ペンキの缶を見ていて思ったんだけど、って日常にペンキの缶の説明書を読む機会なんて普通にはないんでしょうが 最近ではいろいろな機能を持った商品が存在します。
その中でも 汚れの付きにくいペンキなどと言うのが出ているのでちょっと驚いたりもしています。
そういえば昔に比べて 街並みがきれいな感じがしなくもないのですが・・・
ペンキと言えば油性か水性かぐらいの違いしか知らないわけですが まあ、溶かしている溶剤で違ってくるわけです。
塗料の母体となるものを溶剤で薄めて塗って 溶剤が蒸発して無くなると純粋に塗料だけが残るというしくみです。
ただ、油性は揮発性の高いシンナー等の溶剤を使うため 乾くのが速く塗料との親和性も高いためきれいに仕上がりがちで 揮発中の溶剤を吸い込むと害がありながら私の子供のころなどはほとんどがそれだったのですが 最近では当たり前に水性が使われていて外壁塗装のような乾いた後に水に強くないと困るような場所の塗料にも使われるようになっています。技術の進歩を感じる部分ですね。
水で溶けるのに、乾いた後に水をかけても溶けないという良くできているわけです。
これも十分に逆転なのですが それではありません。
塗料を塗った後なのですが、普通に考えたらピカピカの艶のある出来上がりになるわけですが 最近これはあまり好まれません。
どちらかと言うと艶感を抑えた塗装が多いのです。
塗料にわざわざ鉱石の細かい粉などを混ぜ入れて艶を落としていたりするわけです。
普通に考えると 艶がある方がつるつるしていて水はじきもよくていいと思う所ですが美観と言う面では やはり良くないのでしょう。
それ以上に、最初に出た汚れが付きにくいという点からもそういうのでない方がいいというのが今の考え方のようです。
つやつやで水を弾く作りのものを 撥水と呼ぶわけですが、この言葉を初めて聞いたのは忘れもしない自動車用窓ガラス塗装剤が登場したとき。
商品名的には「ガラコ」と言うやつでテレビのCMでも「驚きの水はじき性能」なんて宣伝文句を今でも覚えています。
確かに雨が降っても 水玉が出来てそれが風に吹かれて流れてゆく様は感動的ですらあったのです。
もう、車の常備品と言うぐらいによく使いました。
そして、それらは多くのものに広がってゆきました。
傘の表面だったり、お風呂場のガラス、お風呂場の床だったりと「撥水」という言葉は一気に一般化したわけです。
ああいうのも流行語大賞にしてあげればいいのにと思ったりもするわけですが。
これで、汚れもつきにくいと当時は言われていましたしそう思っていました。
しかし、実際雨がやんで車を止めてあると 水玉のわっか状に汚れが残ります。
これは撥水機能によって集められた水が水玉になるのですが 水玉には汚れが含まれているので水玉が蒸発して無くなる際に汚れが水玉の大きさにガラスに残るのです。
窓だけならともかく 車体も水はじき抜群のワックスを塗っていたりするとそこにも残るわけです。
奇麗なのか、それとも汚れが集まりやすくなっているので汚いのか微妙な感じになってしまうわけです。それも埃の多い地域ではより明確に出るわけです。
最近、「撥水性」の対義語として「親水性」という言葉が出てきています。
親水性を高めると 撥水性の時と逆で水玉は広がれる限り広がって薄く伸びてゆきます。
なんか全体に汚れそうなのですが、前述の汚れの付きにくい塗料はこちらの物なのです。
それがそうなのとなるわけですが、全体的に汚れが広がれば汚れそのものは目立ちにくくなりますし 層が薄くつくので次の雨の時にも流れやすくなるのですが この仕組みも昔の広がるとは少し違うのです。
昔の親水性は、表面が凸凹していて凹みに毛細管現象で水が入り込み表面張力が下がり水玉が伸びているのですが 現在のものは表面がつるつるだけど科学的処理で親水性が高いので引っかかりが少ない面に乗った薄い汚れなので落ちやすいのです。
昔の木材の上に水がしみ込んで汚れるようなものを想像すると違う物なのです。
撥水性が汚れが付きにくいものとして流行した時代から一転してその反対のものが汚れが付きにくいものとして出てくるという昔が間違えていたと言わんばかりの話なのですが、前述通り撥水性の先にある親水性は昔の物とは全く違う仕組みなので 効果は逆転しましたが別の新しいものだったわけです。
勿論、大気が奇麗になって 降ってくる雨が昔よりきれいな水になっている日本と言う国に住んでいるからこそっていうのもあるのでそれには感謝しながらなのですが