伊藤探偵事務所の混乱 82

erieriさん:「この坊やが、貴方の支配を断るって望んだらどうなるの?」
少女:「私は支配などしませんので、その望みには答えられません」
erieriさん:「じゃあ、貴方の消滅を願ったら?」
少女:「お望みとあらば・・」
「そんな事望んだりしません」
未だ、少女の涙は乾いていない。
erieriさんの質問は、少女に対してかなりきつい物であった。
そして、涙を流す少女をこれ以上見てられなくて、口から出てしまった。
僕にとって、神が誰であろうとどうでもいいことだし、その神がどこから来たかなんてもっとどうでも良い事であった。
僕を生んでくれた両親の事には流石に興味があるが、江戸時代の先祖や それこそ、人類の起源ですらどうでも良い事だった。それ以上の存在がどうであろうと何の問題も無かったからである。
少なくとも、目の前の少女を消滅させる 恐らく死んでしまうように仕向ける決定など僕に出来よう筈も無かったから 口から出た言葉はきっかけでしかなかったが真実だった。
「何もしないって 言うのは駄目ですか?」
少女:「全てを無くなる事を望むのですか?」
「違いますよ、このまま何もしないだけです!」
少女:「では、今の状態を永遠に続かせる事を望むのですね」
「うーん、なんていったら良いんだろう?」
「神の意思によって僕たちは生まれたんですね」
少女:「そう、私の意志によって貴方たちは生まれたわ」
「神様の望むとおりに育っていますか?」
少女:「結果が解っているような無駄な事はしないわ。」
「じゃあ、少なくとも僕たちは自ら考え育っているわけですよね」
少女:「その通りよ、私はそれを確認するだけ」
「じゃあ、今まで通り僕たちが考えるまま生き続けるって言うのは駄目ですか?」
少女:「それが望みなら・・・」
erieriさん:「いいの、好きな事が出来るわよ」
「いいんです、そんな大それた望みはありません。」
arieさん:「大金持ちになるぐらいなら、叶えてもきっと実害ないわよ」
「じゃあ、それはarieさんが望んでください(笑)」
老:「何故そんな無謀な事を」
arieさん:「どういう意味? まあ、興味もないけどね 贅沢するぐらいのお金なら自分で稼ぐわよ」
erieriさん:「あたしは、金持ちになりたいわよ」
arieさん:「本当に金持ちになりたかったら、そうしているでしょ」
erieriさん:「私は嫌な思いまでして、お金を得たくないだけよ」
arieさん:「仕事って、そういうものよ!」
度胸がないので突っ込めないけど、arieさんが言う台詞じゃないと思う。
「ところで、しそちゃんはずっとここにいるの?」
少女:「私は、生まれたときからずっとここにいます。そして、ここに訪れてくるものを待っています。」
「どれぐらいって?聞くのは可笑しいよね 人類が生まれる前からだからね」
arieさん:「そう、何度も経験したんじゃない? 創造と破壊」
少女:「破壊はしないわよ、望みを叶えるだけ」
「僕の前にも、何度かここを訪れる人がいたんですよね」
老:「わしがそうじゃろ」
「そうですね、その前にも・・・」
老:「わしの時には、先代がいた。」
少女:「いらっしゃいますけど、お会いになる?」
arieさん:「遠慮しとくわ、これ以上平均年齢を上げないで」
「じゃあ、今まで訪れた人たちも 世界征服なんて望まなかったんですね。いい人たちが多かったんですね」
arieさん:「脳天気な発想ね」
「どうしてですか?」
arieさん:「このばあさんが、100〜200年は生きてそうでしょ そしてその先代まで解ってる 少なめに見積もって300年 ですね。」
老:「そうじゃな、先代の事は知らんが同じだったら 400〜500年ってところかのう」
少女:「そんなに生きたのはこの二人だけよ、他の人たちは直ぐに出て行っちゃうから」
arieさん:「坊やの考える世界征服の範囲は?」
「そりゃ、世界中の人たちを支配するって事でしょう」
arieさん:「そういう意味じゃあ無いわよ、世界中って地球中って事でしょ。」
「当たり前でしょ、日本だけを征服しても世界征服って言わないじゃないでしょう」
arieさん:「つまり、貴方の望みが叶えられるのは、地球の中って事よ」
「??」
arieさん:「貴方の考える世界は、地球って事だけど 16世紀の人たちにとっては世界はそんなに広くは無かったのよ」
「じゃあ、世界征服を望んだ人もいたわけですね」
少女:「いたわよ、そう何人も・・」