの道が開き
構えていた車番の若者がビルの前に車を廻してきた。

深々と頭を下げる親分に送られて表に出たところで
KAWAさんとその他大勢、事務所のメンバーが待っていた。
状況はつかめないようでしたが 流石はarieさん
「代理、お迎えにあがりました」
今度はふざけて そのまま仁義を切る体制で待っていた。

結局、そのまま事務所をでて帰ることになった。
人数が多かったので みんなでそのまま帰ったが 事務所に帰り着いたときには後から先程の若頭らしき人物が お詫びですと 何か届けて帰った。

「かっこいー 親分!!」
KAWAさんのせりふを待つまでも無く 事務所で倒れた。
記憶が途切れた。

同日 夜、とある料亭にて
「どういうことだ? なぜ 黙って返した?」
怒る老紳士。
「馬鹿いっちゃいけません、あそこでもしこちらが危害を加えようものなら 理由はどうあれ何らかの形で警察が介入するでしょう。その後 どんな事件が起きても相手が同じ以上関係を取りざたされる。だから あれは わざとやったことです。」
親分らしき男はそう答えていた。
「うっ、」
老紳士は言葉を詰まらせた
「どこまで知ってるんだ、食えない探偵だ」
その後、老紳士の言葉をそのままに親分は出て行った。

「結果は 見えたな 役者が違いすぎる。 後は頼んだぜ」
親分は若頭らしき男にそう伝え「一人で帰りたい」と言い残して去っていった。
若頭はそのまましばらく下げた頭を上げなかったのは 涙ぐんでいたからかもしれない。

「そろそろ ほっとけないわね 所長も帰ってこないし」
arieさん
「データーがそろわなさ過ぎる 特に今日のは 予想すらつかなかった」
西下さん
「あと、3日・・・・」
ぬりかべさん
「・・・・・・」
ぼく(勿論気はついていません)

「多少の 誤差は含み済みで 始めましょう。相手の目がそれている間しかないわね」
arieさんの言葉を聞いて 二人は出かけていった。

電話で
「KAWAさん、明日のデートは 百貨店の開店を狙って行きましょ って うちのぼくが言っていたわ。今日の荷物を壊したお詫びですって。 明日は猫ちゃんに鈴をつけるから手を貸してね」
“ガチャン”と電話を切ってため息を付いた。
「本当に、所長に似てること・・・・」