伊藤探偵事務所の爆発17

とにかく、楽しかった。
この事態を予想してか、arieさんがカードを返してくれていた。
事務所と一緒に燃えたのは、嘘だったんだ。
僕の大事な宝物 “王者の印”も、きっと無事なんだろうと、ホット胸をなでおろした。
僕のカードには、僕の持ったことの無い金額が入っている。
勿論、使用限度額もかなりの物である。
それが証拠に、どの店でも 店に入った時の態度と、あまりの態度の悪さにカードを出した後の態度が違うことからも伺える。
しかし、流石にホテルのショッピングマートの店員たちである。
カードの限度額等、カード情報には敏感である。
靴屋では、ソファーに座る未来さん。
おしとやかなので、足を組んだり 体を背もたれに投げ出したりは出来ないようである。しかし、さすが女性である。
足に合うサイズで、色の感じや、靴の形で微妙に違う物をうまく分類して、座っている未来さんの周りに扇状に並べた。
流石に女性らしく、目を輝かせて喜んだ。
「好きな物を、おごらせていただきます。実は金持ちらしいので」
未来さん:「本当ですか? こんなところで買い物するの始めてなんです」
いくつか、気に入ったのがあって、その中で迷っていたので 迷っていた3つを買うことにした。
各商品には、値札が付いてなかったのだが 少しだけ支払いの最中に後悔した
一足ずつが、30万円程度。
靴の値段では無いでしょう、靴のかかとに宝石でも埋めてあるのかな?
それぐらいの金額を取ったから当然のサービスだろうと思うが、壊れた靴も明日には直して届けてくれると言うことである。
ゴージャスな気分で買い物が出来た。
未来さん:「三足もすいません。高かったんじゃないですか?」
「この間の仕事の、一日分にも満たないですから、大したことありません」
口では言ったものの、前回も結局下ろしたお金を使い切れず、生まれてから最大の買い物かもしれない。
そして、部屋に帰ると ルームサービスで 少しの料理とお酒が用意されていた。
未来さん:「一緒にゆっくり飲みましょうね」
せっかく忘れたアルコールが、胃のほうから戻ってきた。
 
そうだ、時計。
Maid in japanは凄いと聞かされていた。
秋葉原は、日本からジャパニメーションが世界に発信されるのを納得させる街だった。
街のあちこちで、アニメのような格好をした人達がいる。
それをヒントにアニメーションを作るのだから、ああいった、二次元的なキャラクターが出来るのだろう。
日本製のアニメーションは、世界のどの国でも見ることが出来るし、世界のテレビが見れる国の子供たちが揃って夢中になっている。アメリカやヨーロッパでは大人が夢中になっている。
アニメーションでDVDショップに並んでいるのは、ディズニーと日本のアニメーションという図式はどこの国でも変わらない。
あんな、ひらひらな服はヨーロッパでも見ないし、タイツのような服を日常着る民族はアメリカでも見ない。ましてや背中に羽の生えた服なんて、ご本家バチカン市国でも見られるもんじゃない。
ああいった服を着る文化のある、日本だからああいうものが出来るんだと異邦人として感心した。
電気製品は、驚くほど豊富だ。
小さな腕時計に、コンパスやGPSが組み込まれた物まである。
挨拶や値段は英語で言うが、機能に関しては日本語で喋る(恐らくであるが)変わった言葉を使う店員は、アジアに多いタイプだ。
日本も他のアジアの国と同様である。
昨日はさらわれたので、ゆっくり説明書を読む時間が無かったが使い方ぐらいは何とかなる。
ボタンを押すと、液晶画面が現れる 北は数字の9の方向・・・・
方位がわかっても何の役にも立たない。
もう一度押すと、画面に “Detection”の表示が現れそのまま動かなくなった。
やはり、室内では動かないのだろう。
カメラが僕の姿を捉えているので、時計を長く見ていると怪しまれる、視線を部屋の中の物に移した。
壁の時計は腕時計と同じ時刻を指している。
やはり 時差があるほど、遠い国に連れて行かれたわけでは無さそうだ。
王子:「退屈なんで、何か暇つぶしでもくれないか?」
黒い服を着た男は、機能の男と違い無愛想で テレビの方を指差した。
何かのヒントにと思って、テレビを付けたが解らない言葉を喋るだけなので何を言っているか解らない。
王子:「おい、言葉がわからないから 楽しくないぞ」
男は次に、テーブルの上を指差した。
そこには、水がコップと置かれている。
王子:「誰が喉が渇いたといった!」
あっ、どうもこの男こちらの言葉を理解していないようだった。
王子:「余を愚弄するのか?! 何故、関係の無いものを指差す。」
そして、部屋の中を歩き回って 部屋の中の物に当り散らした。
椅子をけり、机を殴り ベットの足も蹴っ飛ばした。
そして、机の上の花瓶を床に投げ落とした。