ビデオカメラのメーカー撤退が話題になったので、昔胸躍らせた技術だったのでちょっと。
磁気メディアへの記録と言うのは 飛躍的に向上しました。
例えば最初に1Mとかしか無かったHDDが今では20Tドライブとかになっているわけですから大きく変わったわけです。
円盤状のメディアはともかくテープはどうでしょう?
それには一定の限界があったのです。
テープはリボン上の樹脂膜に磁性体を張り付けたもので 磁気ヘッドを当てながら磁力をかけることで記録再生をするわけです。
単純なつくりなのかかなり古くから存在します。
多くは音楽用メディアとして利用されています。
1インチ幅から徐々に細くなっていっているのは 記録密度が上がった割には記録すべきデータ量が大きくないので 音質が変わらないのなら小型化できる方が良いので小さくなっていったわけです。
そして、太いまま使うなら複数のトラックを書き込みデータ容量を増やすという 疑似的に太いテープを細いテープとして使う使い方も出てきました。
昔とカラオケで8トラとかいうのは 1本のテープに8トラック記録されていて 8曲の曲が1本のカセットで再生可能だったわけです。
なぜ、連続で記録しないかと言うと 頭出しが簡単だという点で 短いテープの分だけ巻き戻し時間が短くなる問う利点があったわけです。
巻き戻して トラック番号を入れれば曲が選べる便利なシステムだったわけです。
音声の記録が進んで その先に映像の記録を始めた時に 1秒間に60フレームと言う非常に高速なデータをテープに書き込もうとすると 磁気ヘッドにあたるテープの移動速度が足りずデータ量が増やせないという問題が出ました。
で、テープの速度を一気に上げると どんな長いテープをもってしてもあっという間に使い切ってしまうのです。単にテープを早送りした状態で書き込むわけですから。
今の様にデータはデジタルではないために どこかに貯めておいて複数のトラックに分けて記録するという事も出来なかったわけです。
で、考えられたのはテープに対して斜めに記録する方法でテープに対して細いヘッドを斜めに回転させながら動くことで今までテープの進行方向に対して8トラックとかあったトラックを斜めに細かいトラック分けすることでテープとヘッドの相対速度を上げて記録密度を上げることに成功したわけです。
これによって テープの速度当たりの記憶容量が一気に拡大したわけです。
円形のヘッド支持具に巻き付けたテープに回転しながら書き込むことで数十倍の速度に増速したわけです。
子供心にそんなことが可能なんだと感動したわけです。
テープを巻き付けた状態で回転させることはテープが円筒状の支持具に巻き付けられた状態で引っ張られ続けるために テープを傷めないような非常に平坦度の高い加工が必要となりました。
また、その円筒の中を開店する磁気ヘッドの中心が非常に高い精度で真ん中になっていないとどこかでヘッドがテープから離れてしまうもしくはヘッドがテープに接触してテープを切断してしまう可能性があります。
また、テープを入れた時にその円筒に毎度同じ位置に巻き付けて用意する ローディングの技術も非常に複雑なものとなったわけです。
それを工業製品として一般市販品として完成させたわけです。
登場したビデオレコーダーは夢の機器でした。
ですが、時代とともに世代交代が進みます。
まず、記録媒体ですがテープ状の物から円盤状のものに
同じ細いヘッドで 細く高速に記録していくなら円盤状のものの上でヘッドを動かす方が仕組みが簡単にできることから円盤状のものが主流になってゆきます。
勿論、円盤に対してテープは非常に面積が広いので ここまでは容量的にはテープが優れていたわけです。
そして、その先に記録方法の変化で 磁気方式から光学方式への変化。
いわゆるCDやDVDへの変化で磁気テープ式の映像記録が下火になってゆく訳です。
円盤状の記録媒体は 早送りや巻き戻しと言う時間のかかる作業が必要ないことが大きな利便性の違いとなるわけです。
そして、記録方式がアナログからデジタルになっていることで 半導体メモリーが現在の動画記録の主流となってしまいました。
今のマイクロSD1枚で VHSテープ数十本分とかの画像を記録できるわけですから もう、戻ることはないのでしょう。
故に、時代の変化は残酷なわけです。
機構的に非常に複雑で非常に高い精度の必要なこの技術
今も、コンピューターのデータのバックアップ技術として使われています。
磁性体の面積が非常に広いことから やはり円盤状メディアでは追いつけない容量の記録が可能だからです。
ただ、民間用としてはコストが高すぎてもう日の目を見ることはないのではと思います。
ですが、その時代を生きたものとしては その目を見張るような技術の集大成は忘れられないものとして記憶に記録されていたりするわけですが・