Miss Lは、ローズバスが大好き

そんな筈じゃなかった。
確かに、そんないい話は無かった。
絶対に、仕事口を見つけないと このまま飢え死にしてしまう。
すでに、帰る家も無く 30過ぎてもう何年? そこ数えない!
生きていくために、何でもするつもりだったが幸いにも容姿端麗な方ではなく 決して自慢できる程の芸も無く あるのは時々むくむくと私のコントロールの出来ないところで頭を出す不思議な正義感。
なかなか、仕事が長続きしない。
でも、ひとつだけ自慢できることが。仕事が出来なくて首になったことも 自分から会社を辞めたこともはない!! って、やっぱり首になり続けたことを自慢できるわけも無く。
それでも、若い間は仕事が会ったが だんだん仕事の無い期間が長くなってゆく。
まあ、もっともこのがさつな態度と、かわいげのない口調で好かれるはずも無いかと。
それでも、おかげさまで頂ける失業保険を貰うためだけに ハローワークに。待合室では求人情報誌 ハローワークになんて仕事なんかありゃしない。
文句を言うつもりは無いが、基本的に若くて資格のある人しか読んでないようだし。
出るのはため息ばかり。
ため息の数だけ、寿命が減ってゆくような気分。そう、この掲示板を見るまでは。
募集、「女性 3X歳 〜〜区〜〜町近辺で徒歩で通勤可能な方。資格は問いません」
夢のような求人。他の人には悪いが急いで引きちぎる。この年になると人を信用するといった純な心が薄まってきたのか 値踏みをはじめる。
会社名は「林研究所」 仕事は口述筆記。ワープロの出来る方。
自慢じゃないけど、ワープロの入力は速い。いくつもの会社を渡り歩いているうちに身に付いた技術である。えっへん! って むなしいわ
でも、怪しい。正直 前の職場よりも30%以上も多い給料。いえ、怪しげな会社だから疑っているわけじゃない。なんどか給料のいい会社は詐欺まがいのこともあったけど そういうところって男をだませる容姿が要求される。自慢じゃないけど 面接で追い返されちゃう。
ちゃんとした会社は、交通費を出してくれるけど こういったところはそれも出ない。その上、断られたことで落ち込んでやけ酒する費用まで考えたら 割に合わないことが嫌なだけである。
でも、人並みだと思っているんだけど、性格かしらあまりきれいな格好が出来ないので損をしているかもしれない。と、思って化粧をしたらなれないもんだから やっぱり駄目。
結局、このいい性格で勝負をして失敗続き。
ところで、この警視庁公認って何?
ハローワークの案内をみても、そんな項目はないし そんな言葉も無い。
掲示板から引きちぎってきた手前 聞くわけにも行かない。でも、長年の経験がこういった場合の対策を導き出せる。
ここは節約して、公衆電話に そう、110番である。
しってました? あれってお金がかからないんですよ お金入れなくてもかけれるんです。
「もしもし?」
警察:「はい、何かありました?」
「あの〜 求人広告で警視庁公認って書いてあるのがあったんですが 詐欺じゃないかとしんぱいで・・・」
出来るだけかわいい声で かわいこぶって聞いてみた。どうせ電話だから見えやしないし・・
警察:「何て名前のところですか」
「林研究所ってところなんですけど」
警察:「・・・・・・ お名前お伺いしても良いですか?」
「あっ、はい・・」
名前と住所をお話して、後ほど調べて電話をいただけるように・・・・
じゃあ、っと 早々家に帰った。
もちろん、これで何かがあるわけではない。でも、お義理もすんだし 家で求人情報誌でも見てるほうがずっとましです。
家に帰ると、留守番電話のランプが付いている。
だれかしら、昔の職場の人で無ければいいけど・・・・
オレンジ色のボタンを押すと しゃべり始める男の声。
「林研究所と申します。本日面接の用意が出来ておりますので お見え頂けますのを待っております」
って、何であたしの事を知っているのよ。
それに、私が職を探してハローワークからちぎって来た事も。
ご丁寧に、地図がFAXされている。ちゃんと印刷されたようにきれいな地図。
そして、4桁の数字と名前 それも怪しげなMr.Gという名前。
怪しさ全開ながら、興味をそそられる内容。
たっぷり15分考えて って、実はお昼のカップラーメンを作って食べる間だけ家にいてやっぱり出かけた。
これ以上困ることもないし、AVだって上等よ!!(って実は出ろって言われるはずもないからねっ!)
出かけることにした。
東京とでありながら、見渡す限り2階建てしかないような この町に生意気に一件立ってるマンション(地図の必要なんか無いじゃん)の一番上の階まで。