台湾は雨?

地上に近づいて着陸態勢に入った途端、窓を水が流れ出した。
「雨だ」
トランクの中に傘が入っていないわけではないが、出すのがまだるっこしい。それに、ごちゃごちゃした電気街を歩き回るのには邪魔である。
雨の流れが、横から段々斜めになって 上から下に流れるようになった時が着陸の瞬間だった。
勿論、羽より前に座っている私には その間に逆噴射によって窓の水滴を全て吹き飛ばされていた間があったのですが・・・
いつものように、到着ゲートを入ると いつもと全く違う風景 違う国に来たのかと疑ってしまうほど違う。改装したのか ゲートによって大きく違うのか?
そうなんです、台湾はターミナルビルを二つ持っています。
昔からあるターミナルビルを手直しして使っている第一ターミナル。新設された第二ターミナル。大阪から私のような最安値で飛んでくると到着するのが第二ターミナルだったので、今回のように経由で他の国まで行く為に 違う旅行会社なので初めてのターミナルに降り立ったわけです。
通関も荷物受取所も出口も全ての場所が違います。
ともあれ、案内も無いほどではないので普通に入国できます。
いつも、台湾に入国すると置いてある 急須(っていうのですか お茶を入れるあれです)の顔をした人が「Welcom Taiwan」と立っています(立て看板です)。いつも思うんですけどちょっと変ですよね!?
その、看板が前回着た時とすこし違う。
「ん?」
今台湾では、訪れていただいた観光客の皆様に抽選をしていただき 当選された方にはすばらしいプレゼントを・・・(恐らく、英語でこんな風に書かれていたと思う)
これは、チャンス!!
ポスターには、台湾が誇るAcerフェラーリーのノートPCが!
これはきっと私に向かった 神の啓示に違いない。そう固く信じた私は荷物を受け取った後 空港の中をサービスカウンターまでずんずんと歩いていく。
サービスカウンターというぐらいですから、Hotelの案内、オプショナルツアーの案内の客引きが頑張っています。
「ホテル探してますね?」
まあ、品のよさそうなおじさんが声をかけてきます。
しかし、海外で日本人と解ったってカモにされるだけ、いくら外観が日本人に見えても喋らなければ 住所不定ですから いつも道理無視して・・・
「ニーツゥアオ・・・・(そう聞こえただけですが)」
おい、どう見たって日本人だろう!! 中国語で話しかけてくるのはおかしい!!
思わず、苦笑が漏れたら 肩に手を掛けて中国語で話し出す。
だから 笑ったのは別の理由なんだって 違うんだって・・・・
負けずに、ずんずんカウンターに。
カウンターで飛行機のチケットの半券とパスポートを見せると、お年頃の女性が
「ありがとうございます ちゅうせんおねがいします」と日本語でご挨拶。
でも、せめて看板ぐらい立てておきましょう 絶対ここには日本人は来ないと思う。あの客引きのおじさんのせいだけではなくって。
抽選の方法は日本と同じ、木で出来た八角形ぐらいの箱にハンドルが付いていて 矢印の方向に1周半ほど回すと ボールが落ちる仕組み。
説明も必要ないので いきなり回し始める。
「ぐるん ぐるん」
ボールが音を立てて箱の中に落ちた。
赤いボールが。
台湾でもポケットティッシュをくれるのかしらと思ったら、女の子が顔を見合わせている。
「Realy !?」
なんでそこだけ英語なんだ!!
いやが上にも高まる期待。
えっ、えっ!!
カウンターの人の顔、女性の人の顔を見る。
落ちた玉を見る。
「What ?」
釣られて、相手が日本語喋ったのも忘れて 僅かなボキャブラリーで最もよく使う英単語を言ってみた。これだけは いつも通じるので。
我に帰った係員さんは
「Conguraduation」
だから、何故 英語なんだ!!
「おめでとうございます おおあたりです」
ようやく自分の職務意識を取り戻したように日本語で話し出した。
もしかして、神は私を見捨てなかった????
「どうぞ」と差し出されたのは 紙袋に入った景品。どうみても、ノートパソコンの入っていないサイズ。
「ロールケーキの有名な店に並んで買いました」 程度のサイズの紙袋 そして軽い。
夢は無残にも打ち砕かれた。
それでも、日記のためにもう少し頑張らねばと会話は続く。
「これはなんですか?」
女性:「台湾のお菓子です」
「なんでそんなにびっくりされたのですか?」
女性:「このお菓子は珍しいので 当るのは初めてです」
をいをい、もしかしてそんなに当らないのか ここの抽選は・・・・
女性:「高級なお菓子ですので 是非食べてください」
まあ、好意的にこのお菓子が高いので当る確率が低いと解釈しよう。
ありがとうとお礼を言って、その場を後にした。
その後、ロールケーキ一本分の荷物はトランクのかなりの場所を消費すると気がついたのは台湾から香港に移動する日の晩であった。