伊藤探偵事務所の爆発20

持ちえる武器は一つ半、これだけで4人は少し苦しい・・・・
本気にさせると、命が危ない。
鬱々と考えていても、先に進まない。とりあえず、次の交代がチャンスだ。
やはりそれまでにできることは寝る事だけ・・・
日が傾いた頃に起こされた。
同じ起こすなら昼ご飯のときにも起こしてくれたら良いのに・・・
昼ご飯を食べ損ねてしまった。
どうせ、粗末なものだろうが食べないと体力が確保できない。ばんごはんが食べられないかもしれないのだから。
目を覚ました時には、見張りが変わっていた。
少し眠そうあのは朝に騒ぎを起こしたので交代した睡眠中に起こされたからであろう。
昨日の夜もいた男だった。
枕から、こっそり枕カバーを外して、ベッドの中に隠した。
サイドテーブルに彼女が本を運んできた。
王子:「ありがとう」
にっこりお礼を言うと 彼女も笑顔でそれにこたえてくれた。
会ったのがここで無ければ手を出せるものを・・・・
いや、一国の皇太子たる夜がそんな事を考えてはいけない。とりあえず後宮候補に入れたのに・・・
王子:「ここは昼飯は出ないのか?」
男:「王子様がお休みに成ってましたもので ご遠慮させていただきました。」
王子:「寝ているほうが静かで良いという事か」
男:「いえ、王子様の眠りを妨げるに値しないと 愚考ながら判断させていただきました」
王子:「うまく言うものだな、それはどこで習ったのじゃ?」
男:「気高き存在と相対すると、自然とうやうやしい言葉が出るものです」
王子:「では、普段ではそうでないと」
男:「私は、喋るほうは仕事としておりませんので」
なかなか尻尾を出さない。当然か、このまま押し問答していてもきっと何一つ喋るまい。
そういう男である。
喋っている間に少女は別室にまた、引き下がった。
やはり一言も話をする事は無かった。
本を買うときに話した言葉は、綺麗で可愛かったので声を聞きたいと思っていたがおそらくそう言った訓練はされてないのであろう。喋らないように言われていたのであろう。
王子:「ところで、起きた後には食事は出るのか?」
男:「勿論でございます。粗末ながら今用意をさせております。」
王子:「きょうはワインぐらいは用意してくれるのか?」
男:「残念ながら、この国の法律では見成年者の飲酒を許しておりませんので 幾日かご辛抱ください」
やはり、数日の命のかな旺盛が高いな。
おとこは、今の言葉にすこし顔をゆがめた。
失言に気が付いたのであろう。
逆に、僕の表情を読まれたようである。僕も表情に気をつけなければいけない。
王子:「無粋な民族だな日本人は」
男:「いえ、慎み深いと私は理解しております」
それに今、日本から出ていないことも確認できた。勿論、fakeの可能性も合ったが。
王子:「慎みが足りないというわけか 余が」
男:「それに関しては、失言でした。しかし、現在、意に添わない状態で逗留いただいております。慎みに関してはいつも以上にお願いしたいと考えております」
王子:「では、さらうのを皇女にすればよかったろうに」
男:「人質として、王子様以上に勝ちのあるお方はいらっしゃらないかと」
王子:「それは、誉め言葉として受け取っておこう」
いけしゃあしゃあと、言うやつだ。
しかし、これも失言であろう。
私で無ければ成らない。つまり、他の国の王子なんかでは駄目な用件であることをよういに想像させた事である。
今度は気をつけて表情に出さない事を意識していたので見つからなかったようだ。
王子:「では、もう少し待遇を良くして欲しいものだな」
調子に乗りすぎたようだ
男:「男のおしゃべりはみっともないと 言われておりますのでこれぐらいで」
王子:「おい、それはどういう意味だ!」
気取られたのか、それ以降男は一切口を聞かなくなった。
とりあえず、こちらの要求には身振りで堪えるものの それ以降口を聞くことは無かった。
おそらく、これ以降必要最低限しか口を聞くことは無いだろう。
ちょっと、回答をあせりすぎたようだ。
もうこれ以上事態が好転する事は無いであろう。仕掛けるのであれば今日しかない。
そのまま食事の時間を待った。
さて、悲しいのは夜の食事が取れないだろうと 想像できることだ。
昼に起こされなかった事を恨みそうだ。
鍵があろうと、匂いには一切効かない。食事の時間が迫っている事を僕のお腹に知らせた。
お腹の音が鳴って、安心した。これで少しでも警戒心が解ける。